さんかく窓の外側は夜:島崎信長&羽多野渉が語る魅力 “除霊が気持ちいい”を自然に?

「さんかく窓の外側は夜」の一場面(C)ヤマシタトモコ/リブレ・さんかく窓プロジェクト
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「さんかく窓の外側は夜」の一場面(C)ヤマシタトモコ/リブレ・さんかく窓プロジェクト

 ヤマシタトモコさんのホラーミステリーマンガが原作のテレビアニメ「さんかく窓の外側は夜」が10月3日からTOKYO MX、サンテレビほかで放送される。霊が見える書店員・三角康介と除霊師の冷川理人がバディーとなり、未解決事件を追う。三角康介役の島崎信長さん、冷川理人役の羽多野渉さんに同作の魅力を聞いた。

 ◇想像しただけで怖い すごくリアル

 --原作を読んだ印象は?

 羽多野さん 想像しただけでも怖い現象が描かれているんですが、ヤマシタトモコ先生のタッチがそれをより怖く感じさせている気がしました。それと、特別な力を持っていて見える人の中でもハッキリ見える人、おぼろげに見える人、感じられるだけの人がいるという設定がすごくリアルに感じましたね。

 島崎さん そう、リアルなんですよ! 「本当に霊がいそうだな」と思わされるところが、この作品の面白いところだと思います。ホラーというとパニック、ショック、絶叫みたいなものをイメージされる人も多いと思うんですが、「さんかく窓の外側は夜」は当たり前にそこにいるというか、日常の裏側に……もしかしたら裏でもなくて表、同じ側にただいる、そんなふうに思わせる力があります。もしかしたら今もこの取材部屋の隅にいるのかも(笑い)。

 羽多野さん 僕らが見えていないだけでね(笑い)。

 島崎さん そう思わせてしまう、自然さが逆に怖いですよね。それにホラーな面だけじゃなくて、人間ドラマとしてもとってもリアルなんですよ。リアルな人間ドラマと、日常に寄り添うようなリアルなホラーが、すてきに合わさって面白い作品になっているなと感じました。

 羽多野さん 不気味さの中に男性同士の友情や絆……愛情までいっているのかは分かりませんが、独特な関係値が描かれていて。そういったジャンルとホラーの相性がこんなにいいんだと初めて知りました! 元々、不思議な現象やホラー作品などが好きなんですが、これはまた新しい切り口で面白いなと、時間を忘れて原作を読んじゃいましたね。

 --“除霊が気持ちいい”という設定について感じたことは?

 島崎さん 除霊シーンを初めてご覧になった皆さんはビックリされるかもしれないですが、意外とやっている方はなじんでしまったというか、そこに特に違和感や疑問を持つこともなくて(笑い)。

 羽多野さん 何の違和感もなく、戸惑いもなく、自然な所作で演じていました(笑い)。

 島崎さん  除霊する際に魂と魂が触れ合うので気持ちよくなっちゃうんですけれど、魂ってある意味一番むき出しの、何のガードもない敏感な状態だと思うんです。それが触れ合うのだから、あんな反応になってもおかしくはないんじゃないかな。

 羽多野さん 生き死に関係なく、そこにこもっている強い思いが霊の正体みたいなところがあると思うんです。その強い思いを浄化するわけだから、何かしらのフィードバックがあってもおかしくはないし、それが冷川たちの場合は気持ちよくなっちゃうだけという話ですね(笑い)。

 --除霊シーンは、PVにも盛り込まれていました。

 島崎さん ホラーサスペンス、人間ドラマ、心霊探偵バディーものといろいろな面がある中で、あえてそこをPVでガッツリ推してきましたね(笑い)。

 羽多野さん あれも「さんかく窓の外側は夜」の魅力の一つだもんね。直接的な表現があるわけじゃないし、めちゃくちゃオシャレに描かれているよね。魂だけがぐっちょんぐっちょんになっているだけで(笑い)。

 島崎さん そうそう(笑い)。だから初めてこの作品に触れる方で、PVを見てビックリしたとしても、安心して本編を見ていただけます!

 --原作で一番怖いと感じたエピソードは?

 羽多野さん 僕はお母さんからもらった物に念がこもっていて、それにとらわれている娘さんの話かな。

 島崎さん あ、僕もそのお話です!

