Sonny Boy:市川蒼×小林千晃 生っぽくリアルに 互いの印象 中学生時代は?

「Sonny Boy」に出演する小林千晃さん(左)と市川蒼さん
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「Sonny Boy」に出演する小林千晃さん(左)と市川蒼さん

 マンガ家の江口寿史さんがキャラクター原案を担当したことも話題のテレビアニメ「Sonny Boy(サニーボーイ)」。「銀杏BOYZ」が主題歌「少年少女」を書き下ろしたほか、「ワンパンマン」などの夏目真悟さんが監督を務めるなど豪華クリエーターが集結した。異次元を漂流し始めた学校に取り残され、超能力に目覚めた36人の中学生の少年少女の理不尽に満ちた世界でのサバイバル生活が描かれている。SFではあるが、キャラクターがどこかリアルで“生っぽさ”があるのも魅力だ。主人公で人生に諦めを感じている中学3年生の長良役の市川蒼さん、命令されることが嫌いで反抗的な朝風役の小林千晃さんら声優陣の生っぽく、自然な演技が光る。オリジナルアニメということもあり、謎も多いが、どのように役に向き合ったのだろうか? 市川さん、小林さんに聞いた。

ウナギノボリ

 ◇考えないように考える

 --作品の最初の印象は?

 市川さん オーディションの時は原稿しかなくて、キャラクターのビジュアルも設定もなかったんです。

 小林さん せりふだけでしたよね。

 市川さん その時点で、長良のせりふから夏を感じていました。クーラーの効かない職員室で三者面談をしているシーンがあって、その空気感から、すごい作品だ!と感じていたんです。

 小林さん 朝風のせりふは乱暴で反抗期然としていて、思春期ならではのとがった部分があり、そこが可愛らしいんですよね。オーディションでは設定が分からない中で、今の自分がやるならどうだろう?と考えつつ、演じました。ただ、朝風のせりふだけだと、作品の雰囲気がつかみきれないところもあったので、長良を受ける予定がなかったのですが、長良のせりふもやらせてもらいました。その時から、自分は、長良よりも朝風かな?と思っていました。

 市川さん アフレコの前に監督と打ち合わせの機会をいただきました。それまではどんな作品なのかが想像がつかなかったので。

 小林さん 僕は台本を見て初めて知りました。能力バトルものなの?とも思ったけど、せりふが生っぽいですし、人間ドラマなのかな?と。どうなるのか分からないままアフレコ当日を迎えました。現場で、監督から説明をしていただきました。

 --江口さんがキャラクター原案を担当したことも話題です。ビジュアルを見て感じたことは?

 市川さん アフレコの時にキャラクターのデザインを見て、こういう見た目だったんだ!となりました。

 小林さん こんな顔だったんだ!って(笑い)。長良はネガティブなイメージだったけど、そんなことはない。起こっている事象に対して受け入れていく子なんですよね。そのイメージをより理解できました。

 市川さん 江口さんのイラストは可愛いイメージがありました。今回も希が可愛いですね。長良は普通の子です。全員、普通にいそうなんだけど、キャラが立っています。

 小林さん 僕は「ストップ!!ひばりくん!」のイメージが強く、やっぱり女の子が可愛いですね。朝風はどんなビジュアルなんだろう?と想像を巡らせていて、実際にビジュアルを見て、すぐに、やっぱりこうだ!となりました。イキッているんだけど、本当に才能がある感じじゃなくて(笑い)。

 市川さん コンプレックスがありそうだよね。

 小林さん 長良も達観してそうだけど、子供っぽいところがある。現実に存在しそう。そこが絶妙なんですよね。

 --生っぽい演技も独特です。

 市川さん 普段は、台本をいただいたら、早めに読んで、演技を考えるのですが、この作品は考えすぎないようにして現場に入るようにしました。生っぽい演技なので、固めすぎてしまうと、現場で分からなくなるかもしれません。アフレコの前日まで読むのを我慢して、常に新鮮さを大事にしていました。考えすぎていたら、ドツボにはまっていただろうな……というシーンもありました。モノローグもないですし、キャラクターが何を考えているか分からないところもあります。分からないところを考えすぎると、リアルじゃなくなるんです。考えないように考えて……と頑張りました。

 小林さん コロナ禍から始まったので、第1話は、最少人数で市川さん、大西(沙織)さんたちと一緒に録(と)りました。僕らが最初だったので、そこで掛け合いの雰囲気を作っていきました。市川さんと大西さんが生っぽく演じられていたので、僕もそこに乗っかっていきました。肩の力を抜いて、自然にできました。

 市川さん 第1話は、突き放すようなせりふを冷たくならないようにフラットにやるところもあって、調整が難しかったですね。

 ◇作品の中にスッと入っていく市川蒼

 --中学生役ですが、二人の中学生時代は?

 小林さん 好奇心旺盛で、熱しやすく冷めやすかったですね。部活を1年ごとに変えたり、いろいろ習い事もしていたり、何でもやってみたい!という気持ちでした。親には迷惑をかけていました。やりたくてやるけど、才能がないと思うと、冷めちゃうんです。何でもできるタイプではないんですけど。朝風に近いところがあるのかもしれません。だから、朝風はやりやすかったんですよ。分かるなあ……とすんなり、余計なことを考えなくても自然に演じることができたんです。今も根っこの部分はそんなに変わっていないところもありますし。

 市川さん 僕はすごい反抗期で、親には迷惑をかけたし、心配させてしまいました。長良と比較すると、その辺は違いますね。長良のように、物事に関するある種のあきらめがあるところは、自分も昔からそうでした。そこまで深刻にならず、なるようになるか!?とは思っていましたが。

 --二人はこれまでも共演経験がありますが、お互いの印象は?

 小林さん 初めてがっつり共演したのは「ブギーポップは笑わない」ですよね。長良役は「作り込みすぎずにフラットに」というお話がありましたが、改めてどんな作品にも溶け込んでいくような役者さんと感じています。作品の中にスッと入っていくような。自分の中にあるものを自然に料理して、演じられているのが、市川さんらしいと感じています。

 市川さん 何か恥ずかしいなあ(笑い)。「ブギーポップ」の時とは、キャラクターの方向性も違うし、こんなにイヤなヤツも演じるんだ……と。いい意味でですよ。演じ分けがすごいんですね。ただのイヤなヤツではなくて、コンプレックスを抱えながら、中学生なりの強がりでもあるという案配が心地よかったです。長良は、事なかれ主義なところもあって、朝風に圧を掛けられると、そんなんじゃないから……となるのですが、小林君に、そこを引き出していただきました。

 --最後に見どころを教えてください。

 小林さん ストーリーは難しいところもあるかもしれませんが、考える面白さがあります。いろいろ考えて見ていただきたいです。

 市川さん 余白があると、想像するのが面白いですよね。見直すと、こういう感情だったのかな?と思うとこともあります。何度でも新鮮な気持ちで見ることができます。演出が独特で映像も美しいので、ぜひそこも注目してください。

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