解説:「鬼滅の刃」 超豪華“鬼声優”総ざらい 上弦集結でさらに話題に

「鬼滅の刃」のコミックス第2巻のカバー
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「鬼滅の刃」のコミックス第2巻のカバー

 吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんのマンガが原作のアニメ「鬼滅の刃」の新作テレビアニメ「テレビアニメ『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編」が、フジテレビ系で4月9日から毎週日曜午後11時15分に放送される。2月3日に公開された劇場上映企画「ワールドツアー上映『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」では、「刀鍛冶の里編」の第1話が先行上映され、放送前から大きな話題となっている。中でもファンの注目を集めているのが、鬼を演じる超豪華声優陣だ。テレビアニメ第1作となった「竈門炭治郎 立志編」から“主役級”の人気声優がさまざまな鬼を演じてきたが、「刀鍛冶の里編」の放送を前に鬼の中でも最上位に位置する上弦の鬼の声優陣が発表され、注目を集めている。改めて魅力的な“鬼声優”を紹介する。

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 ◇“お堂の鬼”緑川光から始まった鬼声優の歴史 伝説のパワハラ会議も

 「鬼滅の刃」に登場する鬼とはそもそもどんな存在なのか。念のためにおさらいしておきたい。鬼の主食は人間で、身体能力が高く、傷を負ってもたちどころに治る。鬼の強さは、食った人間の数で決まり、血鬼術と呼ばれる特殊な術を使う異能の鬼もいる。太陽の光を浴びさせるか、特別な鋼で作られた刀・日輪刀で首を切り落とさないと殺すことができない。「刀鍛冶の里編」の前作「遊郭編」では、単に日輪刀で首を切り落とすだけでは死なない鬼も現れ、まだまだ謎も多い。

 これまで数々の鬼が登場してきたが、「竈門炭治郎 立志編」で竈門炭治郎と鬼に変異した禰豆子(ねずこ)が最初に出会ったお堂の鬼を演じたのが、緑川光さんだった。緑川さんから始まった鬼声優だが、以降、鬼殺隊に入隊するため藤襲山で最終選別を受ける炭治郎の前に立ちはだかった手鬼を子安武人さん、手鬼の幼少期を豊崎愛生さん、炭治郎が鬼殺隊の初任務で戦った沼の鬼を木村良平さん、東京・浅草で戦った矢印を操る鬼・矢琶羽(やはば)を福山潤さん、毬(まり)を操る鬼・朱紗丸(すさまる)を小松未可子さんと、人気声優が続々と出演した。

 ここでもう一つ、鬼について説明しておく。鬼にも序列がある。鬼の頂点に君臨するのが、1000年以上前に一番初めに鬼になった男で、唯一人間を鬼に変える血を持つ鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)。炭治郎の家族を殺し、禰豆子を鬼に変異させた宿敵でもある無惨を演じているのが関俊彦さんだ。無惨直属の精鋭が十二鬼月で、上弦と下弦のそれぞれ6人ずつで構成され、上弦の壱が最も強く、下弦の陸が最弱となる。

 「竈門炭治郎 立志編」では、かつて十二鬼月であった鬼、響凱(きょうがい)を諏訪部順一さん、初めて炭治郎たちが相対した“現役”十二鬼月の下弦の伍・累を内山昂輝さんが演じた。累の“家族”である母蜘蛛役で小清水亜美さん、兄蜘蛛役で森久保祥太郎さん、姉蜘蛛役で白石涼子さん、父蜘蛛役で稲田徹さんが出演した。

 累以外の下弦の鬼のキャストは、「竈門炭治郎 立志編」の最終話となった第26話で明かされ、鬼声優の豪華さを印象づけることになった。第26話では、下弦の鬼たちのふがいなさに激怒し、無惨が次々と鬼たちを殺していった。初めて登場したにもかかわらず即“退場”させられた下弦の弍を楠大典さん、下弦の参を保志総一朗さん、下弦の肆を植田佳奈さん、下弦の陸をKENNさんが演じた。下弦の鬼たちの登場シーンは、わずか10分足らずで、SNSでは「豪華すぎて、もったいなさすぎる」「声優の使い方がすごい」と驚きの声が上がった。

 無惨の理不尽さが際立つ同シーンは、ファンの間で「パワハラ会議」とも表現されたが、そこで生き残った平川大輔さん演じる下弦の壱・魘夢(えんむ)は、大ヒットした劇場版「無限列車編」に登場し、炭治郎たちを苦しめた。

 ◇置鮎龍太郎、宮野真守、石田彰 ついに上弦の鬼声優集結

 下弦以下の鬼だけを見ても、声優陣の豪華さに驚かされるが、鬼にはまだ上がいる。上弦の鬼だ。炭治郎たちが初めて相対した上弦の鬼は、「無限列車編」に登場した上弦の参・猗窩座(あかざ)で、劇場版の公開後、石田彰さんが演じていることが明らかになった。「無限列車編」では、猗窩座の登場自体がネタバレであるため公開されるまでキャストが明かされず、劇場で初めて石田さんの声を聞いて驚いた人も多かっただろう。

 続く「遊郭編」では、上弦の陸(ろく)の鬼として堕姫(だき)と妓夫太郎(ぎゅうたろう)の兄妹が登場。堕姫は沢城みゆきさん、妓夫太郎は逢坂良太さんがそれぞれ演じた。沢城さんは妖艶で恐ろしく、妓夫太郎の前では可愛くわがままな妹の一面も見せる堕姫を、逢坂さんは世を恨み、まがまがしさを見せる妓夫太郎を見事に演じきった。クライマックスで描かれた堕姫と妓夫太郎の兄妹の絆に心を動かされた人も少なくないだろう。

 「遊郭編」の終盤では、過去の上弦の陸で、現在の上弦の弐である童磨(どうま)も登場し、宮野真守さんが演じることが明らかになった。原作に童磨が登場したころからファンの間では「童磨を演じるのは宮野さんではないか?」という予想が多く挙がっていたこともあり、SNSなどで大きな盛り上がりを見せた。

 そして、ワールドツアー上映の公開と共に、残る上弦の鬼のキャストが発表され、置鮎龍太郎さんが上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)、古川登志夫さんが上弦の肆・半天狗(はんてんぐ)、鳥海浩輔さんが上弦の伍(ご)・玉壺(ぎょっこ)をそれぞれ演じることが分かった。

 「刀鍛冶の里編」の第1話では、関さん演じる無惨の元に、置鮎さん演じる黒死牟、宮野さん演じる童磨、石田さん演じる猗窩座、古川さん演じる半天狗、鳥海さん演じる玉壺という上弦の鬼が集結する。最高位の上弦の鬼の登場、新たな鬼声優の掛け合いにいやが応でも期待が高まる。

 「鬼滅の刃」は、シリーズ当初から鬼の声優が発表される度に話題を集め、声優予想がファンの楽しみの一つともなっている。それは「鬼滅の刃」が炭治郎ら鬼殺隊だけでなく、敵である鬼の過去、悲哀も丁寧に描く作品だからだろう。「刀鍛冶の里編」でも、鬼たちのドラマ、“鬼声優”の熱演、怪演に注目したい。

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