聲の形:初ミュージカル化 山崎玲奈&島太星のW主演 10月上演

「聲の形」のミュージカル「ミュージカル『聲の形』」のビジュアル(C)大今良時・講談社(C)2023 All Staff Co.,Ltd./Musical company It’s Follies
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「聲の形」のミュージカル「ミュージカル『聲の形』」のビジュアル(C)大今良時・講談社(C)2023 All Staff Co.,Ltd./Musical company It’s Follies

 劇場版アニメも話題になった大今良時さんのマンガ「聲の形(こえのかたち)」がミュージカル化されることが分かった。同作がミュージカル化されるのは初めて。聴覚障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の孤独や絶望、愛などを描いたマンガで、ミュージカルでは、「アニー」で主演を務めた俳優の山崎玲奈さんとボーイズユニット「NORD」の島太星さんがダブル主演を務める。サンシャイン劇場(東京都豊島区)で10月4~8日に上演。

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 ミュージカル「ヴァグラント」などの板垣恭一さんが上演台本・作詞・演出を手がけ、映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」などの桑原まこさんが作曲・音楽監督を務める。

 聴覚障害を持つ主人公・硝子を演じる山崎さんは「このお話をいただいた時、うれしさと同時に演じるのはとても難しくて大変だ……とも感じました。何年か前に映画は見ていたのですが、今回改めて原作マンガを読んだところ、ショッキングな内容にどんどん心がしんどくなりました。でも最初から最後まで硝子ちゃんの優しさが私の心をギュッとつかんで離しませんでした。先日の打ち合わせでは作品について板垣さんや島さん、手話指導の方とさまざまな視点でお話をさせていただきました。私も硝子ちゃんと同じ高校生として、彼女の『聲の形』を歌や手話を使って表現していきたい思います」とコメントを寄せている。

 もう一人の主人公・将也を演じる島さんは「この度は『聲の形』というすてきな作品に出演させていただけて、とってもうれしいです!! このお話をいただく前から、作品を個人的に読んだことがあり、それがまさか僕に……!と、かなり恐縮な気持ちながら頑張りたい!!とワクワクしております。劇中に手話などがあり、一から勉強し、伝えなければならないので今からプレッシャーを感じる日々ですが、絶対にすてきなミュージカルにいたします!! ぜひ楽しみにしてください!」と意気込みを語っている。

 板垣さんは「『聲の形』をミュージカルにしてみたい。このことをいつプロデューサーに伝えようか、僕は機会をさがしていました。やっとそのタイミングが来て『でさ今度の企画なんだけど──』と言いかけたところで『聲の形ってどうですか?』と言われて驚きました。『えー、同じこと考えてたんだけど……!』。こうしてこの企画はスタートしました」と説明。

 「以前、手話の美しさに魅(み)せられて、ろう者が主人公の物語を演出したことがあります。その時、聞こえる人と聞こえない人という『立場や環境の違い』が相互理解の妨げにどれだけなっているかを学びました。手話つながりから手にした今回の原作に触れた時に、同じ衝撃を受けました。一見すると愛らしいキャラクターが多いこの作品から『人間のコミュニケーションの難しさを描こうとする本気』を感じたからです。ミュージカルという手法を使うのは、話が重くなりすぎないためであり、時間軸を圧縮して伝えるために有利だからでもあります。情報がぎっちりと詰まった原作の魅力を、新しいカタチの表現に転化するべく、現在、試行錯誤を続けています」と話している。

 桑原さんは「この物語を知ろうとするほど、見て見ぬふりをしたあの子の感情や、置き去りにした過去の自分と向き合うような気持ちになり、懸命に生きる登場人物たちに感謝しております。私は作曲することが大好きです。自分のために努力をし、負けず嫌いがよろいを作り、どんな締め切りにも負けまいと曲を書いてきました。ですが自分のための努力には限界があり、曲を書くスキルだけが私の中にむなしく残ってしまう時期もありました。想像を超える感情や、目をつむりたくなる出来事を、音楽は嘘(うそ)なく届けてくれると、私は今も昔も信じています。今の自分の中にあるスキルを勇気に変えて、真正面から曲を書き、この物語のために愛を込めてたくさんの努力をしたいと思っています」とコメントを寄せている。

 「聲の形」は、「別冊少年マガジン」(講談社)2011年2月号と「週刊少年マガジン」(同)2013年12号に読み切り作掲載。読者の反響や監修の全日本ろうあ連盟の後押しもあり、「週刊少年マガジン」で2013年8月~2014年11月に連載された。

 劇場版アニメは、山田尚子さんが監督を務め、「けいおん!」などの京都アニメーションが製作し、2016年9月に公開された。第40回日本アカデミー賞の優秀アニメーション作品賞、第26回日本映画批評家大賞のアニメーション部門作品賞などにも選ばれ、話題になった。

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