石橋静河:28歳、新人でも若手でもない「中途半端な場所」 「私は私で行く」という生き方に共感

NHK土曜ドラマ「探偵ロマンス」で村山隆子を演じている石橋静河さん (C)NHK
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NHK土曜ドラマ「探偵ロマンス」で村山隆子を演じている石橋静河さん (C)NHK

 俳優の濱田岳さん主演のNHKの土曜ドラマ探偵ロマンス」(総合、土曜午後10時)で、後の江戸川乱歩となる平井太郎(濱田さん)の文通相手で、三重・鳥羽で小学校教師をしている村山隆子(むらやま・りゅうこ) を演じた女優の石橋静河さん。隆子は後に乱歩の妻となる実在の人物。石橋さんは「大正時代にはかなりかっこいい女の人だったんだろうな」と想像しながら演じたという。石橋さんが、役作りや撮影エピソード、見どころなどを語った。

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 ◇太郎の才能にほれ「私が一番のファンよ!」

 ドラマは、乱歩の作家デビュー100年の節目に、知られざる誕生秘話を描く。気鋭の脚本家、坪田文さんが書き下ろすオリジナル作品で、演出を安達もじりさん、制作統括を櫻井賢さんら、2021年後期のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」チームが手がけている。音楽・主題歌は大橋トリオさんが担当。2月11日は最終第4話が放送される。

 石橋さんが演じる隆子は、太郎がかつて働いていた造船所がある鳥羽の小学校教師。太郎が親愛を寄せる文通相手であり、新たに小説を書いたら、いつも隆子に送り、その感想を心待ちにしていた。劇中では太郎を訪ねて帝都に突然やってきて、太郎をどぎまぎさせる。

 石橋さんは、演じた隆子について「当時としては珍しく学校の先生をしていた女性で凜(りん)としていたというお話を聞いて、それはすごく楽しみだなと思いました。今は女性の活躍がフィーチャーされる時代になってきているけど、大正時代にはかなりかっこいい女の人だったんだろうなと思いますし、演じるのもわくわくしました」という。

 さらに、「隆子さんは凜とした強い部分があり、腹が据わっている温かい人という印象です。太郎さんの才能にほれていて、私が一番のファンよ!という感じの、湿っぽさのない明るい強さがありますね。実際に、太郎さんの才能を引き出すプロデューサー的な存在だったともお聞きしました」などの要素を取り込んで役作りをしていった。

 自身と置き換えて「私は今28歳。何も知らない『新人』でもなくて『若手』という状態からもちょっと抜けつつあるけれど、そんなにたくさん経験があるわけじゃない。いろんなことが変わっていく時代の中で、自分が中途半端な場所にいるような感覚が『探偵ロマンス』で描かれている太郎さんたちの青春と似ているような気もします。だから隆子の『私は私で行く』という生き方を見て、あ、それでいいんだと思えました。そう教えてくれた隆子に出会えてうれしいです」と喜ぶ。

 ◇よく置いてけぼりにされる隆子「私だったらしゅんとする」

 お相手の太郎については、「江戸川乱歩さんってミステリアスな方かなと想像していたので、まさか太郎さんのようなひょうひょうとしていてしかもおとぼけな部分もある設定だとは(笑い)。平井太郎さんという本名にも親近感が湧きました」と語る。

 2人の関係は「隆子と太郎はあまりお互いの顔を見ているわけではないんです。特に太郎さん(笑い)。太郎さんって、平気で隆子のことをその場に置いてどこかへ行ってしまうんですよ。私だったらしゅんとしますけど(笑い)、隆子は『また行っちゃったわ』という感じで、どしっと構えているんです。とても広い視野で太郎を見ているんだろうなと思いました」と感じたという。

 太郎役の濱田さんとは、「今回が初めましてです。やっぱり第一印象は『プロだな!』と感じました。本当に全体を見てらっしゃってお芝居も的確だし、スタッフさんとも仲がいいから自分のお芝居以外のことも周りと会話しながら進めていらして。大人だなあと思います。随所に優しさを感じる方ですね」と表現する。

 ◇和洋の文化が入り乱れたファッションは「私のときめきポイント」

 撮影中は、「街中のシーンで洋装の人、洋装に羽織を合わせている人、着物のカップルなど和洋の文化が入り乱れているのが面白い! 私のときめきポイントです。洋装を素早く取り入れる人もいれば、そんな格好は絶対にしない!と思っている人もいるような時代のはざまというのが感じられて楽しいですね。え! この服にこれを合わせるの!?とか、家のデザインはモダンだけど瓦屋根なんだな~とか、ワクワクしながら見ています」と心を奪われた。

 見どころについて、「謎解きのようなストーリーに、めくるめく展開。映像的にもすごく華やかですし、大正時代についての発見もたくさんあると思うので、そこも楽しんでいただきたいです。スペイン風邪が流行してちょっと不穏な空気が流れるという時代背景が、コロナ禍の今とぴったりと重なるのですが、そんな時代に隆子のような、凜とした女性や、不安に負けない人たちがいたということがすごく面白い、勇気づけられると思います」とメッセージを送る。

 そして、「落書きされた壁の中に、こそっと疫病封じの妖怪“アマビエ”が描かれているのも面白いところ。きっと美術さんの遊び心でしょうね。皆さんもよかったら探してみてください」と呼びかけた。

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