男子新体操をテーマにしたオリジナルアニメ「バクテン!!」の劇場版「映画 バクテン!!」(黒柳トシマサ監督)。男子新体操に魅了された少年・双葉翔太郎が私立蒼秀館高校(アオ高)の男子新体操部で仲間と共に目標に向かって走る姿を描いた“スポ根×青春群像劇”で、劇場版ではアオ高の6人の最後の挑戦が描かれる。高校1年生の主人公・翔太郎役の土屋神葉さん、同じく1年生の美里良夜役の石川界人さんに「バクテン!!」への思いやアフレコについて聞いた。
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土屋さん テレビアニメの最終話で「映画 バクテン!!」が制作されます、と発表された時、すごく感慨深かったですね。僕らはまだどういう物語になるかは知らなかったので、何が描かれるんだろう?とすごくワクワクしました。
石川さん テレビアニメのオーディションの時点で「映画もある」と聞いてはいたのですが、昨今の情勢から、現実になるかどうか、「バクテン!!」に関わるすべての人が不安だったと思うので、無事に制作されることになって、うれしかったですね。劇場版がどういう話になるかは聞いていなかったので、テレビアニメシリーズでどれだけ積み上げていけるかも勝負かな?と思っていました。だから劇場版が「こういう話になります」と聞いた時は、やってきたことが形になって映画で花開くのか、とうれしかったです。
土屋さん 双葉翔太郎の才能は「素直さ」で、性格を才能として捉えることは今まではなかったのですが、監督がそう言ってくださりました。運動神経がすごくいいわけでもなく、めちゃくちゃイケメンという感じでもないんですが、「素直さ」という才能でどんどん男子男子新体操に溶け込んで、アオ高新体操部の一員になれる。そこが魅力だと思います。
石川さん 美里はやっぱり「男子新体操がうまい」ということですね。“若きエース”として期待されるくらい入った時から実力があり、誰もが憧れるポジションだと思います。ストイックに常に自分の技術の向上を目指しているし、男子新体操という競技において、一人だけが秀でていてもチーム全体をよくするわけじゃないとも分かっている。ストイックだけど、距離を置きつつも周りを見ているところはすごい魅力だと思いますね。
ーー翔太郎を演じる上で、意識していることは?
土屋さん 最初の頃のディレクションで多かったのが「もうちょっと明るく前向きに」ということでした。自分ではできる限り明るく演じているつもりでしたが、「もっと、もっと」と。それで、もっと突き抜けたものを求められているんだなと思い、明るい、前を向いて引っ張っていく翔太郎のよさをテレビシリーズでは一貫して演じていました。
土屋さん テレビシリーズを経て人間関係が深まったから、劇場版の時は「こういう新しい一面がないだろうか?」とプレゼンさせていただきました。でも、双葉翔太郎というキャラクターからはブレているところがあって……。もっと「不条理に対するマイナスの怒り」を出せていけたらな、と思ったんですが、やっぱりそこじゃないな、と。だから劇場版のアフレコでは一貫して変わらず、明るく前向きで、常に誰かを照らしているような存在であり続ける、ということを意識していました。
石川さん 僕はあんまり難しいことを考えていないんです。美里の中で一番大事なことは、多分「男子新体操が好き」ということだけ。それだけですね。一貫して、ずっとそこだけを考えながら演じています。
石川さん そうでしょうか(笑い)。憧れはするけれど、僕だったら嫉妬しますもん、格好よすぎて(笑い)。
石川さん 「男子新体操が好き」という思いが、劇場版になって「アオ高男子新体操が好き」になったんです。ちょっとしたニュアンスの違いなんですけど。そう変わると、美里もこのチームのために自分に何ができるか?と考えるようになる。それまではあまり考えていなかったので、やり方が不自然だったり、チームとの向き合い方が自分本位に寄ってしまったりして、へこんだりもするんです。そういう変化はありましたね。
土屋さん やっぱり、変わらず“エース”ですね。声優業界に入って初めてアニメに出演した時から、界人さんはもう第一線で活躍されていました。初めてラジオに出演させていただいた時も、界人さんはパーソナリティーとしてゲストにストレスなく話を振っていて、ゲストがもじもじした時もきれいに話を引き取ってくださったり。プロフェッショナルであり、思いやりがあり……お芝居を通しても、そういうところが常にあると感じます。
石川さん 初めてお会いした時から変わらず「素直で真っすぐだなあ」という印象です。お仕事への向き合い方もそうですし、現場での立ち振る舞いもすごく素直で、非常にいい青年だなと。もちろん今も変わらずそう思っています。
-ーアフレコで印象に残っていることは?
土屋さん 役について悩んだ時、界人さんに「監督に聞くのが一番いいよ」って教えていただいたことがすごく印象的でした。そのアドバイスを受けてからは、ほかの現場でも監督に聞くようにしています。また、テレビアニメの第1~3話ごろのアフレコの時期にボイスドラマを録(と)ったんですが、それを経て、キャラクターをよりつかめたというか、自由に演じられて。あの経験は、演じる上ですごく助かったと思っています。あと、劇場版のアフレコの時に差し入れで“笹かま”が置いてあって、めちゃくちゃおいしかったことを覚えています(笑い)。
石川さん コロナ禍でバラバラに録るので、先輩方とはほとんど一緒にならなかったんですけど、僕らにすごく気を使ってくださっているのか、先に収録されていて、すごく優しいお芝居をしてくださっているなと思いました。僕らがどういうボールを投げてもきちんと受け取れるような形にしてくださっているのかな、と。分からないですけど、勝手にそう解釈することもできるような技術を目の当たりにしながらアフレコに臨ませてもらいました。一緒にいなくても勉強になるし、安心感のある現場だったと思います。
土屋さん 完パケを自宅で見て、劇場のスクリーンで見ているような空気を感じたので「あ、これは本当の劇場で見たらすごいだろうな」と思いました。男子新体操の見せ方も、普通なら引きでしか見られないけど、アニメーションだから、入り込んで見られる。照明のつけ方など、ショーアップにも気合が入っています。自分が出演していなくても、120パーセント皆様にお勧めできる作品だと思います。
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