ワンピース
第1122話 最後の教え!受け継がれた拳骨
10月13日(日)放送分
高橋留美子さんの人気マンガ「うる星やつら」の完全新作となるテレビアニメが、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で10月から放送されている。新作は、同作を刊行する小学館の創業100周年を記念して、約36年ぶりにテレビアニメ化されることになった。原作のエピソードを選び抜き、全4クールでテレビアニメ化し、宮野真守さんが人気キャラクターの面堂終太郎を演じることも話題になっている。個性的なキャラクターが多数登場する「うる星やつら」の中でも、面堂はひときわ強烈なキャラクターだ。「最大限の表現」に挑戦したという宮野さんに新作アニメに懸ける思いを聞いた。
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「うる星やつら」は、高橋さんの代表作の一つ。高橋さんは、1978年に「勝手なやつら」でデビューし、「うる星やつら」は1978~87年に「週刊少年サンデー」(小学館)で連載された。趣味はガールハントの高校生・諸星あたると、地球に来た鬼族の娘・ラムの日常が描かれた。テレビアニメがフジテレビ系で1981年10月~1986年3月に放送された。新作アニメは、「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」などの高橋秀弥さん、木村泰大さんが監督を務め、david productionが制作する。神谷浩史さんが主人公・諸星あたる、上坂すみれさんがヒロイン・ラムを演じる。
「『うる星やつら』は子供の頃に再放送で見ていました。どんぴしゃリアルタイムの留美子先生の作品は『らんま(らんま1/2)』だったんです」という宮野さん。新作アニメの制作を聞いた時は「伝説的に燦然(さんぜん)と輝く誰もが知ってる作品だからこそ、もう一度ここで、令和に作るということにびっくりしました」と振り返る。
「オーディションのお話をいただいて、えっ!?と思って。オーディションは、あたると面堂の声を自分で録(と)って送るという形だったのですが、何度やっても自分からあたるの声が出てこなくて、何回も録り直してあたるのテープを送ったんです。次に面堂を録り始めたら何の苦労をすることもなくて、面堂の性質がどうにもこうにも僕にフィットして(笑い)。自分なりにやったとて、いろいろな表現が出てきたんです」
テープオーディションでは「やりすぎたかな」という思いがあったが、その後のスタジオオーディションでは「もっとやってください」とさらなる表現を求められた。
「もっと爆発的なテンションを求められてるんだと思った時、これは楽しいぞ!と思って。これは絶対にやりたい!と。憧れの留美子先生の作品で、恐る恐るではなくて、思いっきりやれる。そういう経験をさせてもらえる素晴らしいきっかけになるんじゃないかと思っていたので、面堂役が決まった時はすごくうれしかったです」
1980年代に放送されたテレビアニメでは、神谷明さんが面堂を演じた。個性的な面堂のキャラクターもあり、神谷さんの声の印象が強い中、宮野さんはどのように面堂と向き合ったのか。
「神谷明さんの表現は何度見ても『やっぱりすごいな』しか生まれないんです。自分の声が神谷明さんの声になり得るわけがないと思っていたので、最初は全然違う戦い方をしようと思っていたんですけど、スタジオで神谷浩史さん、すみぺ(上坂さん)の収録を見た時に『あたるがいる! ラムちゃんがいる! そしてマモ……』じゃダメだと思ったんです。『面堂だ!』と思ってもらえる何かを僕はここで見つけなければいけない。新たなチャレンジが生まれたなと思ってすごく楽しくなりました。神谷明さんのようには自分はできないから、リスペクトを自分の中でたくさん持つことが大事だなと思ったんです。神谷明さんをなぞるのではなく、リスペクトを持ったまま宮野の今思う最大限の表現を現場に出していく」
宮野さんは面堂について「一番根がねじれている子」「上品と下品を同時に兼ね備えている」と感じているといい、「面堂を演じていて、“楽しい”しかない」と語る。
「どんなシーンをギャグと感じるかは人それぞれだと思うのですが、『ここはもっとツッコミのせりふだろうな』とか『もっとボケたせりふだろうな』とか、感じ方一つで声のアプローチは全然変わってくると思うんです。僕自身、コメディーが大好きな人間だから、いろいろなアイデアが浮かぶんです。それは、これまでの経験値も含めて、自分の強みかなと思うので、『宮野、そんな表現するんだ』と思ってもらえるようなものを監督たちに提示していけたらいいなと。それができた時に“自分の面堂終太郎”になれるんじゃないかなって。それは面堂に限らず、どんな役に対しても思っていることです。みんなの想像を超えていくというか、そこは常に目指してるところではありますね」
宮野さんは、面堂のせりふの中でもラムに対する「ラムさん」という呼びかけを「すてきだな」と感じているという。
「すごく特徴的で深みのある、あの独特の声のかけ方がすてきだなと思って。それは神谷明さんのまねをするというよりも、面堂の声のかけ方ってこうなんだなと思ったんですよね。神谷明さんが演じられていた面堂があるからこその『ラムさん』で、自分一人だったら、ああいう感じにはならなかっただろうなと思います」
新作アニメはあたる役の神谷浩史さん、ラム役の上坂さんのほか、三宅しのぶ役の内田真礼さん、錯乱坊役の高木渉さん、サクラ役の沢城みゆきさんら豪華キャストが集結する。「キャスト、スタッフ含めみんなで『うる星やつら』を作っていくという気概があるからこそ、自分が思ってもみないような表現が出てくるんです」と熱い現場となっているようだ。宮野さんには、あたる役に挑む神谷さん、ラム役に挑む上坂さんは、どのように映っているのだろうか。
「すみぺは、単純にすごいなって思います。『ラムちゃんのあのしゃべり方をできる人っているんだ』と思って。平野文さんも多分オリジナルでしゃべってらっしゃったと思うんですけど、あのラムちゃんのイントネーションでしゃべれるってすごい。自分がやれと言われても、どういうふうにやっているんだろう?と考えてしまう。ラムちゃんはラムちゃんでしかないから、誰にも多分説明できないじゃないですか。それをやってるすみぺは本当にすごいなと。めちゃくちゃ練習しないと、あのラムちゃんは出てこないと思うんです。感動します」
神谷さんが演じるあたるは、どう感じているのか。
「神谷さんの声って、すごく知的で美しい。だから、あたるのとても下品でおバカで軽薄な部分はどんな表現になるんだろうと興味津々だったのです。その知的さも残しつつ、絶妙にお下劣なんですよね。それはどうやってやるの?と感動しまして。神谷さんのあたるからは、古川登志夫さんへのすごいリスペクトを感じるというか。お二人が同じ事務所で、親交もあってという中で、あたるを引き継ぐというのはとてつもないプレッシャーだと思うんですよね。僕自身、神谷さんの普段も知っているから、研究や突き詰め方は、計り知れないものがあったんだろうなと思いながら感動して見ていますね」
神谷さん、上坂さんら共演者から刺激を受けながら、宮野さんも「面堂という男を最大限に表現しよう、したいというプレッシャーは毎週あります」と収録に臨んでいる。面堂といえば、「暗いよ~狭いよ~怖いよ~」という名ぜりふも登場するのか気になるところだが、宮野さんに聞いてみると、「宮野劇場を楽しみにしていてください!」と笑顔を見せた。スタッフ、声優陣が原作、過去に放送されたアニメへのリスペクトを込めて作り上げようとしている新たな「うる星やつら」。熱い思い、気概が伝わってくるはずだ。
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