佐々木蔵之介:夏の京都の思い出は「祇園祭や父との鮎釣り」 故郷・京都が舞台の主演ドラマ「ミヤコが京都にやって来た!」続編

ドラマ「ミヤコが京都にやって来た!~ふたりの夏~」で主演を務める佐々木蔵之介さん
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ドラマ「ミヤコが京都にやって来た!~ふたりの夏~」で主演を務める佐々木蔵之介さん

 俳優の佐々木蔵之介さんが主演するドラマ「ミヤコが京都にやって来た!~ふたりの夏~」(ABCテレビ)が9月30日から3夜連続で放送される。今作は、京都を舞台に12年ぶりに再会した父と娘の共同生活を描いた人情ドラマで、2021年1月期に放送された連続ドラマの続編として、前作から半年後の夏が描かれる。佐々木さんは藤野涼子さん演じるミヤコの父で主人公の柿木空吉を演じる。京都出身で、地元でのロケで「いつもより自然に役を作れた」と語る佐々木さんに、夏の京都の思い出や空吉役の撮影エピソードなどを聞いた。

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 ◇地元でのロケで自然に役を作れた

 ドラマは、空吉(佐々木さん)は東京から男性と一緒に帰って来るミヤコ(藤野さん)を目撃する。一方、ミヤコは鴨川で一人たたずむ、かつて空吉の思い人である佐知子(松本若菜さん)を発見する。佐知子は別の男性と再婚して京都を離れたはずだったが、実は再婚していなかった……というストーリー。

 前作は、コロナ禍で観光客がいない中、「ドラマを見てもらうことで京都旅行をした気分になってもらえれば……」という話から制作が始まったという。京都の撮影に精通したスタッフが集まって作ったドラマは「東京ドラマアウォード2021ローカル・ドラマ賞」を受賞するなど話題になり、続編の放送も決まった。佐々木さんは「このような形で評価していただけたことがすごくありがたくて……。制作した意味があったなとみんなが思える形になって、うれしかったですね」と喜ぶ。

 演じる空吉は京都に住む町医者で、物腰が柔らかく温かい人柄だ。自転車であちこちを回る医者という空吉は佐々木さん自身とはまったく異なるキャラクターだというが、出身地の京都でのロケという環境で、普段よりも自然に役を作ることができたという。

 「役を背負うのではなく、自分と地続きな感じで演じられました。いつもよりも自然に役を作れた感じがします。やはり、京都の地で撮影しているということが自分の中で大きいと思いますね。普段から僕も京都を自転車で移動していますし、まさにホームで仕事をしている感じがしていました」と楽しそうに語る。

 「空吉のつつましくも、日常を豊かに暮らしていく姿に敬意を払います」と佐々木さん。さらに「娘が父の生活を尊いものだと思って、一緒に暮らし始めた……というのがいいな、と。12年ぶりに再会した父と、日々の暮らしの中で大切なもの、心豊かなものを見つけていく姿が美しいなと思いますね」と思いを明かす。

 ミヤコ役の藤野さんとの親子役は初めてではない。「彼女のデビュー作の映画『ソロモンの偽証』のときに、僕は父親役を演じました。NHKドラマ「家康、江戸を建てる」でも父親役を演じて……3回目の父親役です(笑い)。だからお互いにベテランの域になっている」と藤野さんとの縁を語り、「彼女はデビューのときから変わらず、一生懸命芝居を考えてくる。本当に真面目で『この芝居、どうしたらいいですか』と質問されるから、真面目に答えなあかん、やめてほしいと思いました(笑い)」と冗談めかしつつ、娘への愛情あふれる父のような表情で語る。

 今作では、松本さん演じる佐知子と空吉の大人の恋模様も描かれる。佐々木さんは「佐知子さんがここまで空吉を思ってくれていたのかと驚きましたし、役としてありがたいなと思っています。松本さんは、(怪演といわれる)“松本劇場”で皆さんご存じだと思いますが、こんなに気さくで、こんなに自然に接してくださるんだと分かり、僕も肩肘張らずに芝居ができました。とてもありがたかったですね」と振り返る。

 ◇父との夏の京都の思い出

 京都で生まれ育った佐々木さんにとって、今作はいわば“ホーム”での撮影だった。そんな佐々木さんに、舞台である夏の京都の思い出を聞くと「思い出はたっぷりありますね」とほほ笑みながら話し始めた。

 「子供のころの僕にとって、京都の夏の始まりは祇園祭でした。7月末の山鉾(やまほこ)巡行の前日が宵山、前々日が宵々山。四条通りや河原町通りが歩行者天国になって、山鉾が立ち並び、露店でにぎわいます。山鉾巡行を迎え、祇園祭が終われば、待ってました8月、夏休み! これから五山の送り火や地蔵盆が控えています」

 佐々木さんは「実家が造り酒屋なので、冬場は家の手伝いをしていましたが、夏場は、父に朝、鮎釣りに連れて行ってもらったりしていましたね」と懐かしそうに思い返した。「高校野球の決勝戦が終わったら『やばい、夏休みの宿題全然できてへん』となって。昔の新聞を引っ張り出して、天気を日記に書き込んだりとかしていました」と楽しそうに振り返った。

 観光地としても人気の高い京都だが、佐々木さん自身、京都の良さに気がついたのは上京してからだったという。

 「子供のころは当たり前に京都の街で暮らしていましたね。二条城の前にある二条中学、五重塔が建つ東寺の洛南高校に通い、大学は神戸で、就職は大阪。役者の仕事で上京してから、京都の良さをだんだん感じるようになりました。『改めて京都って深いな』と思うようになってきたのです。日本人は、京都に行ったら、お寺や神社、街並みなどを見て『やっぱり特別なんだけど、なぜか懐かしい気もする』のかもしれないですね」と思いをはせていた。

 それだけではなく、「京都は、パン屋さん、牛肉屋さんが多かったりだとか……新しいものも取り入れる街で、新旧含めて京都は楽しい街だなと思いますね」と地元への思いを語る。

 そんな京都の街を舞台に、空吉と佐知子、ミヤコと若きちょうちん職人の敦彦(結木滉星さん)の関係が描かれる今作。2組の関係はどこへ向かうのか。改めて見どころを聞くと、「サブタイトルの『ふたりの夏』は、空吉とミヤコだけでなく、空吉と佐知子、ミヤコと敦彦、それぞれの2人の夏の物語になっています。大人は大人の事情を鑑みつつ、若者は若者でちょうどいい感じになります」と明かす。

 続けて「3作目に向けて、いい雰囲気、いい感じに終わらせているかなと(笑い)。まだ、春(編)が残っていますからね」と“その先”への期待ものぞかせ、「京都はどの時期に行ってもステキです! このドラマを見て『京都に行きたいな』と思ってもらえたらうれしいです」と愛情たっぷりにドラマと京都をアピールした。

 ドラマは第1夜は9月30日深夜0時24分、第2夜は10月1日深夜0時5分、第3夜は10月2日深夜0時25分からABCテレビで放送。「TVer」「GYAO!」で見逃し配信される。

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