解説:「機動戦士ガンダム 水星の魔女」 キャラデザインの魅力 “幻”の案も

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」に登場するガンダム・エアリアル(左)とスレッタ・マーキュリー
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「機動戦士ガンダム 水星の魔女」に登場するガンダム・エアリアル(左)とスレッタ・マーキュリー

 人気アニメ「ガンダム」シリーズの新作テレビアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」は、これまでにない“新しいガンダム”を目指した。「ガンダム」のテレビアニメシリーズとしては女性主人公にするなどさまざまな挑戦があるが、キャラクターデザイン原案に新進気鋭のイラストレーターのモグモさんを抜てきしたのも挑戦の一つだ。モグモさんのデザインの魅力を解説する。

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 ◇“幻”の指揮官タイプの女性主人!?

 モグモさんは同人ユニット「モリオン航空」の主宰の一人で、オリジナル作品をメインに創作活動を展開し、ゲーム「Project GAMM(ガム)」のキャラクターデザインなどを手がけている。モグモさんは、これまでゲームなどに参加したことはあったが、アニメのキャラクターデザイン原案を担当するのは初めて。コンペに参加し、「水星の魔女」のキャラクターデザイン原案という大役をつかんだ。

 「水星の魔女」のスタッフを取材する中で「『新しいガンダム』を作りたい」という声を聞くことも多かった。女性主人公というのも“新しさ”の一つで、モグモさんは自由な発想で主人公を描こうとした。

 モグモさんは「ガンダム」シリーズに「少し未熟な少年が、成長していく物語というのが基本的にある」というイメージを持っていたといい、設定協力として参加している「モリオン航空」のHISADAKEさんとその真逆の設定や世界観を考えた。そこで生まれたのが、自立した指揮官タイプの女性主人公だった。

 「水星の魔女」の主人公スレッタは、指揮官タイプではないので“幻のデザイン案”になったが、モグモさんら「モリオン航空」が提案した企画案がスタッフの目に留まり、キャラクターデザイン原案を打診された。

 ◇普遍性のあるデザインを

 スレッタは、内向的な性格で、コミュニケーション能力がやや乏しい。赤い髪、太い眉などが特徴だ。目指したのは「普遍性のあるデザイン」だった。モグモさんは、小林寛監督の「数年後も数十年後にも残るような作品にしたい」という言葉を受けて、あえて流行を取り入れなかった。数年後に見た時も古く見えず、新鮮に見えるようなデザインを目指した。

 普遍的なデザインではあるが、しっかり主張もある。「あまりとがった特徴を作りすぎるとやぼったくなったり、ダサく見えてしまうので、いかに特徴を保ったままマイルドにするかというバランス調整に長い時間を掛けています。例えばチュチュ(チュアチュリー・パンランチ)の髪形もそうです。ありえないような髪型ですけど、いかにそういったとがった要素を可愛く、時にオシャレに見せられるかがデザインの面白さになりますし、常に意識しているところです」と細部にこだわった。

 「水星の魔女」のキャラクターデザインは、新鮮でありながら普遍性もある。だからこそ、多くの人の心をつかんでいるのかもしれない。

 「水星の魔女」のキャッチコピーは「その魔女は、ガンダムを駆る。」で、多くの企業が宇宙に進出し、巨大な経済圏を構築した時代のA.S.(アド・ステラ)122が舞台となる。モビルスーツ産業最大手・ベネリットグループが運営するアスティカシア高等専門学園に、辺境の地・水星から主人公の少女スレッタ・マーキュリーが編入してくる。Season(シーズン)1がMBS・TBS系の日曜午後5時のアニメ枠“日5”で2022年10月~2023年1月に放送された。Season2が“日5”で放送中。

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