内山夕実×白石晴香:「無職転生」第2期インタビュー “エリスを感じる”サラ 心の動きを繊細に

「無職転生 II ~異世界行ったら本気だす~」に出演する内山夕実さん(左)と白石晴香さん
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「無職転生 II ~異世界行ったら本気だす~」に出演する内山夕実さん(左)と白石晴香さん

 小説投稿サイト「小説家になろう」で人気のライトノベルが原作のテレビアニメ「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」の第2期「無職転生 II ~異世界行ったら本気だす~」がTOKYO MXほかで放送されている。テレビアニメ第1期の第1クールが2021年1~3月、同2クールが同10~12月に放送され、第1期の最終回は、主人公・ルーデウスの大きな挫折が描かれたことも話題になった。第2期の序盤の「泥沼編」では、ルーデウスが旅の道中で冒険者パーティー・カウンターアローのメンバーと出会い、変化していく。ルーデウス役の内山夕実さん、カウンターアローの勝ち気な弓使い・サラ役の白石晴香さんに、第2期について聞いた。

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 ◇ルーデウスに心を揺さぶられる

 --白石さんは「無職転生」の第1期を見ていた?

 白石さん 第1期は一ファンとして楽しませていただいたので、第2期でオーディションのお話をいただいた時、私にもチャンスが!とうれしかったです。オーディションを前に第1期を見直して、最終回ですごく心が苦しくなりました。

 --確かに第1期の最終回は重い内容でした。

 内山さん ルーデウスがそれまで積み重ねてきたものの一つが崩れてしまいます。元々、後悔やトラウマを抱えて転生し、本気で生きていくことを決意したけど、ああいう形で大事なものを失ったつらさ、衝撃が大きかったと思います。最終回は本当に苦しくなりました。演じているので、俯瞰(ふかん)で見ることができ、エリスのことも分かっているから、視聴者の皆さんと同じようなもどかしさがありました。ある意味、リアルなんです。再び奮い立たせてくれるのが、家族ということも大きかったです。

 白石さん 「無職転生」は、ルーデウス君の挫折がしっかり描かれていますよね。ルーデウス君は転生して、とても強い力を持っているけど、ただ勝利してすがすがしいというわけではなくて、挫折、仲間との絆が描かれていて、人間味も感じます。ルーデウス君、前世の男にひかれ、応援したい気持ちにもなりますし、心を揺さぶられます。悲劇的な展開もありますが、物語が進み、人間関係が築き上げられていく部分も繊細に描かれていて、一つ一つの出会いと別れに、心を動かされます。

 内山さん すごくいいことを言ってくれますね! 

 白石さん 内山さんが、ルーデウス君が少しずつ成長していく過程をすごく繊細に演じられていて、挫折にも状況がいろいろあって、その絶妙な違いに鳥肌が立ちました。より一層、ストーリーに入り込みました。

 内山さん  ルーデウスは、ここぞ!というところで調子に乗ったりしますし、完璧ではないのが、魅力なのかもしれません。

 ◇カウンターアローの安心感

 --第2期の第1話で印象的だったところは?

 内山さん ルーデウスは、真正面から素直に優しさを受け入れることができない心境ですし、カウンターアローの皆さんに救われたところがあります。サラは優しく接するわけではないのですが、やっぱり印象には残っています。ルーデウスとしては、サラとエリスを重ねてしまうところもあり、サラはすごく大きな存在です。サラは、素直になれないところがありますが、重々しい中で、ああいうふうに接してくれるところに救われるところもありました。

 白石さん 最後の酒場でのみんなの温かい笑顔がすごくいいですよね。第1話は、とても苦しい始まりになることは分かっていましたが、ルーデウス君の心の動きが丁寧に描かれ、最後で少し笑顔を見られるところがすてきですし、印象に残っています。

 --収録で印象的だったのは?

