名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
故モンキー・パンチさんのマンガが原作の人気アニメ「ルパン三世」と北条司さんのマンガが原作のアニメ「キャッツ・アイ」がコラボしたアニメ「ルパン三世VSキャッツ・アイ」が、アマゾンの動画配信サービス「Prime Video」で1月27日から独占配信される。「ルパン三世」のアニメ化50周年、「キャッツ・アイ」の原作40周年を記念して制作され、アニメ「シドニアの騎士」や「GODZILLA」シリーズなどでタッグを組んできた静野孔文さん、瀬下寛之さんが監督を務める。“泥棒”ルパン三世と“怪盗”キャッツアイの夢のコラボが実現する同作の制作の裏側について、両監督に聞いた。
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静野監督 すごく魅力を感じました。両作ともテレビアニメを見ていましたし、特にルパン三世というキャラクターにはすごく憧れていました。また、北条さんの作品の中では、僕は「キャッツ・アイ」が印象に残っていて、小学校の頃に「ジャンプ」(集英社「週刊少年ジャンプ」)でも読んでいました。そんな夢のコラボ作品と聞いては、他人には渡したくないなという気持ちがありました。
瀬下監督 この企画が実現したことに驚きました。「ルパン三世」も「キャッツ・アイ」も一世を風靡(ふうび)したコンテンツですから。テレビアニメが放送している当時は、「同じ泥棒だからルパンとキャッツアイが絡んだら面白いかもしれない」と、「もしも」の世界でみんな妄想はしていましたが、実際にできるとは誰も考えていないわけですよね。ですから、石山(桂一)プロデューサーの手腕は、お見事としか言いようがないです。
静野監督 この作品を作るにあたって、コンピューターグラフィックス(CG)で作っていこうという方針を石山プロデューサーが立てていたので、その際、私だけでは足りない部分、CGに強い瀬下さんに入っていただくことになったのだと思います。
瀬下監督 僕と静野監督は、2014年の「シドニアの騎士」、劇場版アニメ「GODZILLA」3部作(2017、18年)、今回の「ルパン三世VSキャッツ・アイ」の3作でご一緒させていただきました。監督同士の共同作業というのはなかなか難しいことなんですが、静野さんは公私共々仲良くさせていただいていて、とても尊敬できる方ですし、静野さんが一緒にやっていただけるのであれば、僕のようなマイナー監督(笑い)でも「ルパン三世VSキャッツ・アイ」というタイトルに立ち向かうことができるのではないかなと思いました。
瀬下監督 やはり今回のようなメジャーな作品は、一部のマニア向けではいけないと思っています。だから、広く一般の方に訴求する時に何に気を使うべきか?というのは、静野さんの感覚に絶大な信頼を寄せています。ですから、僕自身のマニアな部分と静野さんのメジャー感覚とがバランス良く化学反応を起こすようなコラボレーションを意識しました。その上で、「ルパン三世」の個性と「キャッツ・アイ」の個性、その二つが結びつくからこそ何をすべきなのか、静野さんとよく相談させていただきました。
静野監督 そうですね。原作サイドの先生方にご意見をいただいて、キャラクターの守るべきこと、映像表現、シナリオで描いてほしいことというキーワードをもとに、いかに「ルパン三世」と「キャッツ・アイ」の二つのチームを1本の映画の中で活躍させることができるか。与えられたお題を消化しつつ、全てのキャラクターが生き生きと活躍できるように表現していきましょう、ということで瀬下さんにいろいろまとめていただきました。
瀬下監督 CGで長編アニメーションを作りたいという思いで30年以上もCGを作ってきました。一方で、手描きアニメをリスペクトしています。正直、僕の立場からすると、ルパンやキャッツのように、素晴らしい実績のあるタイトルにわざわざCGを使わなくてもいいんじゃないかと思っているんです。ただ、今回に関しては、豊かなアクションを表現したいとか、新しいスタイルを模索したいとか、さまざまなテーマがあってCGを選択していただいているとも思います。その前提の上で、両作品のファンの皆さんに、少しでも違和感なく見てもらうために、このルックを選択しています。とはいえ、皆さんの思い出の中のルパンやキャッツアイには、絶対に勝てるわけないです。見てくださる方の多くは「これは自分のルパンじゃない」「自分のキャッツアイじゃない」と思われるかもしれません。ですから、「CGにしては、なかなか頑張ってる」くらいに思ってもらえたら、うれしいです。
瀬下監督 ジャケットの色は最後まで悩みました。ジャケットを何色にするかによってキャラクター性も決まりますし、今回の作品、演出のムードも大きく支配されますから。最後は石山プロデューサーに「何色がいいですか?」と聞いて、迷いなくピンクと決断してくださって、助かりました(笑い)。
