機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島:安彦良和監督が込めた思い テレビアニメの“作画崩壊”が「心残りだった」 人間ドラマ描く

「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」のトークイベントに登場した安彦良和監督
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「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」のトークイベントに登場した安彦良和監督

 アニメ「機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)」のアニメーションディレクターやキャラクターデザインなどを担当した安彦良和さんが監督を務める劇場版アニメ「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」のトークイベントが6月20日、新宿ピカデリー(東京都新宿区)で開催され、安彦監督が登場した。「ククルス・ドアンの島」は、1979年に放送されたファーストガンダムのテレビアニメ第15話のエピソードで、主人公のアムロ、敵対するジオン軍の脱走兵ククルス・ドアンの交流を通じて、戦争の哀愁が描かれた。劇場版では第15話を改めて描いた。安彦監督が、第15話を改めて描いた思いを明かした。

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 第15話は、“鼻”が長いなど異形のザクが登場。テレビアニメ制作時、スケジュールの都合で外部のスタジオに外注したこともあり、作画が安定しなかった。第15話が語られる時、作画崩壊が話題になることもある。安彦監督は、改めて「ククルス・ドアンの島」を描いた理由を「『ククルス・ドアン』と検索したら『作画崩壊』と出る。びっくりしました。そんなに有名だったんだ。圧倒的に心残りだった」と説明した。

 劇場版では、異形のザクをリファインしたMS-06F ドアン専用ザク(ドアンザク)が登場したことも話題になっている。安彦監督は、異形のザクを復活させることに違和感があったというが「(メカニカルデザインの)カトキ(ハジメ)さん、(総作画監督・キャラクターデザインの)田村篤さん、スタッフの『異形のザクじゃないといけない!』『石を投げなきゃドアンザクではない!』という意見があった。僕の全敗です」とスタッフに押し切られたという。

 「ほかのエピソードも再び描いてほしい」というファンの声もあるが、安彦監督は、自身にとって「ガンダム」の映像化は「これで最後かもしれない」「思い残すことはない」と語ってきた。「僕はファーストガンダム原理主義者。ファースト以外はほとんど知らない。『ククルス・ドアンの島』は圧倒的に心残りだった。そこまで心残りのエピソードはない。ご覧のような年なので、物理的に無理。長編を作るって大変なんですよ。(ククルス・ドアンの島も)3年かかっている。楽じゃない。僕はこの年にしては、仕事ができるけど」と話し、「『ガンダム』は本来、人間ドラマなんです。それを再確認する意味で今回、『ククルス・ドアンの島』を作りました」と熱弁した。

 イベントには、アニメを手がけたバンダイナムコフィルムワークスの福嶋大策プロデューサー、総作画監督・キャラクターデザインの田村篤さん、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さん、“ガンダム芸人”として知られる若井おさむさんも登壇し、お笑いトリオ「ニブンノゴ!」の森本英樹さんがMCを務めた。

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