ARIA:斎藤千和、皆川純子、中原麻衣 人生観を変えた作品 幸せにあふれた現場

「ARIA The BENEDIZIONE」に出演する(左から)皆川純子さん、斎藤千和さん、中原麻衣さん
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「ARIA The BENEDIZIONE」に出演する(左から)皆川純子さん、斎藤千和さん、中原麻衣さん

 天野こずえさんのマンガが原作のアニメ「ARIA」の新作「ARIA The BENEDIZIONE」が、12月3日に公開された。2015年に劇場公開された「ARIA The AVVENIRE」、今年3月公開の「ARIA The CREPUSCOLO」に続く“蒼のカーテンコール”の最終章で、姫屋を中心とした物語が描かれる。藍華・S・グランチェスタ役の斎藤千和さん、晃・E・フェラーリ役の皆川純子さん、あずさ・B・マクラーレン役の中原麻衣さんの姫屋のキャストに「ARIA」の魅力を聞いた。

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 ◇シリーズ開始当初の苦労 強いこだわり

 --「ARIA」のテレビシリーズが始まったのは2005年。シリーズ当初から斎藤さんは藍華、皆川さんは晃を演じ続けています。シリーズ開始当初の思い出は?

 皆川さん 今、収録時間が長かったことを思い出しました。

 斎藤さん スタッフの方々のこだわりが強くて、テストも何回もやることも多かったですね。

 --どのように部分にこだわりが?

 皆川さん それぞれ部分部分で多少のこだわりはありましたが、主に水無灯里ちゃんの役を、とても丁寧に作り上げているんだなと感じていました。

 斎藤さん 当時は、灯里役の葉月絵理乃ちゃんが、主人公役は初めてだし、アフレコ自体もそんなにやったことがない状態で。テレビシリーズは、灯里の物語だったから、絵理乃ちゃんが灯里になっていくのを、周りの全員でサポートしてく感覚がすごくありました。

 皆川さん いつからか、スタッフの方が「ARIA」の世界観を作るためにスタジオに音楽を流してくれるようになって。

 斎藤さん おいしいお茶とクッキーが出てきて。

 皆川さん スタッフさんの「ARIA」に対する愛がすごいと感じていました。もちろん役者陣もみんな「ARIA」をどんどん好きになって。それぞれが演じていくうちに、自然と「ARIA」の世界に似た空気感とか、演じるキャラクターに近くなっていったような気がします。

 --中原さんは2015年公開の「ARIA The AVVENIRE」から「ARIA」シリーズに参加されています。「ARIA」の世界に入った時の印象は?

 中原さん 私はもう「ARIAだな」と思いました。一度だけテレビシリーズにもゲスト出演させていただいていて、作品を知った状態で2015年に出演のお話が来たんです。それで改めてアニメを見て、劇場版で皆さんのお芝居を聞いて「ARIAだな」と思いました。だから、そんな苦労や、創り上げていく過程があったことを想像だにしていませんでした。

 ◇きれい、すてき、優しさ 幸せのエッセンスを与えてくれる

 --3部作となった蒼のカーテンコールが、「ARIA The BENEDIZIONE」で最終章を迎えます。改めて「ARIA」の魅力を教えてください。

 斎藤さん やっぱり人って優しいんだなとか、きれいなもの、すてきなものを素直に認めることって、大人になると難しくなる時があるじゃないですか。とくに、私はテレビシリーズで藍華を演じていた頃は、世の中のいい面も悪い面も見て、「どうやって生きていったらいいんだろう」と考えて、ぐちゃぐちゃしていた時期だったんです。だから、この作品と出会っていなかったら、もっと自分はとんがって生きていたかもしれないな思うぐらいで。この作品に出会って、ゆっくりしたリズムで、周りをちゃんと見ながら、きれいなもの、優しいもの、すてきなものを見つけるって、人生においてとても大切なことなんだと、すごく素直に受け入れることができた気がするんですよね。

 --人生観にも影響を与えるような作品に?

 斎藤さん そうですね。私はいいタイミングで作品に出会えたと思うし、すごく感謝している作品です。これまで嫌だなと思っていたことも、見方を変えると、すごくすてきなことだったんだなと、教わりました。

 皆川さん 私も千和ちゃん(斎藤さん)と同じ意見で、思いやりとか優しい気持ちとか、そういったものに改めて気付かされるというか、身につまされるというか。「もっと優しい気持ちを持って生きていった方が、自分だって楽しいじゃない」と思わせてくれる作品ですね。世の中、こんなに幸せなことがいっぱいあるんだなって。私の人生に幸せのエッセンスをくれたというか、そんな感じがしています。

 中原さん 私は、初めて収録に行った時に、現場の空気が素晴らしくよくて。それこそ、収録で(皆川)純子さんは泣いているし、みんながこの作品に出会えて、役を演じられていることが幸せなんだって。役者が心からそう思える現場って、何個あるんだろう?と思って。その現場がここなんだなって。新参者として、それを目の当たりにした時に、なんて愛のあふれる現場なんだと感動したのを覚えています。全部含めて「ARIA」なんだな、「ARIA」の持つ力なんだなと感じますね。

 皆川さん たしかに、私、共演者さんみんなが大好きで、みんな仲良しなんです。

 斎藤さん それぞれの役者さんをめちゃくちゃ尊敬しますね。スタッフさんも優しい。「作品が好き」って、ともすれば押しつけっぽくなっちゃう時があるじゃないですか。でも、「ARIA」はふんわり好きみたいな感じです。

 皆川さん 全体的に「ARIA」の世界観と似てくる。

 斎藤さん 「あ、癒やされる」という空間に、年々なってきているのかなと思います。

 15年以上の時をかけて、スタッフ、声優陣が創り上げてきた「ARIA」の優しい世界。大きな愛、こだわりをもって作られてきたからこそ、そのストーリーが胸を打ち、感動が心にとどまり続けるのかもしれない。“蒼のカーテンコール”の最終章をじっくりと劇場で味わいたい。

 「ARIA」はマンガ誌「月刊コミックブレイド」(マッグガーデン、現在は休刊)で2002~08年に連載されたマンガが原作。水の都・ベネチアがモチーフの街を舞台に、ARIAカンパニーで一人前の水先案内人を目指す主人公・水無灯里の修業の日々、友人や先輩との交流などを描いている。テレビアニメ第1期が2005年、第2期が2006年、第3期が2008年に放送されたほか、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)も制作された。

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