 羽多野さん 生きている人の念が一番人を縛るし、そこにとらわれた娘さんが長年にわたって悩んでいるのが非常にリアルだよね。言霊というように言葉は力を持っているので、親からしつけを超えた言葉の暴力を幼い頃から受けていたら、きっと真っすぐには生きられないだろうなと、いろいろ想像してしまうお話だなと感じました。

 島崎さん 旦那さんの態度も人間くさくてリアルでしたね。自分が三角たちを呼んだくせに文句をつけてくるし、問題を解消しても「おれの弱みを握ったとか思って調子こくんじゃねーぞ」とほえてくるし。それに対して三角が「俺にほえているより、もっとやるコトあんだろ。彼女が泣いてんじゃんかよ」と返すのも含めて、印象的な話でした。

 ◇すごく勇気のいる表現も

 --演じているキャラクターの印象は?

 島崎さん 僕が演じる三角は普通の人には見えないものが見えて、怖い経験をしてきているのに、すごくニュートラルで目の前のことに真っすぐ向き合える人です。それはきっと三角のお母さんをはじめ、周りの人のおかげだと思うんですけれど。

 羽多野さん うん、お母さんの育て方が素晴らしいよね。

 島崎さん よくあんな素直な子に育ったなと思います。怖いという感情をごまかしたりせず、なんだかんだ向き合い続けているところが普通っぽいというか、見えるのに見えない人みたいなところを持っているんですよね。だから見えることで普通とはかけ離れてしまった冷川や非浦たちからは、すごく魅力的に見える人なんじゃないかなと思います。

 羽多野さん 冷川はあえて「こういうキャラだ」と記号的に捉えないようにしていました。というのも、第1話の収録で監督さんから「積極的に会話をしないでほしい」と言われまして。物語を追っていただければ分かることですが、彼は非常に特殊な出自の人物で、現代社会で生活していながら使っている言語、言葉の本当の意味を知らず、みんなが使っているから自分も使っているくらいの感覚でコミュニケーションを取っています。価値観も常人とは違うので、「こういう人間だ」と決めつけず、誰とそこにいるかで全く性格が変わっちゃうぐらいの演じ方をさせてもらいました。ま、そういう意味では一緒にいて、次に何をしゃべるか分からない、何が出てくるか分からない、そんな面白さが彼の魅力の一つかなと思います。

 島崎さん 冷川に関しては、僕は捉える必要がないので楽でしたね。三角としては「何だろう、この人」と思っていればいいので(笑い)。それよりも演じられるほうが本当に難しそうでした。僕ら声優はちゃんと会話をして、言葉に説得力をのせることが仕事なのに、「会話をしないで」とか「説得力をのせすぎないように」といったディレクションが出るんですもん。

 羽多野さん 現場で一緒に録(と)っていても「一緒に録っていない感じで」とも言われましたね(苦笑)。

 島崎さん でも、会話がまるっきりできていないわけじゃないんですよ。会話の大事な要点だけがちょっとずれていて、ほかの部分は成立していますから。

 羽多野さん すごく勇気のいる表現でしたね。ともすれば、見た人に「見た目カッコいいキャラなのに、ヘタな声優だな」と思われて終わっちゃいますから。

 島崎さん ちゃんと芝居ができるからこそ、言葉の芯を取り除くという高度な引き算がなされているんですけれどね。「キャリア長いのにどうした?」じゃないんですよ、キャリアが長くないとできないことをやっているんです!!

 羽多野さん 放送中は信長君にずっとフォローしてもらおう(笑い)。

 --迎系多や非浦英莉可など個性的なキャラクターも多く登場します。

 羽多野さん 三角たちと同じように、迎と非浦は人には感じることのできないものを感じられますが、その能力の使い方がそれぞれ違うというか、対処の仕方が違うんですよね。たとえば迎は、霊現象を解決するのにとことん時間をかけて対話をする。そうしたところにそれぞれの性格が垣間見えて面白いと思います。

 島崎さん 迎君は年の功もあるんじゃないですか。見た目は若いですけれど、実は冷川たちより年上ですし。非浦はまず登場シーンが衝撃的ですよね。

 羽多野さん あの登場の仕方は怖いし、最初は「どんな悪いヤツなんだろう」と思っちゃうよね。

 島崎さん でも、そこは「さんかく窓の外側は夜」で、やっぱり彼女も人間なんですよね。後々、何でそうしたのか、どういう人なのかもきちんと分かります。ほかの登場人物は社会人として独立しているので、非浦は若さも感じましたね。両親の庇護下にある学生で、まだ大人の手を必要としている感じというか、気丈にピンと立っていてもどこか危うい感じがあって。で、そこを逆木(一臣)か支えてくれる。

 羽多野さん 逆木がカッコよすぎるんだよな~! そもそもカッコいいキャラなのに、諏訪部(順一)さんが演じられているから余計にカッコいいんですよ。PVも「お嬢さん」の一言で全部持っていっちゃう。諏訪部さんに「お嬢さん」って言わせたらそりゃカッコいいに決まってるじゃん!(笑い)

 島崎さん しかも執事みたいにかしずく感じではなくて、ちょっとアウトローでワイルドなところがいい!

