大塚明夫:「ルパン三世」次元大介の歩き方 無我夢中、焦りも 「清志さんの作った次元を大事に」

「ルパン三世 PART6」の一場面 原作:モンキー・パンチ(C)TMS・NTV
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「ルパン三世 PART6」の一場面 原作:モンキー・パンチ(C)TMS・NTV

 人気アニメ「ルパン三世」の新作テレビアニメ「ルパン三世 PART6」の第2クールが、1月8日深夜から日本テレビ系で放送される。新作は第1クールが2021年10~12月に放送され、次元大介役が小林清志さんから大塚明夫さんへ交代したことも話題となった。大塚さんは大役を引き継ぎ、「1クール目は無我夢中で、常に『もっとやらないと』という気持ちがあふれて、走り終えた感じは全くないんです。次元大介の背中が少し見えてきているので、輪郭がぼやけてしまわないうちに、早く追いつきたいという焦りでいっぱいです」と語る。第1クールを終えた思い、次元大介役への向き合い方について聞いた。

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 ◇思い描く次元大介へ 「道は細い」 PART1、2、3の次元に近付けたい

 第1クールを終えた大塚さんは「焦り」がありながらも、「次元大介への向き合い方」に変化はないと断言する。

 「『次元大介は永遠であれ』という、10年、20年そこらではない“オールドファン”の気持ちを持っていますので、どこまでも(小林)清志さんの作った次元を大事にしていきたいという想(おも)いがあります。次元への向き合い方は、やはり変わらないです。特に、清志さんは50年間も次元を演じ続けてこられたので、どの時代の次元大介でいるべきなのか、をすごく考えます。これから自分も年を重ねていけば、音の出方やいろんなものが変わってくると思うのですが、変わっていく前の“次元大介の原型”のような部分にいつも思いを飛ばしていないと、それていってしまうのではと。だから、『PART1、2、3』のころの次元に近付こうと思い続けています」

 大塚さんは思い描く次元像に近付くため、心理面からフィジカル面までさまざまなアプローチを試みているという。

 「昔の『ルパン三世』シリーズをランダムに見ています。清志さんの音をコピーするという意味合いよりは、『ルパン三世』の世界、空気感を胸いっぱいに吸ってからアフレコに臨みたいという気持ちです。また、形から入ることも大事なことだと思っています。全国のコスプレーヤーの皆さんは分かってくださると思うのですが(笑い)、収録の際は、次元の気分になるためにも、やはり黒いハットはかぶりたいなと思っています。(ルパン役の)栗田貫一さんは『リアル次元大介!』と言ってくださいました(笑い)」

 「ハードボイルド小説の決めぜりふを次元風に言ってみる」こともトレーニングになっているという。

 「清志さんはとにかく決めぜりふが格好よくて、昔のニッポンの大人たちの“やせ我慢の格好よさ”の部分が、ハードボイルドなものにも通底して流れている。遊びの延長で始めたことですが、なかなか面白くて、次元のいいエクササイズになっているといいなと思います」

 次元を演じる上では、決めぜりふだけでなく「抜けたところ」も重要と説明する。

 「難しいのは、その部分です。力の抜け方みたいなところが、日常の中のなんでもないイメージトレーニングも含めて、やはりこれから身につけていかなければいけないところだと思っています。自分のオリジナルの役ではなく、“次元”がやるわけですから……やはり道は細いです。少しでも油断すると、踏み外してしまいます」

 ◇小林清志のトレースからにじみ出る“大塚明夫版 次元大介”

 大塚さんは、さまざまな角度から真摯(しんし)に次元と向き合う日々を送り、次元に近付くための最も大切なハウツー、「次元大介の歩き方」が見えてきたと語る。

 「清志さんをトレースしていこうとする中で、どうしてもにじみ出てきてしまうのが、“大塚明夫版 次元大介”だと思うんです。最初から“大塚明夫版”を意識すると、出来上がったものは次元と違うものになってしまう。だから、あくまでも清志さんの次元をトレースしていこう、というアプローチは忘れずにいたいです。そのアプローチをブラさずにいけば、次に次元大介を引き継ぐ人に、成功すれば伝えられるし、もし失敗したら違うんだと伝えられる。『次元大介の歩き方』みたいに(笑い)。その上で、進化もしていかないと。雑になってしまったり、前のがよかったなと思われないようにしていきたいですね。難しいです」

 先代の小林さんから、次元は「江戸のイキ、江戸っ子で、雰囲気はジャズにも似ている」というヒントを受け取ってから、心の持ちようが変わったという大塚さん。「ルパン三世 PART6」の2クール目に向けて「視聴者の皆さんに判断していただくしかないのですが、まだ少し固いと感じる1クール目より、僕は少し楽になったと感じます」と笑顔を見せた。

 「ルパン三世」は、故・モンキー・パンチさんの人気マンガが原作。テレビアニメの「PART1」が1971~72年、「PART2」が1977~80年、「PART3」が1984~85年、「PART4」が2015~16年、「PART5」が2018年に放送された。「ルパン三世」シリーズの約23年ぶりとなる劇場版で、シリーズ初の3DCGアニメ「ルパン三世 THE FIRST」が、2019年に公開された。

 新作「PART6」は、ルパン三世をひもとく二つのキーワードがあり、第1クールのキーワードは「ミステリー」、第2クールは「女」で、ルパン三世の前に魔性の女たちが次々と現れる。女たちが抱える秘密とうそは、ルパン三世のとある謎へつながっていく。

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