もういっぽん!:伊藤彩沙×安齋由香里×三浦千幸×稗田寧々 青葉西柔道部の絆 「熱い!」収録の裏側

「もういっぽん!」に出演する(左から)三浦千幸さん、安齋由香里さん、伊藤彩沙さん、稗田寧々さん
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「もういっぽん!」に出演する(左から)三浦千幸さん、安齋由香里さん、伊藤彩沙さん、稗田寧々さん

 「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載を開始し、現在は「マンガクロス(同)で連載中の村岡ユウさんの柔道マンガが原作のテレビアニメ「もういっぽん!」。自身も柔道経験者であり、「むねあつ」「ウチコミ!!」といった柔道マンガを手がけてきた村岡さんの最新作が原作で、女子高生たちが柔道に青春を懸ける姿が描かれている。1月にテレビアニメがスタートし、リアルで迫力ある柔道シーンもさることながら、声優陣の熱演も話題を呼んでいる。クライマックスに向けて、青葉西高校柔道部のメンバーを演じる園田未知役の伊藤彩沙さん、滝川早苗役の安齋由香里さん、氷浦永遠役の三浦千幸さん、南雲安奈役の稗田寧々さんに収録の裏側、作品に懸ける思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇「もういっぽん!」のまぶしすぎる青春

 --「もういっぽん!」の原作を読んで感じた魅力は?

 伊藤さん 原作を読んで、爽快感であったり、疾走感であったり、マンガだけど立体的に飛び出してくるようなものを感じました。本当にキラキラしていて、青春が詰まった作品だと思います。読むタイミングや年齢でもいろいろな感じ方があるんだろうなと思って、自分が小学生の頃に読んでいたら、柔道を始めていたかもなって思うぐらい、すごく柔道に挑戦したくなる作品とも思いましたし、柔道に今まで触れたことがない方でも、めちゃくちゃ楽しめる作品だなと思いました。

 安齋さん 私がこの作品を知ったのはオーディションのお話をいただいた時だったんですけど、本当に面白くて。「青春ってこういうものだよな」と胸が熱くなるシーン、泣けるシーンがあって、キャラクターも誰一人として悪い子がいない。みんなが一つのものに向かって努力している姿が格好よくて「私もこうなりたい」と刺激を受けるエピソードがたくさんありました。

 三浦さん 私もオーディションの時に作品を知りまして、生々しいというか、汗の臭いや柔道で息が上がっているその熱気まで感じるようなすごい作品だなと思いました。表情が何より良くて、イラストなどの一枚絵のきれいさとはまた違った、表情がくしゃっと崩れた感じとか、本当に一つ一つがいいなと思って。私自身、自分がこういうふうに学生時代を送れていたら、もっといい人間になれたんじゃないかと思うぐらい(笑い)。それぐらいまぶしい生活を送っていて、すごくすてきな作品だなと思います。

 稗田さん 私も「もういっぽん!」を読んで感じたのは、とにかく絵にめっちゃ力がある作品だなということです。熱気だったり熱量みたいなものが、絵の一つ一つの線からめっちゃ伝わってくる。青葉西のライバル校を含め、たくさんのキャラクターが登場するんですけど、個性はありつつも「いそうだな」というリアルさもあって。キャラクターたちが一つのことにここまで思いを込めて、限られた時間の中でできる限りのことをやろうと、悩んで試行錯誤している姿がまぶしくてしょうがなくて。敵校のキャラクターを含めて、それぞれにドラマがあるので、みんながいとおしいというか。それぞれに感情移入できちゃうところがすごくすてきだなと思います。

 --自身が演じるキャラクターの魅力は?

 伊藤さん 未知は、明るくて真っすぐで、みんなの真ん中にいるべくしているような子だなと思います。その部分は、今も変わらず、ぶれずにあるんですけど、アフレコを重ねていくうちに、未知はイケメンなのかもしれないと思って。ちょっと人たらしというか、みんなに愛されているなと。例えば、悩んでいる人がいたら、そっと寄り添うんじゃなくて、欲しい言葉をぱっと投げかけるところがあって、男子学生のような格好よさがあるなと思って。演じていて改めて未知の良さに気づけたなと思います。

 安齋さん 私が演じている早苗は、努力を続けて、諦めない心を持っているところがすごく尊敬できる子です。加えて、一歩引いて周りを見られる力があるキャラクターで、ただ全部引いているだけじゃなくて、みんなと女子高生らしい等身大な関係も築けていたりして。等身大の部分と、周囲を取りまとめることができる気質とがうまく混ざっていてすごく魅力的だなと思います。