 羽多野さん それと半澤(日路輝)さんもいいよね。これだけ霊や呪いが出てくる中で、信じていない人には効かない、その信じていない力が最強という表現は秀逸だなと思いました。

 島崎さん 単に信じていないだけではなくて、一本筋の通った半澤さんの意思力があってこその“最強”ですよね。で、そんな半澤さんが何かしらあって揺らぐときがまたいいんですよ~!

 羽多野さん 強い人間の弱い面ってたまらないよね。半澤さんは冷川との関係も注目していただければうれしいです。後々ジャブが効いてきますから!

 ◇序盤の伏線が後半で効いてきたり

 --冷川が三角と“運命の出会い”を果たしたように、“運命”を感じた瞬間はありますか?

 羽多野さん 運命って細かいことの積み重ねで、偶然ではなくて全てが必然というイメージがあります。だから常に運命を感じていますね。

 島崎さん 結局はよいことも悪いことも、自分の行動の積み重ねですよね。たとえば新たに役が決まったけれど、実はその前に落ちたオーディションに受かっていたら、スケジュールが取れなくてその役を受けることができなかったとか、さかのぼっていくと全部そういう理由があると思うんですよ。

 羽多野さん 因果があるんだよね。

 島崎さん そうそう。もう少し年を取れば変わってくるかもしれませんけれど、今のところ「自分の行動で何とかなっていくんじゃないかな」と思うから、羽多野さんとは逆で僕はあまり運命を感じないかもしれないです。

 --何か特別な力を手に入れるとしたら、どのような力がほしい?

 島崎さん 「運がいい」能力です! 「運がいい」といっても、クジで特賞は当たらないけれどちょっとうれしい2等が出るくらいの、行き過ぎないラッキーがいいですね。それくらいの力が一番幸せに生きられるんじゃないかと思います。

 羽多野さん 僕は肉体を強化する能力。デフォルトで身体が弱いので、病をはねのけるようなバフをかけられたらいいな。

 島崎さん 健康は大事ですもんね。

 羽多野さん 働けますからね。

 --凸凹心霊バディーの三角と冷川のように、登場キャラクターの誰かとバディーを組むとしたら?

 羽多野さん 冷川は嫌だなぁ~(笑い)。

 島崎さん 冷川と一緒に何かをやるビジョンは……運命じゃないと無理かな(笑い)。

 羽多野さん 迎と組んで占い系YouTuberやろうかな。「迎えに行ってもいいですか」みたいなチャンネルタイトルにしてさ。

 島崎さん 僕もバディーを組むなら迎君か三角かなぁ。ただ三角と組んでも、そんな特殊なものは生まれないと思うんですよ。三角は相方がとんでもなくぶっ飛んでいてちょうどいい人なので……。そうなると迎君一択ですね。でも、バディーより同じ占師になって顧客数を競ってみたいですね。

 羽多野さん 高め合って看板占師、目指すんだ?(笑い)

 島崎さん ちょっと面白そうですよね。迎君の占い術って、必ずしも霊能力を使うわけではなくて、カウンセリングみたいな部分もあるじゃないですか。あれだったら僕も勉強したらできそうなので、やってみたいです。

 --放送を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

 島崎さん この「さんかく窓の外側は夜」は、人と人が出会い、さまざまな経験をすることでの変化、成長、関係性といったものが、段階を経て、きちんと積み重ねられていく作品です。声の芝居をさせていただく僕たちも、より深いものを求められてとてもやりがいを感じました。見ていただければ、きっと僕たちと同じかそれ以上にお話にのめり込んでいただけると思います。最後まで見ることでいろいろなことがつながりますので、ぜひ余すことなく最初から最後まで見届けていただけたらうれしいです!

 羽多野さん ホラーサスペンスというでなく、友情や親子の愛情など、本当にいろいろな要素がちりばめられています。それを通して伝えたいメッセージがたくさん込められている作品なので、ぜひ最後まで見ていただきたいです。1話ごとに起承転結があってエピソードとしては完結していますが、信長君が言ったように全体を見ていただけると、序盤の伏線が後半で効いてきたりもしますし、登場人物の変化していく様も楽しんでいただけると思います。

 ※注:島崎信長さんの「崎」は立つ崎(たつさき).

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