井上祐貴:かつて「明け方の若者」だった? 映画で北村匠海の親友役好演「新人賞とりたい」

映画「明け方の若者たち」に出演する井上祐貴さん
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映画「明け方の若者たち」に出演する井上祐貴さん

 俳優の北村匠海さん主演で12月31日に公開された映画「明け方の若者たち」(松本花奈監督)。主人公の<僕>がある日、<彼女>と呼ばれる人物に恋をし、満たされていく一方で、「こんなはずじゃなかった」と人生に打ちのめされていく姿を描く、“ほろ苦”なラブストーリーだ。同作で<僕>のデキる親友・尚人を演じたのが、井上祐貴さん。特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」(テレビ東京系、2019年)などで知られ、自分もかつて「明け方の若者」の一人だった井上さんに話を聞いた。

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 ◇「ちょっとかっこつけている」を常に意識 

 映画は、ツイッターでの“妄想ツイート”が話題となったウェブライターのカツセマサヒコさんの同名小説(幻冬舎)が原作のラブストーリー。北村さんが主人公の<僕>、黒島結菜さんが<僕>が一目ぼれする<彼女>を演じ、実写「ホリミヤ」で注目を集めた23歳・新進気鋭の松本監督がメガホンをとった。

 完成した作品を見て、「苦しい映画だなって最後、ちょっと思ってしまった」と明かす井上さん。「でも、今の環境に満足していなかったり、ちょっと何かを変えてみたいなって思っている人がいて、諦めずに一歩踏み出そうと思ってもらえたらうれしいな、とも思いました」と話す。

 井上さんが演じた尚人は、<僕>と同期入社し、後に親友となる人物。スマートなルックスの持ち主で、社会人としていい意味で意識が高く、ポテンシャルもありながら、その力を発揮できる境遇に身を置けずにいる。

 井上さんは「尚人は新入社員として会社に入るにあたって『こういうふうにしたい』『こういったことがやりたい』という理想があった」といい、「でも、現実は全然違っていて。その現実に苦しみながらも、一歩踏み出そうとする尚人の姿に僕自身、心を打たれましたし、そうやって誰かの背中を押してくれるような人物の一人なのかなって思いました」と役への印象を語る。

 演じる上で意識したのは「弱さを隠すために強がるところ」と「ところどころでかっこつけてしまうところ」。「それが本当にかっこいいのかは置いておいて(笑い)、他者に対する尚人の見せ方、かっこつけ方、セリフまわし一つとっても、ちょっとかっこつけているというのは常に意識はしていました」と明かす。

 <僕>役の北村さんとは、出会うきっかけとなった新人研修、2人が熱く語る居酒屋、明け方まで飲んだ帰り道、そしてバッティングセンターでのやりとりと、印象的なシーンも多かったが、北村さんに対しては「撮影中は本当に忙しそうで、いつ寝ているんだろうかっていうスケジュールの中、座長としての頼もしい姿にすごく刺激を受けました」と告白。「一人の役者として、また同世代として、すごく刺激を受けましたね。すごく尊敬できる存在になりました」と語った。

 ◇「明け方の若者」の思い出 松本花奈監督のこだわり感じたシーン

 劇中で若者たちは「こんなはずじゃなかった」に直面するが、井上さんは「これまでで『こんなはずじゃなかった』と思ったことって実はあまりなくて。わりと最悪な状態を想定していたりするので、ある程度の困難に直面しても『だよね』と思えるくらいのポジティブさは持ち合わせているつもりです。きついときでも、もうやるしかないと決して目を背けようとはしないですし、それは無理やりなのかもしれないですけど、気持ちを前向きに持っていく努力はします」と人としての強さをのぞかせる。

 そんな井上さんに「明け方の若者」の思い出を聞くと、「それこそ学生のときとか、みんなで明け方まで飲んだりしました」といい、「室内だと外の状態が分からないじゃないですか。でも時計はあるから、時間の経過だけ分かっていて、外に出るとうっすらと明るくなっている。そういった時間帯に食べるラーメンがすごくおいしかったり、あの時間帯に食べるからこそおいしいもの、あの時間帯に話すからこそ楽しいことってやっぱりあって、体も何か明け方の状態で、フワフワしている」と数年前を思い返して、しみじみ。

 劇中でも、<僕>と<彼女>、そして尚人が3人で飲んだ帰り、明け方の高円寺を歩くシーンが登場。実は、最初のテークをボツにして撮り直したシーンだっといい、「1回、撮ったのですが、でも『ちょっと暗いな、雲も多いな』ってことで、日を変えて撮り直したのですが。最初は正直もう寒すぎて、明るさとか雲くらい編集で何とかなるんじゃないの?って(笑い)、思っちゃいましたが、でも、監督にとってはそういうことじゃないんだって撮影していく中で感じて。この映画に懸ける思いやこだわり、監督はもちろん、スタッフの皆さんや僕らキャストもそれぞれ持っていますが、特にあのシーンにおける監督のこだわりはすごく感じました」と振り返った。

 俳優として今後の目標を聞くと、「(映画賞の)新人賞をとりたいです」ときっぱり。「ずっとやり続けてきたことが、作品としてももちろん、賞としても形に残る。一つの自信にもなりますので、本気で狙っていきたいです」と力を込める。

 また「ずっと警察の役をやってみたいと思っていて。小さい頃から警察がヒーローのように活躍する作品が好きで。それからずっと警察官はカッコいいっていうのが頭の片隅にありましたし、小栗旬さんがドラマでやっていた刑事役とかにも憧れてきたので。芸能界に入って『ウルトラマン』でアクションも経験させてもらったので、この目標も実現させたいです」と語った。

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