大学生の初々しい恋愛と、常に円満とはいかない人間関係の難しさ、そして夢に向かう希望と挫折をくすっと笑えるユーモアを交えて描く映画「階段の先には踊り場がある」(木村聡志監督)。同作で主演を務めたのが、新人女優の植田雅(うえだ・みやび)さんだ。2020年公開の「別に、友達とかじゃない」に続く、2度目の長編映画主演で、主人公のゆっこを演じた。撮影では初のキスシーンも経験し、「こなれていないピュアさが出ればと思いました」という植田さんに話を聞いた。
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映画は“超等身大恋愛会話群像劇”で、植田さんのほか、平井亜門さん、手島実優さん、細川岳さん、朝木ちひろさんらが出演。ダンサーを目指し、芸大の舞踊科に通うゆっこ(植田さん)は、同じ大学の演劇科に通う元カレの先輩(平井さん)と別れた後も同棲(どうせい)を続けている。お互いを応援する“いいパートナー”だと呼び合うが、最近は夢をかけた留学、そして先輩と急接近する友人・多部ちゃん(手島さん)の存在が気に掛かる。一方、社会人の滝(細川さん)は平穏な日々を送っているが、長年交際している港(朝木さん)から結婚を意識させられ困惑していた。将来が見えない滝は、大学生のときに味わったある挫折を今も引きずっていて……というストーリー。
植田さんは、2000年6月11日生まれ、大分県出身の21歳。今回演じたゆっこは夢と現実のはざまで揺れ動くヒロインで、木村監督は植田さんの演技について「彼女は繊細で無色透明。と同時に何色にも変化する力強さを感じる」と評している。
ゆっこと自分を比べ、最初に台本を読んだ際、「全く違う価値観を持つ女の子」と感じたという植田さん。一方で、平井さん演じる先輩を前にしてみると、少なからずゆっこの気持ちが分かり、共感を抱いたとか。
「夢と恋愛、どちらかを選ぶとなったら、私だったら絶対に夢をとると思っていたんです。でも、ゆっこは夢よりも恋愛で、脚本を読んだときは『なんで?』ってなったのですが、実際に平井さんを目の前にし、演じてみたら、ゆっこが先輩を好きな気持ちが感じられて、夢をとるとは言い切れないなって」
先輩と別れた後も同棲を続けるなど、どこかかたくな部分もあるゆっこ。演じる上では「自分のやりたいことや気持ちは貫き通したい部分」を軸にしつつ、「他者に対して思いやりを持てる子ではあるので、わがままに見えないよう、人を思う気持ちとかは大切にしました」と明かす。
そんなゆっこの元カレの先輩は“人たらしでよくモテる演劇系男子”。その人柄について、植田さんは「ずるいな~(笑い)」と一言。
「無条件に人から愛されるじゃないですか。受け入れてくれる感じもあって、ゆっこにとっても居心地がいい。『好き』『ドキドキ』って感じより、安心感がある。うまく先輩の心がつかめなくて、ゆっこが葛藤する瞬間もあるのですが、それでも先輩が嫌いとか、悪いという思考にはならない、そういった部分が先輩の強みだなって」
初めてのキスシーンは先輩が相手となったが、「キスシーンは今回が初めてで、緊張もあったのですが、撮影までに先輩とは仲良くなれていたので、(先輩役の)平井さんとも『一発で決めよう』と話はしていました。3回連続でキスしたのですが、そのことを現場で聞いて、『なんだ、そのシチュエーションは』って驚いたりもしましたが、思っていたより緊張せず、リラックスして撮影できました」と手応えを明かした。
作品の中で、役として生きることについて「得した気分っていうわけではないのですが、お芝居を通して、人よりいろいろな人生を経験できるのは、つらさや重さも含めて楽しいです」と充実感をにじませる植田さん。
元々はダンサーを志し、高校時代は福岡にあるダンススクールに通っていた植田さんが、女優を志すようになったきっかけとは?
「ダンススクールでお芝居をさせていただく機会があったんですね。元々、人見知りな性格で、人前で演技なんてと尻込みしていたのですが、やってみたら、自分ではない他の人の感情を味わえる感覚に『なんだ、これは?』ってなって。そこでダンスをスパッと諦めて、お芝居に切り替えました。“一目ぼれ”でした」
植田さんにとって芝居の世界は、「楽しいと思えるところまで持っていくのが大変」だが、「でもその大変な地点を越えてしまえば、本当に楽しくて感動もできる」と持論を披露。
今後の課題は「毎回、楽しいと思えるところまで持ってくること」といい、「女優業は見てくださる方がいて成り立つお仕事。女優をしている私もそうですけど、普段から周りの人に応援してもらえるような人間になりたいなって。もちろん、女優として表現力ももっともっと伸ばしていきたいのですが、まずは応援してもらえるようになりたいです」と語った。
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