村瀬歩:話題の“男子プリキュア”を「誠実」に演じる 初変身の裏側

「ひろがるスカイ!プリキュア」の一場面(C)ABC-A・東映アニメーション
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「ひろがるスカイ!プリキュア」の一場面(C)ABC-A・東映アニメーション

 人気アニメ「プリキュア」(ABCテレビ・テレビ朝日系)シリーズの第20弾「ひろがるスカイ!プリキュア」に、村瀬歩さんが声優を務める“男子プリキュア”キュアウィングが登場することが話題になっている。同シリーズ“男子プリキュア”がレギュラーキャラクターとして登場するのは初めて。放送がスタートする前、2月2日にキュアウィングの登場が発表されると、SNSを中心に大きな盛り上がりを見せた。4月2日放送の第9話「勇気の翼、飛べキュアウィング!!」で、ついにキュアウィングが初登場した。村瀬歩さんに、話題の“男子プリキュア”について聞いた。

ウナギノボリ

 ◇“男子プリキュア”がついにきた! 

 「ひろがるスカイ!プリキュア」のモチーフは果てしなく広がる「空」で、テーマは「ヒーロー」、キーワードは「知ることで広がる世界」。天空の世界・スカイランドと自然に囲まれたソラシド市の二つの都市を舞台に、プリキュアの活躍を描く。関根明良さんがソラ・ハレワタール/キュアスカイ、加隈亜衣さんが虹ヶ丘ましろ/キュアプリズム、古賀葵さんがスカイランドの幼いプリンセス・エルを演じる。ABCテレビ・テレビ朝日系で毎週日曜午前8時半に放送中。

 「プリキュア」は20周年を迎える人気シリーズだ。第20弾は、キュアウィングに加え、七瀬彩夏さんが演じる“新成人プリキュア”のキュアバタフライが登場することも発表されており、さまざまなチャレンジがある作品になっている。

 村瀬さんはオーディションでキュアウィング役を射止めた。村瀬さんはオーディションを受けることになった際のことを「『今回のプリキュアは、男の子のプリキュアが一人います』というお話があり、オーディションに参加させていただきました。ついにきたか!という気持ちでした」と振り返る。

 同シリーズに“男子プリキュア”が登場するのは初めてではない。2018~19年放送の第15弾「HUGっと!プリキュア」の第42話「エールの交換!これが私の応援だ!!」で、初の“男子プリキュア”キュアアンフィニが登場したことも話題になった。

 「キュアアンフィニが登場した時、ミーハーで失礼な話なんですけど、やりたかったな……と思っていたんです。その時は、レギュラーで男子プリキュアが登場する日が来るなんて思っていなかったのですが。プリキュアはやっぱり子供の憧れだし、僕と同世代の友人からも『子供と一緒に見ている』という話を聞きます。同窓会で男性の友人に『プリキュアには出ないの?』と言われたこともありました。一度、『Go!プリンセスプリキュア』でゲストとして出演させていただいたことがありましたが、やっぱり女の子が変身するものですし、レギュラーは難しいのかもしれない……と思っていました。ただ、『デリシャスパーティ プリキュア』でブラックペッパー、マリちゃんが登場し、男の子の戦士も出てくるんだ!と思っていた時にオーディションのお話をいただいたんです」

 これまでプリキュアを演じてきた女性声優に取材してきた中で「プリキュアに出演するのがずっと夢だった」という話を何度も聞いてきた。プリキュアは子供の憧れというだけでなく、声優にとっても特別な存在なのだろう。

 「女性声優の方から『何回も受けてやっと受かった』という話を聞いたことがあります。今回、キュアウィングのオーディションは女性声優の方も参加していたという話も聞き、倍率もすごそう……とも思いましたが、倍率の問題ではなくて、本当にキャラクターに合うのか、合わないかなので、ご縁があれば……という思いで臨みました」

 出演が決まった時の喜びも大きかった。

 「決まる前に『候補に残っています』という話を聞いて、どうなったんだろう?とすごく気になっていました。その後、1週間くらい音沙汰がなかったので、ダメだったのかな……と思っていた時に『決まりました!』と連絡をいただきました。めちゃくちゃうれしかったです。うれしい!の一言に尽きますね」

 村瀬さんの出演が発表されると、反響も大きかったようで「声優業界以外の友人からご連絡をいただきましたし、さまざまな現場で『プリキュアだ!』と言っていただくことも多かったです。素晴らしい歴史のあるシリーズの重みを感じて、身震いしました」と話す。

 ◇初変身も緊張なし ポジティブに

 第9話では、スカイランドの夕凪ツバサがキュアウィングに変身した。初めての変身シーンについて「難しかったですね」と語る。

 「前回、ツバサが自分の覚悟を口にしていますし、その状態で『あなたのナイトが参ります』と強く宣言し、変身するので、その強さをそのまま表現しようとしたのですが、監督から『強さだけじゃなくて、ちょっと柔らかさがあり、ツバサの芯の部分も表現してほしい』というお話がありました。ツバサの柔らかさも出そうと思いを込めて、楽しくやらせていただきました。キュアウィングは、飛びながら戦い、軽やかさがあります。ズシッと演じると、音が沈む印象にもなるので、軽やかにステップしてるような意識でした」

 これまでプリキュア声優に取材する中で「初変身は緊張する」という声を聞くことも多かった。意外にも村瀬さんは「緊張しなかったんです」という。

 「緊張感を持とうとはしていますが、僕は普段も心臓がバクバクするようなことがあまりないんです。心臓が強いのかな? もちろん緊張感を持ってきちんとやろうとは思っていますし、緊張感をポジティブに捉えようとしました」

 子供に人気の作品ということもあり、意識していることもある。

 「ツバサとして感じたこと、空気感をきちんと表現して、誠実に演じようとしています。変身してからは、力強さ、戦士としての使命などを表現し、子供たちから『格好いい!』と思っていただけるようにしたいと思っています。キメるところはしっかりキメるなどしっかり伝わるように、大さじ一杯分くらい『伝われ!』という思いを込めています。やりすぎてもいけないので、難しいところなのですが」

 ◇笑われても気にしない ハートの強さ

 「ひろがるスカイ!プリキュア」のテーマは「ヒーロー」だ。村瀬さん自身も子供の頃、ヒーローに憧れていた。

 「スーパーマンとかバットマンとかアメコミのヒーローが好きでした。ヒーローには、普通の人間の枠を超えた強さがあってほしいと思っています。現実の世界だと大谷(翔平)さんですよね。そういうレベルじゃないと、やっぱりヒーローではないでしょうし」

 初変身という大一番でも緊張しない村瀬さんもヒーローのようにも見えるが「全然能力が足りてないですよ! 恐縮です」と笑う。

 「自分は、この作品だと(聖)あげはさんに近いかもしれません。ゴーイングマイウエーなんです。自分の信念があって、別に誰に何言われても、自分のやりたいことに誠意を持ってやろうとします。笑われても気にしないんです。それを『いいね』と言っている人のことを大事にしたい。ハートが強いのかもしれません」

 今後の収録に向けて「僕らはあくまで楽器であり、指揮者でもあり、演奏家でもあるんですけど、選んでくださる方がいないと成り立ちません。選んでいただいたからには、一生懸命頑張って、選んでいただいてありがとうございます!という気持ちをきっちり持ち続けて演じていきたいです」と語る村瀬さん。こんなに格好いいことをさらりと言えるのだから、やっぱりヒーローのように見える。キュアウィング、村瀬さんのさらなる活躍が期待される。

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