内山昂輝:「山田くんとLv999の恋をする」山田を繊細に演じる 高校時代は水泳部ならぬプール部!?

「山田くんとLv999の恋をする」に出演する内山昂輝さん
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「山田くんとLv999の恋をする」に出演する内山昂輝さん

 マンガアプリ「GANMA!(ガンマ!)」で連載中のましろさんのラブコメディーマンガが原作のテレビアニメ「山田くんとLv999の恋をする」が4月1日からTOKYO MX、BS11ほかで放送される。予期せぬ失恋に落ち込む女子大生・木之下茜とゲーマー男子高校生・山田秋斗の“難攻不落”の恋を描いた作品で、水瀬いのりさんが茜、内山昂輝さんが山田をそれぞれ演じる。山田は、クールに見えるが、実は優しいキャラクターで、どこか内山さんのイメージと重なるところもある。内山さんに収録の裏側、自身の高校生時代について聞いた。

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 ◇高校時代からの変化

 「山田くんとLv999の恋をする」は、「第6回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」で大賞に選ばれ、コミックスの累計発行部数が200万部を突破した話題作。アニメは、マッドハウスが制作する。

 内山さんが演じる山田は、進学校に通う男子高校生兼プロゲーマー。その腕前から、ゲーマー界隈ではそれなりに有名で、外見は超イケメンだが、他人、特に女性とのコミュニケーションが苦手だ。

 「山田は、性格は基本的にクールで、見た目は格好いいんですけど、それを鼻にかけた感じはなくて、ぶっきらぼうに見えます。ただ、性格が悪い、人に対して攻撃的というわけではありません。人からどう思われようと気にしない、好かれようとしないタイプなんです。自分を必要以上に格好よく見せようとせず、素のままなんです。演じる際は高校生であることや、キャラクターデザインに合った雰囲気をベースとして考えながら、そういう彼の内面を意識しました」

 内山さんは、自身の高校生時代を振り返り、山田に共感するところがあったという。

 「自分が10代、高校生の頃は山田と一緒とまではいかないですけど、人からどう思われる、どう見られるかをあまり気にしていなかったですし、よく思われようとか、評価されようとも思っていませんでした。なので、昔の自分を思い出すところがありました。あれから時がたち、大人の声になってきたので、高校生らしさ、茜さんとの対比で年下感を出したいと思った時、昔の自分の声の要素がほしくなる瞬間もあります。今の自分という素材をそのままで出すというよりは、そういう要素を入れないといけないかもしれない……と考えながら演じていました」

 「昔の自分の声の要素」とはどんなものなのだろうか? 内山さんは声優としての経験、年齢を重ねる中で声が変化していることがあるという。

 「基本的なキーがちょっと下がっていて、声が太くなり、響きが少し多いと言いますか、昔より声が重い感じがしますね。子供の頃から声のお仕事をやっていたので、その時にやっていたキャラクターのせりふをまた録(と)る機会がたまにあるのですが、当時の声を聞いてみると全然違うんです。それをマネしないといけないのが結構大変で、昔の自分との戦いみたいになるんです。当時の声の成分がほしいな……と感じることもあります。今の自分と比べて、技術的に足りていないところもあるかもしれないけど、そういう表現の面白さというものもあるんです。ただ、今だからこそできることもあって、痛しかゆしなんですけど。今、この瞬間に目の前のことを頑張り続けるしかないんだろうと思うようにしています」

 ◇“抑えること”を大切に

 クールな山田を演じる中で大切にしているのは「抑えること」だ。感情を表に出しすぎないように繊細に演じようとした。

 「特に序盤は『もう少し抑えて』と演出されることが多かったです。後半は割と振り幅がありましたけど、とにかく基本的には感情をあまり出さないし、笑顔を見せない。茜さんとの関係も徐々に変わっていきます。序盤に比べると、中盤以降は会話の雰囲気が変わって、山田のまた違う表情も出てきます。全体的に、大きく急激に変化するというよりは、いつの間にか変わっていくような感覚でした」

 よくしゃべる茜、クールな山田は対照的にも見える。

 「山田は序盤、口数が少なく、しゃべってもボソッと一言というのが多かったのですが、段々としゃべるようになります。序盤で、茜さんと食事をするシーンの会話で『茜さんのノリ、じょうぜつな感じに乗っからないでほしい』と演出されました。茜さんがたくさん話す一方で、山田はポツリポツリとしゃべる感じで、水瀬さんに助けられた部分は大きいと思います。せりふ量の格差がすごくて、申し訳なかったです」

 茜を演じる水瀬さんと共演する中で刺激を受けている。

 「水瀬さんは(2015年公開の劇場版アニメ)『心が叫びたがってるんだ。』で初めて本格的に共演して、その時、彼女はまだ10代でしたが、最近は、当たり前なんですけど、大人になったな!と感じています。いろいろなキャラクターを演じられていますし、今回は僕が高校生役、水瀬さんが大学生役ということで、水瀬さんが年上の役になります。茜さんは大人っぽさがありつつ、抜けたところもあって、そこが可愛いですし、多彩な魅力を持ったキャラクターだと感じています」

 ◇スタッフ、共演者に感謝

 高校生の山田はコミュニケーションが苦手だが、さまざまな人との出会いを通じて、少しずつ変化していく。内山さんはどんな高校生だったのだろうか?

 「高校生の頃は一応水泳部だったんですけど、全員が大会を目指すような部ではなかったし、特に僕らの代はフィットネス目的のプール部みたいな感じでした。試合に出たことはないし、プールで遊ぶこともありました。まずはそれぞれ好きに泳いで、泳ぎ疲れたらボールを投げて遊んだり。時間がきたら、じゃあ帰るか!って感じで(笑い)。とにかく部員が少なかったんですが、僕は一応部長だったので、部員を増やさなきゃいけないから『来なくてもいいから名前と電話番号だけ書いて!』とお願いしていました。学校のみんなは優しくて、すごく人数が増えたんです。部員の基準を緩くした結果、数は増えたんですけど、誰がちゃんとした部員か分からなくなくなっちゃって。引き継いでくれた後輩の子はその後、整理するのが大変だったみたいです……。申し訳なかったです」


 内山さんは高校生の頃から声優として活躍していた。当時、お世話になったスタッフ、共演者に感謝しているという。

 「高校3年生の時に一年間、アニメのレギュラーのお仕事があって、学校に通いながら収録していました。部活は大変ではなかったけど、今考えると定期テストとか、忙しい時期もあったのかもしれません。仕事では業界の皆さんに本当に助けていただきました。学校を早退せず収録に参加できるように、時間を調整していただいたり、修学旅行の時に収録を休ませていただいたり、いろいろと配慮していただきました。その点は本当に感謝しています。自分が大人になった今は、下の世代をケアする立場にならないといけないと思っています」

 「山田くんとLv999の恋をする」の放送に向けて「アニメならではの小ネタ、スタッフさんの遊び心が随所にちりばめられていて、アイキャッチなどにも面白い仕掛けがたくさんあります。原作を読んでいる方も原作を知らない方も、皆さんに見ていただきたいです。男女関係なく楽しめるはずです」と語る内山さん。繊細な内山さんの演技にも注目したい。

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