NIGHT HEAD 2041:名作復活の裏側 「NIGHT HEAD」のアンサー 人間ドラマをリアルに 飯田譲治に聞く

「NIGHT HEAD 2041」の原作の飯田譲治さん
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「NIGHT HEAD 2041」の原作の飯田譲治さん

 1990年代に放送され、カルト的人気となった飯田譲治さん原作のテレビドラマ「NIGHT HEAD(ナイトヘッド)」のテレビアニメ「NIGHT HEAD 2041」が、7月14日からフジテレビの深夜アニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」で放送される。伝説のドラマが約30年の時を超え、飯田さんの脚本によるオリジナルアニメとしてよみがえる。飯田さんは、アニメについて「『NIGHT HEAD』に登場した『必ず未来に変革が訪れる』という問いかけに対するアンサーを大きなテーマの一つにした」と話す。今、再び「NIGHT HEAD」を描く理由とは……。

 ◇「NIGHT HEAD」のその先 未来はどうなっているのか

 「NIGHT HEAD」は、1991年に「NIGHT HEAD」の前身となるショートドラマがフジテレビのオムニバスドラマ「世にも奇妙な物語」で放送され、テレビドラマシリーズが1992~93年に放送された。超能力を持つ霧原直人、直也が自身の能力に苦しみながら過酷な運命に立ち向かう姿を描き、当時多くの若者を魅了した。俳優の豊川悦司さんがサイコキネシスの能力を持つ兄の霧原直人、武田真治さんがリーディングの能力を持つ弟・直也を演じたことも話題になった。

 「NIGHT HEAD 2041」の企画がスタートしたのは5年前。飯田さんの元に、アニメを企画、プロデュースするスロウカーブから「『NIGHT HEAD』をリブートした形でアニメを制作したい」という提案があったという。

 「『NIGHT HEAD』をそのままアニメにするのではなくて、『未来形の話にしたい』と言われて、それが新しいことだし、挑戦的で面白いと思いました」

 「NIGHT HEAD 2041」は、2041年が舞台。精神エネルギーの存在は完全否定され、超能力はもちろん、超常現象を扱った書物や映像などの創作物すらも思想統制された世界だ。「NIGHT HEAD」の主人公である超能力者の兄弟、霧原直人、直也に加え、危険思想を取り締まる国家保安本部特務部隊に所属するもう一組の兄弟、黒木タクヤ、ユウヤが登場し、二組の兄弟が対峙(たいじ)する。

 飯田さんがストーリーを形作る中で、一つの軸としたのが「NIGHT HEAD」に対する“アンサー”だった。

 「旧作(『NIGHT HEAD』)では、『必ず未来に変革が訪れる』という問いかけを残したままだったんです。人類が今の物質中心の文明から精神文明へ移行するという変革。その問いかけに対するアンサーをちゃんとやらなければいけないんじゃないかと。未来はどうなっているかを描こうと考えました」

 「NIGHT HEAD」のその先を描く。アニメの舞台を2041年と設定したのも未来を描こうとしたからだった。アニメで描かれる2041年は、大きな戦争が起こり、世界の人口が3分の1になっている世界でもある。

 「年代は、遠すぎず、今の延長として描ける場所がいいかなと。また、ディストピアはあまり意識しない作りにしました。荒廃して薄暗いとか、人々が飢餓で困窮しているとか、破滅的なディストピア感があるようにはしたくなかった。というのも、リアルに考えていくと、大きな戦争があったとしても、みんなが暗くてどんよりしているかというと、そうはなっていないじゃないかと。人間はしぶといからね」

 ◇「NIGHT HEAD」誕生秘話 超能力者をリアルに描く

 「NIGHT HEAD」は超能力という超常現象を題材にしながら、霧原兄弟の感情の機微や、彼らに接する人々の恐れが生々しく描かれた。飯田さんは、「NIGHT HEAD」では「リアルさ」「人間ドラマを重視した」といい、その信念を「NIGHT HEAD 2041」にも反映させたいと考えた。

 「超能力のある・なし論なんていうのはナンセンスで、実は、僕が超能力がある人と出会ったことから『NIGHT HEAD』は始まったんです。僕は、それまで実際にあるものを描くよりも、ないものを描いた方が面白いと思ってドラマを作っていた。それがある時、能力を持っている方に本当に会うことができた。では、実際に超能力があるとしたら、なぜこの世の中にそれがあるのか。超能力があるという現実をどうやったら人々に説明できるんだろうと。そう思考して、紆余(うよ)曲折を経て、『NIGHT HEAD』という話が書けた部分がすごく大きいんです」

 飯田さんを変えたその出会いは、「NIGHT HEAD」の前身である「世にも奇妙な物語」の短編として超能力を持つ兄弟の物語「常識酒場」を描いた後だった。

 「最初は15分の短編のつもりで書いたからでっち上げというか、ディテールを全部構築していたわけじゃなかった。その後に、あの兄弟が隔離されていたとしたらどんな場所なんだろうとか、両親はどうしているんだろうと考えているうちに、どんどん話が膨らんでいった」

 超能力があるということをリアルに考えれば考えるほど、霧原兄弟の「苦しみ」が浮き彫りになり、「NIGHT HEAD」というドラマが生まれたという。

 ◇アニメだからこその飛躍 今の時代に「NIGHT HEAD」を描く意味

 「NIGHT HEAD 2041」でも人間ドラマを重視しながら、アニメならではの描き方として「枷(かせ)を外した」と語る。

 「実写ではできないことがあると、それを言い訳にするんです。でも、アニメでなんでも表現できるとなると、選択の自由の中でどの要素をつかみ取って面白くするかが、自分の中の進化になる。場所も時間軸も全て描けないことがないので、アニメだからこそ飛躍できた。自由な分、大変でしたが、書く作業は面白かったですね。逆にあの台本を実写でやりたいなと(笑い)」

 飯田さんは、以前「2021年、この時代にこの物語を届けられることになったのは、決して偶然ではないという気がしています」とも語っている。今、「NIGHT HEAD」を描く意味とは?

 「この先の未来、物質主義がいくところまでいって崩壊するんじゃないかなという気がしているんです。今はその前兆という気がするから、『NIGHT HEAD』が再びこの世に出るタイミングとしてはすごく合っているんじゃないかなと。今はみんな頂点を見せられているというか、お金があれば、便利になれば幸せになれると思っていたけど、はたして本当にそうなのか。そういうことをみんなで学習している気がするんです。いろいろな価値観が徐々に変わりつつある今、『NIGHT HEAD』を見て何かを感じ取ってくれる人がいれば、作った意味があるかなと思っています」

 飯田さんが描く新たな「NIGHT HEAD」。2組の兄弟がどんなドラマを繰り広げるのか、注目だ。

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