 三浦さん 永遠は、最初はおとなしくて、口下手で不器用な子という印象だったんですけど、それだけじゃない。いろいろなキャラクターがいる中で、一番人間的に分かりやすく成長しているのって永遠なんじゃないかなと。演じていても、回を重ねるにつれて、みんなと一緒だから言えている言葉、できている行動がたくさんあって、戦っている時はエースだからこそみんなの期待を背負って挑む。第1話の試合のシーンとはまた違うなと、演じながら変わっていきましたね。

 --稗田さんが演じる南雲は、親友の未知と一緒に頑張りたいという思いから、長年続けてきた剣道を辞め、柔道部に入部します。

 稗田さん 南雲は、テンプレートの言葉を使うとツンデレなんですけど、そのツンデレには、今まで剣道をやってきた人生とか、未知との関係性とか、深いものがあって。南雲が自分のことを「神童」というのも、自分がそれまで積み重ねてきた努力があるからこそ言えることだし、本当にすごく真面目な子なんだなって思います。柔道部に入って、初心者ゆえに金鷲旗(きんしゅうき)には選手として出られないとなった時も自分にできることをやろうとする。「みんなで一緒に戦う」という意識をちゃんと持って行動ができるのは格好いいなと思います。あとは、未知への愛が激重で(笑い)。思ったよりも重いなって。

 伊藤さん 重いね(笑い)。

 ◇青葉西キャストの熱い絆 最終話のアフレコは卒業式?

 --アニメ本編では、青葉西柔道部がチーム一丸となって金鷲旗に挑んでいます。キャストの皆さんのチームワークはいかがですか。

 稗田さん みんな年齢が近いので、自然と打ち解けていったというか。

 伊藤さん 未知たちもすごく仲がいいから、私も第1話の収録の時、「最初から仲良くなりたいな」って。そうしたらきっとより良いお芝居もできるかなと思って、第1話の収録に臨みました。そうしたら、みんなも同じ気持ちだったみたいで、4人がそれぞれ話しかけていて。そういうスタートだったから、すごく仲良くなれたかなって思います。みんな最初はほぼ初対面だったんですけど、こんなに肩の力を抜いた状態でいられるメンバーっていうのもすごく不思議です。だから、こうやって一緒になれたのも何かの運命なのかなって思います。

 安齋さん 第1話の収録の時に、スタッフさんの前でキャスト一人一人が意気込みを語るということがあったんですけど、私は一人でド緊張して。その後、改めて落ち着いて、このメンバーで収録を行った時に、みんなの作品への愛を肌で感じてすごく安心感があったんです。同じ道を行く役者がそろっているんだと感じましたね。

 稗田さん 私は最初のあいさつで「柔道を広めたい」と言ったんです。

 安齋さん 格好よかったよ。

 稗田さん それもスタッフさんと話した時に「この作品をすごく丁寧に作っていきたい」「この作品を“令和の『YAWARA』”にしたい」と、熱量を持って作られているというお話を聞いたから、キャスト陣も士気を高められたというか。こんなに制作スタッフさんがすごい熱を入れてやってくださって、それに応える活躍を私たちもしたいという思いがあって「柔道を広めたいです」という言葉が出てきたんです。

 伊藤さん 今思うと、入学式のあいさつみたいでした。第1話は入学式で、最終話は卒業式みたいだなって思いました。最終話の収録では、原作の村岡先生がキャスト一人一人に、キャラクターのイラストを描いた色紙をプレゼントしてくださったんです。本当にうれしくて! キャストみんなで色紙を見せ合って、写真を撮って。夏目先生役の内山(夕実)さんも残ってくれていて「一緒に写真撮ってください!」と。「先生、写真撮ろう!」みたいな、本当の卒業式みたいでした。

 安齋さん その後、内山さんも加わったLINEのグループで写真を共有したんです。それも含めて学生みたいでいいなって。初めから終わりまで良かったな、楽しかったなって。

 --声優陣の絆は、収録を重ねるにつれ強くなっていった?

