横浜流星:映画「春に散る」で佐藤浩市とW主演 初タッグの瀬々敬久監督「ずっと以前から注目していました」

映画「春に散る」でダブル主演を務める佐藤浩市さん(左)と横浜流星さん(C)2023映画「春に散る」製作委員会
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映画「春に散る」でダブル主演を務める佐藤浩市さん(左)と横浜流星さん(C)2023映画「春に散る」製作委員会

 俳優の横浜流星さんが、2023年公開の映画「春に散る」で佐藤浩市さんとダブル主演を務めることが10月5日、明らかになった。沢木耕太郎さんの同名小説(朝日新聞出版)が原作で、瀬々敬久さんが監督を手がける。横浜さんと瀬々監督は今作が初タッグ。瀬々監督は「横浜流星さんにはずっと以前から注目していました。彼の一本気なまなざしが、現在この瞬間だけを生きようとする若者像にぴたりとはまる気がしています」と話している。

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 本作は、元ボクサー・広岡仁一と現役ボクサー・黒木翔吾が、共に世界チャンピオンを目指す物語。不公平な判定で負けて米国に渡り、40年ぶりに帰国した仁一を佐藤さん、同じく不公平な判定で敗れ、心が折れてしまった翔吾を横浜さんが演じる。

 キャスト、スタッフのコメントは以下の通り。

 ◇佐藤浩市さん

 生き様があっても生き方が見えない男たちが、自身のこれからと最後を懸けて同じ船に乗る。例えそれが泥舟だと分かっていても。世代が違うと異人種であるかのように距離を置く人たちもいる昨今、世代を超え拳ひとつで明日の階段を上ろうとする男たちの映画になると信じて臨みます。

 ◇横浜流星さん

 僕は人生を生きてく上で、一度しかない人生だから後悔しないように今を全力で生きようと心に刻み生きています。脚本を読んだ時、シンパシーを感じましたし、燃え尽きることができず後悔し、ボクシングしかない人生の2人が出会い、もう一度命を懸けて挑戦する姿は心を揺さぶられました。ボクシングをできることや、監督、プロデューサーから熱い思いのつづった手紙をいただき、胸が高鳴り、出演したいと思いました。

 今ボクシングを一から学んでますが、芝居と格闘技、心から好きなものを仕事でできる幸せをかみ締めながら、翔吾が言っていたように今しかない一瞬の光をつかめるよう、燃え尽きます。2人の命を懸けた挑戦をする姿を見て、皆さんに何か挑戦する勇気を与えられたら良いなと思っています。

 ◇瀬々敬久監督

 10代後半から20代前半にかけて沢木耕太郎さんのノンフィクションのいくつかを夢中になって読んだ経験があります。それらは、「老人と青年」が主人公として描かれ、「命と使命」についての葛藤の物語であり、「永遠と一日」の感受性が、常に描かれていました。老齢に差し掛かってしまった今、もう一度あの時間を「春に散る」を通して生き直してみたいと思っています。佐藤浩市さんと横浜流星さんという2人の役者に託して。

 昭和から映画の現場のさまざまを生きて来た佐藤浩市さんの繊細と豪胆。そして今回は、亡父、三國連太郎さんや息子の寛一郎くんとの実人生も、劇中の横浜流星さんとの疑似父子の中に深い影を落としてくるような気がしています。

 一方の横浜流星さんにはずっと以前から注目していました。彼の一本気なまなざしが、現在この瞬間だけを生きようとする若者像にぴたりとはまる気がしています。2人のそういう今のたたずまいと立ち向かい方を映画に刻み残していきたいと思っています。そういえば、沢木耕太郎さんの著作のタイトルを思い出しました。「流星ひとつ」、今回のキャスティングもまた、沢木耕太郎さんに導かれたのかもしれません。

 ◇原作者・沢木耕太郎さん

 <理想の日々を描く>人は、どのように生き切ればよいのかということが心に浮かぶようになったとき、初めて自分はどのように死に切ればいいのかと考えるようになるのかもしれない。私はこの「春に散る」という小説で、一人の初老の男に、生き切り、死に切れる場を提供しようとした。それはある意味で、同じような年齢に差しかかった私たちにとって、人生の最後の、一つの理想の日々を描くことでもあっただろう。

 私は映画の制作スタッフに「春に散る」というタイトルと広岡という主人公の名前を貸すことに同意した。しかし、同時に、それ以外のすべてのことを改変する自由を与えることにも同意した。というより、むしろ、私がその一項を付け加えることを望んだのだ。

 文章の世界と映像の世界は目指すところの異なる二つの表現形式である。映画の制作スタッフが、広岡をどのように生き切らせ、死に切らせようとするのか。あるいは、全く別のテーマを見つけて提示してくれるのか。楽しみにしている。

 ◇星野秀樹プロデューサー

 日本の美の象徴である桜は散り際が美しい、人生においてもそうあれたら幸せではないか。原作を読んだとき、ラストの2人の選択に温かい涙がこぼれました。本作は人生最良の<一瞬の1年>を活劇映画にし、未来の日本へ願いを託す<最後にして最高の勝負>を描きます。

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