主演映画「18歳、つむぎます」(北川瞳監督)が3月24日に公開される伊礼姫奈さん。昨年10月期放送の連続ドラマ「推しが武道館いってくれたら死ぬ(以下・推し武道)」(ABCテレビ・テレビ朝日)で、主人公が熱烈に推している地下アイドルを演じ、注目を浴びた期待の若手女優の一人だ。4歳からこの道に進み、17歳にして芸歴はすでに13年という伊礼さん。その胸の内を聞いた。
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「18歳、つむぎます」は、数々の映画、ドラマ、CMをプロデュースする制作プロダクション「The icon」と小学館のプロデュースチームが立ち上げた、若手発掘・育成プロジェクト「私の卒業」第4期作品。伊礼さんのような朝ドラ(NHK連続テレビ小説)出演者や、インフルエンサー、モデル、アイドルに加えて、芝居未経験者も参加し、全編広島県福山市で撮影された。卒業を控えた高校生たちの物語で、大人になること、自身の行く末に思い悩みながらも一歩前進していく姿を描いている。
「みんなの今しかない瞬間、キラキラとしたものが詰まっていて。本当にいいプロジェクトに参加できたなって思いました」
伊礼さんが演じたのは、高校の新聞部に所属する主人公の上山愛理。毎年行っている街の観光PRポスターの制作を楽しみにしていたが今年は中止になってしまうも、代わりのPR企画を提案しようとクラスに協力を呼びかけ、みんなの協力の元、ある一つの答えにたどり着く。
「この作品に光を照らすような、明るい太陽のような存在です。これをやりたいと思ったらすぐ行動に移し、揺るがない芯のある女の子。そういった姿は私も憧れるし、みんなも背中を押されたんだろうなと思いました」
自身との共通点は「あまりなかった」という伊礼さんが演じる上で、意識したのは「常に明るく」だった。
「監督にも『明るく元気に』と言われていたので、ずっと意識はしていました。普段の私は割とすぐ落ち着いちゃうタイプなので、あんなにキラキラしていて、元気な姿はなかなか見ることができないと思います」
“座長”としては、「できるだけみんなと同じ時間を共有しようと思った」といい、「監督にも自分の意見を伝えて」と積極的なコミュニケーションを心がけた。伊礼さんにとって新たな挑戦で、「特に時間がない現場では、監督に言われるがままになりがち。でも今回は台本を読んで、自分の中で一回、落とし込んで、役や演技について分からないことがあったら、自分から相談しに行く。それで方向性が決まったら撮るって、その一連の流れを繰り返しできたので、自分にとっては新しい挑戦だったと思います」と振り返った。
自ら進んでコミュニケーションをとったことで、演技面にもプラスされることがあった。
「やっていて違和感がなかったです。台本の中の愛理は、必ずしも共感できるキャラクターではなかったし、こういうことを本当に言うのか、こういった行動を本当にするのかと、疑問を持ったりもしたのですが、監督と話し合うことで、違和感が一個一個なくなり、その分、迷わずに演技を楽しめたので、それすごくよかったなって思います。演じやすかったし、自信を持って『作品を見てください』と言えるようにもなりました」
映画は「新成人」がキーワードの一つで、大人になることや、自身の行く末に思い悩む18歳の高校生の群像劇にもなっている。現在17歳で、来年2月に彼(女)らと同じく18歳となる伊礼さんは、「早く大人になりたいけど、(数字として)歳を重ねるのはイヤ(笑い)」と素直な胸の内を聞かせる。
「16歳から17歳になった瞬間に、17歳ならコレできるでしょう、とか。17歳になったからできるようになってね、とか。こうしなくてはいけないのかなって後ろめたさがあって。早く大人になりたいけど、年齢で判断されることへのモヤモヤはあります」
そんな同世代に寄り添い、「私たちはまだ18年生きただけだ」と前向きなメッセージを送る同作。伊礼さんは「プレッシャーとか責任とか不安を抱いている同世代に絶対に届くものがあると思うし、周囲にいる大人の方たちにも見ていただいて、自分にもこう言った時期あったなって思い返したり、自分の子供がそうやって悩んでいるんだなと寄り添うきっかけになったらいいなと思います」とアピールした。
弱冠4歳でキャリアをスタートさせ、そこから作品を重ねてきた伊礼さんが、はっきりと「女優を続けていきたい」と思うようになったのは小学校の頃だとか。
「きっかけは小学3、4年のとき、大河ドラマ(2015年の『花燃ゆ』)と朝ドラ(2016年の『とと姉ちゃん』)に出て、“ものを作る”という感覚を初めて知ることができたというか。今までは言われたことをやるって感じだったのが、自分でやらなくてはいけないと言う責任を感じました。所作とか方言とか初めて経験して、演技が『楽しい』と思えたし、そこから女優さんを自分のお仕事として、これからもやっていきたいと思うようになったんです」
そんな伊礼さんには「恩師」と呼べる存在がいて、それは「最初にお芝居を教えてくれた先生」だという。
「当時4歳で、最初の1年くらいは泣きっぱなしのレッスンだったのですが、基礎から教えていただいて。ダンスの先生は『嫌なら無理してやらなくていい』と言ってくださったのですが、お芝居の先生だけは『泣いてもいいから来なさい』と。泣いてもダメなんだ、じゃあやるしかないと子供ながら思えたし、褒めてもらったときのうれしさを小さいながら経験できて、この先生に褒めてもらいたいと頑張るようにもなりました。本当にすてきな先生で、その先生がいなければ今、私はお芝居をやっていないと思っています」と感謝していた。
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