 安齋さん そうですね。最初の頃は、収録終わりの帰り道や収録中や要所要所でみんな「会話をしたい」という気持ちがあって、それがありがたかったですね。その積み重ねで、徐々に自然に会話するようになって。

 伊藤さん 私、「もういっぽん!」の収録期間を思い返すと、未知としての演じ方をすごく悩んで、迷うこともいっぱいあったんです。私、あんまり相談を人にしないタイプだったんですけど、みんなとは話せたんです。

 稗田さん 収録の後に「あそこってどう聞こえていた?」という話をしたりとか。

 伊藤さん たしかに。お互いに確認し合って。

 三浦さん 収録が始まる前のロビーでも、マンガを読みながら「台本のあそこさ」みたいな話をすることがすごく多かったよね。

 伊藤さん 多かったね。

 三浦さん ほかの作品よりも、息のアドリブがすごく多かった気がして。毎回始まる前に「あのシーンのアドリブどうする?」という事前打ち合わせをしていて。そういうことを話す機会がめちゃめちゃ多かった気がする。

 安齋さん 演技中も交流をしているというか、お互いの雰囲気を感じて、演技してたなって思います。試合中の息の芝居でも、会話でも、事前の打ち合わせ以外にも、みんなで作り上げたという空気感はすごくありました。

 --息の芝居には、柔道アニメならではの難しさがあった?

 稗田さん 私が演じる南雲はがっつり試合シーンはないので、みんなを見ていることが多かったんですけど、「めっちゃ大変そう!」と思っていました。。本当に試合しているかと思うぐらい、みんな息が切れていたりするのですごいなと思って。

 伊藤さん 本当に大変でした。立っているのが精いっぱいというぐらいゼーハーゼーハーして酸欠寸前で。あとは集中力との戦いでした。柔道の複雑な動きを理解するために冷静な自分もいなきゃいけないんだけど、真剣に戦わなきゃいけないという。理性と本能との戦いのような感じで、もうすごかったです。

 ◇最終話で青葉西の強さを見せつけたい! 「続きを期待しちゃう」

 --アニメのクライマックスに向けて、見どころを教えてください。

 伊藤さん 金鷲旗が進んでいく上で、敵校のキャラクターもたくさん登場しますが、青葉西メンバー以外のそれぞれのストーリーも分かってくると、本当に誰を応援していいのかと。心からみんなを応援したくなっちゃうんですけど、それがやっぱり「もういっぽん!」の魅力だと思います。みんなの柔道人生を応援してほしいなと思いますが、青葉西の応援もよろしくお願いします。青葉西は「みんな強いんやで」というところを見せつけていきたいよね。

 安齋さん いきたいね! この作品の熱さは最後まで続くので、それはもう安心してぜひ最後まで皆さんも駆け抜けていってほしいです。個人的には、クライマックスで、早苗役のオーディションで演じさせていただいたシーンがあります。私はそのシーンが本当に好きで、それを色がついた状態、音が入った状態で見るとどんな感じなんだろう?とすごく楽しみです。クライマックスの試合シーンは、本当に熱いものになっているので、みんなと一緒に見られるのが楽しみです。

 三浦さん やっぱり見どころは試合のシーンです。クライマックスに近付くにつれて、未知や永遠、早苗が序盤と比べて「こんな決断をするようになったんだ」「こんな判断をして戦うようになったんだ」と感じられることが一番熱いところなんじゃないかなと思います。姫野さんや南雲も含めて、これまでがあって、かつこのメンバーと出会えたからこその今があるんだなというところを、ぜひ見てほしいです。

 稗田さん 私は柔道にはいろいろな意味で「強い」というイメージがあったんですけど、「もういっぽん!」は女子高生ということもあって、柔道をやっているけど、あくまで女の子で、柔道以外の友情だったり、家族の部分もすごくフィーチャーされている作品でもあると思います。家族、友達の支えがあったり、柔道以外の日常があるから、より柔道も頑張れるところがきっとあるので、そういうの全部ひっくるめて「もういっぽん!」は「みんながなぜ柔道を頑張りたいか?」という柔道の魅力をすごく伝えてくれる。金鷲旗の最後の試合は、まだ絵が完成していないアフレコの時もくぎ付けになるぐらい、皆さんの脚本もお芝居も素晴らしかったです。すごいクライマックスになっていると思うので、ぜひ皆さん心して見てほしいなと思います。あとは、続きを期待しちゃうな。

 安齋さん そうだね、これからだもんね! 南雲はとくに。

 伊藤さん まだまだね! 南雲がまだ試合してないんですから。私たちも見てくださっている方が熱を持って応援してくださっていることをすごく感じるので。

 三浦さん もちろん私たちキャストもアフレコの時からいい関係を築けているんですけど、そこからさらに絆が深くなっている今また演じられたら、さらに良いものができるなという気がすごくします。

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