呪術廻戦 死滅回游 前編
呪術廻戦「死滅回游 前編」閑話
2月19日(木)放送分
マンガ家の浦沢直樹さんが、マンガ家たちの制作現場に密着するNHK・Eテレの番組「浦沢直樹の漫勉neo」の新シリーズが、3月2日から3週にわたり放送される。2014年に「浦沢直樹の漫勉」としてスタートし、2020年からは「浦沢直樹の漫勉neo」とタイトルを改めて放送されており、これまでさいとう・たかをさん、萩尾望都さん、かわぐちかいじさん、ちばてつやさん、安彦良和さんら29人のマンガ家が登場してきた。浦沢さんは「制作現場を見ることによって、読者のマンガに対する認識が相当変わるのではないか」と感じているといい、自身も番組を通して改めてマンガの魅力を実感しているという。第一線で活躍し続ける浦沢さんに、マンガ界の今後について聞いた。
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「漫勉」は、マンガ家たちの仕事場にカメラが密着し、その貴重な映像をもとに浦沢さんが同じマンガ家の視点で対談し、創作の秘密に迫る。新シリーズでは、「弱虫ペダル」の渡辺航さん、「エロイカより愛をこめて」「ケルン市警オド」などの青池保子さん、「宮本から君へ」などの新井英樹さんの制作現場に密着。渡辺さんが3月2日放送回、青池さんが同9日放送回、新井さんが同16日放送回に登場する。各日午後10時に放送。
浦沢さんは、「マンガ家は一人の世界で描いているから、ほかの方がどうやっているのか全然分からない」といい、「漫勉」で多くの作家の制作の裏側を見ることで発見したことも多いという。なかでも印象的だったのは、「うしおととら」などで知られる藤田和日郎さんの「ホワイト(修正液)の使い方」だと話す。藤田さんは、下書きをほとんどせずにペンを入れ、そこに何度も何度もホワイトを入れることで、線を彫りだすように描いていく。
「あんなにホワイトを塗ったら、時間がたつとひび割れてきますから、彼の原稿は経年変化にはもたない。何度も消すのは、ほとんどデジタルのやり方なんです。藤田さんこそ、デジタルでやったらどんなにラクなんだろうと思いました。僕らアナログでやっている人間からすると、ホワイトは限度があるので、1、2回ホワイトをかけるのが、修正の限度であると思っている。彼の場合、4、5回塗っていますから。デジタルなら容易なことを遮二無二アナログでやっている、この面白さが作品に表れていますよね」
前シリーズでは、「イノサン」シリーズで知られる坂本眞一さんも登場しており、フルデジタル作画の舞台裏が明かされた。
「坂本眞一さんの作画風景を見ると、あれは映画館で見るクオリティーなんですよ。壁画のようなものを描いている。巨大な画面で見ても見劣りしないようなものをデジタルで描かれている。マンガを映画館で鑑賞するような時代が来る可能性もある」
アナログとデジタル。マンガを描く側も見る側も、その両面がある中で、浦沢さんは、今マンガ界が「過渡期にあるんじゃないか」と語る。
「読む時も、描く時も、デジタルというものが相当マンガ界を変えてきている。マンガ家では、アナログにこだわる方も多くて『スクリーントーンがなくなったら引退しようかな』という方もいる。逆にデビューの時から紙に描いたことがない人もいる。僕も自分の作品で最近電子書籍を解禁しましたが、マンガを読むメディアをこれからどうするのか。もしかしたら、今あるタブレットのようなものでは収まり切らない世界かもしれない」
過渡期にあるマンガ界において、浦沢さんは「日本のマンガは最強なのではないか」という思いもあるという。
「マンガって、僕らのような市井の子供たちが妄想して描いて、そこから大きくなっている。巨大なプロダクションが動いていない、自主独立の文化だと思います。それがなぜこんなに日本で成長したのか。さかのぼると、太平洋戦争が終わり、日本に何もなくなったところから、手塚治虫先生たちが紙とペンだけでエンターテインメントを表現しようとし始めた。そのビッグバンを、我々は引き継いでいるのかなという感じがしますよね。最初があまりに大きいビッグバンだったので、当時作り上げられた文法みたいなものが70年以上たった今もまだ引き継がれている。僕らはそれをいい形で次の世代に伝えていかなければいけない。『漫勉』のような番組がその力添えにもなればいいなとは思いますよね」
日本のマンガならではの魅力とは何なのだろう。
「手塚治虫先生のような壮大な構想を作品化するというのはもちろんですが、ちばてつや先生の繊細な感情表現という側面も日本のマンガの傑出しているところだと思います。ものもいわずふっと目を伏せたりするようなシーンを入れながら行間の感情を表現されている。あの感じは、案外ほかの国にないんですよ。その両輪が僕らを育てたんだろうなという気がしますね」
日本が誇るマンガという文化の裏側を見せてくれる「漫勉」。マンガの新たな魅力、楽しみ方が見つかるはずだ。
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