1998年の長野五輪スキージャンプ競技を題材にした、俳優の田中圭さん主演の映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」(飯塚健監督、6月18日公開)に出演するアイドルグループ「日向坂46」の小坂菜緒さん。昨年の取材では、演じるテストジャンパーという役を通して、「“人を支えたい”という気持ちが今は大きくなっている」と話していた小坂さんは「今は特にファンのみなさんを支えたいという思いが強い」という。コロナ禍の1年も経たその思いとは……。
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映画は、1994年のリレハンメル五輪スキージャンプ団体戦で惜しくも金メダルを逃し、長野五輪での雪辱を目指しながらも故障で代表落選、日本代表を裏で支えることになった西方仁也(田中さん)らテストジャンパー25人にスポットライトを当てる、史実をベースにしたオリジナルストーリー。小坂さんが演じる小林賀子は25人のテストジャンパーの中の唯一の女性。「ソウル」と「パッション」が口癖で、性格は負けず嫌い。当時、女子スキージャンプは五輪種目ではなかったため、テストジャンパーとして飛ぶことに誰よりも情熱を注ぐ高校生だ。
泊まり込みのロケも多い中、男性キャストに交じっての撮影は、普段のアイドルとしての活動とは真逆の環境。しかも、唯一の10代ということもあり、撮影当初は「すみっこで小さくなっていました」と振り返る。
「男性しかいないという空間を初めて経験したので、最初は本当にどうしたらいいのか分からなくて……。でも、その時にいつも田中さんが声をかけてくださって、皆さんとの話の輪の中に入れてくださったりしたので、本当にすごく助けられました。田中さんのおかげで、最後には、皆さんと楽しくお話しができるようになるまで打ち解けられました」
賀子について、「負けず嫌いなところとか、私と似ていると感じる部分はあったのですが、男性の中でもストレートに物事を発言できるところは私にはまったくできない点なので、私も『こうあれたらいいな』という憧れの感情で演じていました」と話す小坂さん。当時、どんなに情熱と才能があっても、女子ジャンプが正式種目ではなかったために参加できなかった五輪のスキージャンプに、テストジャンパーとして携われることに誇りを持ち、北海道から単身でやってくるという役どころだが、もし、小坂さんが同じ立場だったらそこに飛び込んでいけるか、と問うと、「人見知りですし私だったら耐えられない……」と笑う。
一呼吸置いて、「でも、絶対に諦められない夢があるのなら、そういう状況でもやりきる諦めの悪さは自分にもあると思います」といい、「自分がこれをやらなければならない、これをやったら夢に一歩でも近づくかもしれない……という道が先に見えているのだとしたら、そういう中にも踏み込んでいけるのかな」と力強く語った。
映画は当初、昨年6月19日に公開を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で公開日を延期していた。コロナ禍の余波は、日向坂46の活動にも影響を及ぼし、ツアーは中止になり、悲願の東京ドーム公演も1年延期となってしまった。
「当たり前が当たり前ではなくなった1年でした。ライブや握手会も思うようにできなくて、ファンの皆さんと直接ちゃんとお会いする機会もなく、私たちもすごく寂しいのですが、私たちが落ち込んでいると、ファンの皆さんにそれは伝わってしまうので。今だからこそ、誰かを元気づけることはできないか、ファンの皆さんに日向坂46をもっと楽しい、応援したいって思っていただけるようにするにはどうしたらいいのかと考えながら、日々活動しています」
昨年のインタビューでは、表舞台を支えるテストジャンパーという役を通して、「私自身、中学時代の部活動ではレギュラーではなく、裏で支えることが多かったので、表舞台に立てなくてもやるべきことはあるんだってことを改めて感じました」「“誰かを支えたい”という気持ちが今は大きくなっている」と話していた小坂さん。コロナ禍の1年を通して、その思いに変化があったか、と聞くと「今は特にファンの皆さんを支えたいという思いが強いです」という答えが。
「ツアーがなくなったり、東京ドーム公演が延期されてしまったり、悔しい思いはあるのですが、ファンの皆さんにはそれで『悔しい』『悲しい』とか寂しい思いをさせたくはなくて。いろいろ模索しながら、配信ライブなどをやってきた1年だったので、今年はファンの皆さんに楽しんでいただけるようなコンテンツをもっと増やしていきたいです」と力を込めた。
撮影中、キャストの間では「演技は楽しいか」という話題があがったという。先輩俳優たちの芝居を間近で見聞きし、それぞれの芝居に対する思いを知り、その“熱”に刺激を受けたという小坂さんは「演技をやればやるほど『こうやりたい』みたいなアイデアがどんどん出てきた撮影でしたし、改めてお芝居が楽しいと思いました」と声を弾ませる。
「今回のテストジャンパー役もそうですが、専門的な職業だったり、演技の現場は普段の自分だと経験できないことをできたりするのがすごく楽しいお仕事だなと思います」とにっこり。普段では考えられないような役のオファーが来たとしても、「やってみたいです!」と力を込める。
取材中、「サイコパスな役とかやってみたいですね(笑い)。犯人に見せかけて物語をひっかき回す感じの……」などと、“挑戦したい役”を熱弁する様子が印象的だった。“ソウル”に火が付いた小坂さんのさらなる飛躍に期待したい。
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