静野監督 コラボアニメの舞台が1980年代だったので、その頃に放送されていた「ルパン三世」のルパンでいきましょうと。
瀬下監督 ピンクジャケットということが決まってからは、作る側も驚くほどにその当時のルパンのイメージになっていくんですよね。
瀬下監督 声優陣に関しては、石山プロデューサーの判断です。先ほども話したように「思い出には誰もかなわない」という点でいうなら、オリジナルの方にやっていただくのが最高なんです。ただ、無理をさせてはいけないんじゃないか?という思いもありました。結局、石山プロデューサーにキャスティングについて聞くと、即答で「オリジナルで」と。「この企画はこうあるべきだ」ということをプロデューサーが極めて強固に認識されている。それは僕ら監督陣にとっては非常にやりやすいですから、とてもいい環境でした。
瀬下監督 そうだと思います。安原さんは何十年ぶりに俊夫を演じられましたが、収録を見ていると、俊夫になっていくんですよね。演者の皆さんが何十年という時を取り戻していく感動というか。あれ自体がエンターテインメントでした。胸が熱くなりました。あの収録の様子をファンの皆さんにも見せたいですね。
瀬下監督 泥棒と怪盗ということで、悪役が主人公のピカレスクですが、痛快さがあるし、元気が出る感じですよね。2作品の音楽もやはり痛快で勢いがあって、早足で歩くような感覚というんでしょうか。
静野監督 最近のアニメと比べると、キャラクターの個性が断然濃いです。細かい設定や話の展開というよりも、キャラクター性で全てを引っ張れるぐらい、個性的なキャラクターがそろっているという点では、とても相性がよかった。組み合わせた時に違和感なく、どちらも潰れることなく表現できたというのは、さすがだなと思いました。
瀬下監督 実際に絵作りをしていると、キャラクターが持っている潜在的なポテンシャルをすごく感じるんです。どこに構図しようが、どこにいようが、ルパンはルパン、キャッツはキャッツです。名作は、キャラクターがとにかく強いんだなと改めて認識させられました。キャラクターに作らされているという感じすらしました。
静野監督 分かりやすく個性がしっかりしているキャラクターなので、こちらとしては悩まずにできました。このキャラクターは、こういうシーンならこう演じるという芝居をさせると、全然似通ったキャラクターにはならない。一つのシーンに何人もキャラクターが登場したとしても、必ず個々でしっかりと個性を出せる設計が元からあるんですよね。今回、キャラクターに触らせてもらって、改めて設計が素晴らしいなと思いました。
瀬下監督 実写で例えると、個性が強くて演技力もある、とにかく使いやすい役者さんがたくさんそろっているようなものですよね。
静野監督 そうですね。「このキャラかぶるね」「この扱い大変だよね」と悩むことはなかったです。逆に、女性陣4人並べても面白いんじゃないかというアイデアも出るぐらいで、4人ひとまとめにしたとしてもシーンとして成立するキャラクターだなと。
瀬下監督 “4人のキャッツアイ”も考えましたね。不二子の服がボロボロになっちゃって、キャッツアイの一人が「予備のレオタードならあるわよ」とか(笑い)。その後、4人で躍動したらわくわくしますよね。
静野監督 最終的なクライマックスで、2作品のどちらのチームをどんなふうに立たせていくかというバランスの取り方は悩みました。そんな時、北条先生から、シナリオの時にはなかったルパンのシーンを足してほしいとアドバイスをいただいて、「最後はやっぱりルパンが出てエンディング入ってほしいですよね」と。そういう助言もいただいて、いいバランスになったんじゃないかなと。
瀬下監督 北条先生が「ルパンを大事にしてくれ」とおっしゃったこと。作家同士のリスペクトを感じて、僕らも感動しました。
静野監督 「ルパン三世」はテレビシリーズが今も放送されているので若い方もなじみがあると思いますが、「キャッツ・アイ」に関しては、キャラクターを知っていてもアニメを見たことがない人も多いと思います。押しつけるつもりは全然ないのですが、ドラマが加わった「キャッツ・アイ」を1980年代の作風としてぜひ知ってもらいたいなと思っています。
瀬下監督 1980年代の日本を代表する二つの魅力的な泥棒キャラクターが鮮やかに対決します。この二つのキャラクターが絡むことによってしか得られなかった面白さを体験していただきたいなと思います。
(C)モンキー・パンチ 北条司/ルパン三世VSキャッツ・アイ製作委員会
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2024年12月22日 17:00時点
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