赤井沙希:10周年の節目に引退「自分で決断できるのが幸せ」 写真集には「自分でも見たことない姿」

“引退メモリアル写真集”「GRACIA」を発売する赤井沙希選手
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“引退メモリアル写真集”「GRACIA」を発売する赤井沙希選手

 11月に現役から引退することを発表している女子プロレスラーの赤井沙希選手が、 “引退メモリアル写真集”「GRACIA」(講談社、3850円)を8月10日に発売する。「1億点つけたい」と自信を見せる写真集と、「楽しいし好きだしもっとやりたい」というプロレスラー活動について、赤井さんに話を聞いた。

 ◇父・赤井英和にも写真集「見てほしい」

 今回の写真集製作のきっかけは、赤井さん自身の発案だったという。

「引退を発表するにあたり、自分が何をしたいかを考えたら、赤井沙希というプロレスラーがいたことを残したい思いがあった。顔つきや体つき含めプロレスが人生を大きく変えたので、今のありのままの自分、歴史を形として残したかった」

 写真集のテーマは「ひとりの女性として、等身大の赤井沙希」だが、撮影を通して「幼い部分がこんなあるのか」と驚いたことを明かす。

 「キャラクターや見ため的にお姉さんと思われることが多いけど。カメラマンの鈴木ゴータさんが引き出し、かたちとして残してくれたのは、自分でも見たことない姿。心の中の自分のまだ幼い部分を起こしてくれました」

 今回の撮影で印象深いことを聞くと、「17歳の頃に出した写真集のときと同じスタイリストさんと偶然再会しました」と声を弾ませる。

 「ほぼ20年ぶりにお会いして。デビューした時にお世話になったスタイリストさんと、今何かを閉じようとしている節目のタイミングでまたお世話になるのは感慨深い。ただ20年の体の変化も見られているから恥ずかしい」

 父・赤井英和さんに見てほしいか質問すると、「リアルな姿なので見てもらいたい」とにっこり。「イベントの特典に打撃体験があるのですが、父には招待ではなく自力で買った上でミットを持ってもらいたい(笑い)。10年間の自分の打撃の筋を感じてほしい」とちゃめっ気たっぷりに話す。

 写真集のこだわりを「色っぽさや丸みの中にもアスリートの部分は残したかったし、違う表現もしたかった。いろんな雰囲気の自分がいます」と説明し、「なかなかないパターンの写真集。写真集売り場で良い意味でちょっと浮くと思う。ギャップやちょっと飛び抜けている感じを楽しんで」と呼びかける。

 ◇プロレスラー活動の最後まで「背中を見ていてほしい」

 赤井さんがプロレスデビューを果たしてから今年で10周年。節目の年に引退を発表したことは大きな話題となったが、赤井さん自身、「全然決めていなかった」と言ってほほ笑む。

 「気づいたら10年目で震えました。こんなに長くやるとは思わなかったし、こんなに長く続けられるとも思わなかった。本当あっという間」

 決断した最大の決め手は、「所属する団体とファンのことを考えて、この決断が一番みんなにとって、会社にとって、自分にとっても良いと思った」という。

 「失速している状態でやめたくなかった。プロレスは駆け上がっている状態が常に頂点のイメージがあり、やめるなら駆け上がっている頂点。卒業のきっかけは人それぞれだけど、自分が望まないタイミングにはしたくない。自分で決断できるのがレスラーとしては幸せ」

 活動を通じ「まるで家族のように、誰かのことで怒ったり泣いたり喜んだりする感情が生まれたことにびっくり」という赤井さん。「プロレスをやって人間力が深まったというか。自分自身の色が増えた。やっていなかったらもっと浅かったかも」と語る。

 引退後のことについては「今年の年末年始をプロレスラーじゃなく迎えるのが想像できない」と率直な思いを口にする。

 「だいたい年末も正月も試合だったのでどうなっちゃうのだろう。楽しみもあるし怖さもあります。プロレスラーでいられる時間はもう増えないので、一日一日、試合がない日もレスラーとしてどう生きるかを考えている。その先のことはまだ考えられないです」

 赤井さんにとってプロレスラーは「スターでいてほしい存在」だという。

 「どんなにしんどくても『プロレスラーだから大丈夫』という思いで自分を奮い立たせてきました。精神的にも肉体的にも超人であり尊敬される存在でいてほしいし、自分もそう思ってやってきた。自分に自信はないけど自信のある“ふり”をしていればそうなっちゃう。自分は“ふり”ですね(笑い)」

 ラストスパートに向けて、「対戦相手に『どうせやめるから』と思われたくない。上り詰められるところまで上り詰めたいし、ベルトも取れるだけ取りたい。その背中を見ていてほしい」と意気込みを語った。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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