人気グループ「Sexy Zone」の佐藤勝利さん主演で、東京芸術劇場(東京都豊島区)で上演中の舞台「ブライトン・ビーチ回顧録」。14歳の主人公の少年・ユージン(佐藤さん)のいとこの姉・ノーラを演じているのが、女優の川島海荷さんだ。ノーラはユージンの二つ年上の16歳の少女。「女優、ミュージカルダンサーになりたいと夢見、焦がれている。めちゃくちゃ勢いがあって、そこは私にはない部分。常に全力疾走で、そこの快活さは本当に魅力的だな」と語る川島さんに話を聞いた。
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舞台は、米ブロードウェーのコメディー作家ニール・サイモンによる3部作「ブライトン・ビーチ回顧録」「ビロクシー・ブルース」「ブロードウェイ・バウンド」の1作目。1937年のニューヨークのブライトン・ビーチを舞台に、貧しくもたくましく生きるユダヤ人一家と、思春期を迎えたユージンの成長を描く。ブロードウェーでは1983年の初演から1306回上演され、日本では1985年に初めて上演された。
時は1937年9月。人々は深刻な不況と近づいてくる戦争の足音に、不安な日々を送っていた。思春期を迎えたユダヤ人の少年ユージンは、父ジャック(神保悟志さん)、母ケイト(松下由樹さん)、兄スタンリー(入野自由さん)の4人家族。野球選手か作家になるのが夢で、毎日秘密の回顧録を書いていた。ケイトは身を粉にして働いているが生活は苦しく、いつヒステリーが爆発してもおかしくない状態。スタンリーは正義感から同僚をかばい、不況の中で失職しそうになる。ジャックは家族の問題を解決しようとするのだが……というストーリー。
川島さんは、「舞台は一つの屋根の下で起こる出来事を描いた家族の話。出演者も家族みたいな距離感で、けいこのときから、合間ではたわいもない会話で笑いが起こったりしていたので、いいチームワークでできているんじゃないかなって思っています」と手応えをのぞかせている。
舞台は「ユージン少年の目線で進んでいく」といい、「14歳ならではの視点でいろいろなことに関心や疑問がある。そこがまず面白いと思います。大人になって改めて、自分にもこんな少年時代があったなと思い返せるような。あとは家族の“あるある”であったり、言い合いやぶつかり合いもあって。そこのリアルさは、普通の家庭をのぞき見したような気分になるんじゃないかな」とも語る。
時代背景は今から90年近く前の1930年代。「衣装や小道具も、全部ビンテージっぽくて可愛いんですよ。一周回って可愛く見えるものってあるじゃないですか。衣装の生地とかも繊細で、『これっていつ作られたものなの?』って思ってしまうくらい。セットや美術も、当時の実物を使っていたりもするので、雰囲気含めて舞台の世界に入り込んでほしいな」と願望を込めた。
◇16歳のパワー、生命力を出せたら
演じるノーラは、ユージン少年のいとこで、母のブランチ役を須藤理彩さん、妹のローリー役を岩田華怜さんが務めている。
川島さんによるとノーラは「表面的には強く見えるのですが、中身は不安や寂しさでいっぱい」といい、「お父さんがいなくてお母さんと妹を私が支えなくてはいけないって、責任感の強い女の子。16歳の役ではあるのですが、子供っぽくは演じてはいない。それくらい中身はしっかりしているし、早く大人になりたい、誰とでも対等でありたいと思っている」と印象を明かす。
「実際に私も長女なので、そこは出てしまっている部分はあるのかな」とほほ笑み、「演出の小山(ゆうな)さんからも、『川島さんはお姉ちゃんっぽいから、何もしなくても見えるから大丈夫だよ』と言っていただいて、そこはよかったなって」と笑顔を見せる川島さん。
「本当にノーラは快活で溌剌(はつらつ)としているというか、そういった元気さが昔の私にあっただろうかって考えると、負けてしまっている気もしますし、だからこそ、16歳のパワー、生命力を出せたらとは思っていて。だから、演じているときの感情は120%。全身でぶつかっている気がします」と話してくれた。
また舞台上では「普段の1.5倍くらいの速さでしゃべっている」といい、「会話劇なので、見ている人にいかに会話を分かりやすく見せるか、普段は出さないようなテンションで、出し切っているので、終わった後のぐったり感がすごい」と苦労を明かす川島さんは、「今回出てくる7人が本当に個性的で、かつ生き生きしているんですよ。どのシーンでも。たとえ怒っていても落ち込んでいても、そのときそのときをちゃんと生きているので、そういったものが見ている人に届いたらいいなって思っています」と力を込めた。
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