 内山さん (白石さんと)共演させていただくのは、初めてではありませんし、すごくやりやすかったです。包容力のある優しい方なので、救いになりました。第1期の時もストーリーが進み、新たな出会いがあると、キャストの皆さんも変わり、ドキドキしますし、緊張感がありました。共演させていただく皆さんが優しい方ばかりなので、ありがたかったです。白石ちゃんもそうですが、カウンターアローの皆さんに優しく接していただき、すてきなお芝居でしたので、安心感がありました。

 白石さん すごく楽しみだったのですが、第1期で皆さんの空気ができあがっているところに参加させていただきますし、緊張していました。でも、現場に着いた瞬間から温かい空気を感じました。私は人見知りで、初めての現場ではモジモジしてしまうこともあるのですが。

 内山さん そうなの!? 気さくにお話してくれるじゃん。

 白石さん 緊張してしまうんです……。杉田さん(前世の男役の杉田智和さん)がスタッフさんを紹介してくださり、新たに参戦させていただく身としてはとてもありがたかったです。ルーデウス君の苦しむ姿が描かれ、内山さんの芝居を近くで見て、本当に苦しくなってきちゃいまして……。白石としては、聞いてしまうと、サラを演じる時に優しくなってしまいそうでして。

 内山さん でも、聞いてほしいな(笑い)。

 白石さん サラは仲間思いで、気が強いところもあるので、ルーデウス君に対してああいう態度を取るのだと思います。年齢的にも近い存在で、自分のカウンターアローの中での場所みたいなものに、危機感もあったはずです。スザンヌの言葉で傷ついた表情を見せたのも、仲間の絆ができていたからです。ルーデウス君が入って、一緒に戦うことによって、感じたことがあったのだと思います。内山さんと一緒に掛け合いをしていく中で、自然にサラの気持ちに入っていくことができました。最初にディレクションで「どこかにエリスを感じたいです」というお話もありました。私もエリスが好きだったからこそ、どうやってサラの中にエリスを入れていくのか?という葛藤があったのですが、内山さんにお芝居でリードしていただけたので、演じやすかったです。

 内山さん 「どこかでエリスを感じる」というのは、すごく難易度が高いですね。エリスは一度心を許した人、そうではない人とで接し方が違いますが、サラからもそれを受け取っていました。エリス味を感じられたから、サラを目で追ってしまいますし、自然に切ない気持ちにもなりました。

 --前世の男役の杉田さんと共演してみていかがでしたか?

 白石さん 第1期を見ていたので、本物だ!となりまして(笑い)。哀愁があるんですよね。前世の男は、シュールな笑いもありますし、物語を進めていくストーリーテラーとして見ている人の気持ちを運んでくれます。一緒に収録したのですが、杉田さんは別室でして、姿は見えないけど、声が聞こえてきて、テレビで見ている時と同じ状況でした。ところどころアドリブも入れてらっしゃるんですよね。私は台本を読んでいるから、気付くところもあって、ワクワクしていました。

 ◇息の一つ一つが聞こえてくる芝居

 --役者としてのお互いの印象は?

 内山さん 幅が広くて、声を聞いただけでは同じ人が演じていると気付かないことがあります。大人の女性から可愛らしい子、サラのようなキャラクター……と何でもできて、柔軟な方という印象があります。サラは、心の揺れ動き、ルーデウスとの距離が縮まっていくところが丁寧に描かれているからこそ、お芝居も難しいと思うのですが、すごく自然なんです。私も自然に演じることができました。

 白石さん ありがとうございます! 初めて一緒にさせていただく前から、内山さんのお芝居がずっと大好きでした。息の使い方一つにしても全てに魂がこもっていて、どうやったら内山さんのようになれるのか? どうしているのだろう?と頭を抱えています。

 内山さん 抱えないで!

 白石さん 近くで一緒にお芝居させていただくと、息の一つ一つが聞こえてきて、ルーデウス君の姿は画面にあるはずなのに、近くに存在を感じていました。一緒にお芝居させていただけて、とても幸せです。心の動きが繊細なのに、発声がしっかりマイクに乗っていますし、どうなっているの!?となったり。

 内山さん 収録後のインタビューでよかったかも(笑い)。収録前に聞いていたら、緊張しちゃったかもしれません。

 白石さん 感情を優先すると、声がマイクに乗りにくくなることもありますし、逆に声は乗っているけど、感情的なニュアンスがもっとほしい……となることもあって、両立が難しいんです。そこが両立していて、ご一緒させていただく度に、勉強させていただきます。

 内山さん 何か恥ずかしいですね(笑い)。でもうれしいです。

 --第2期はルーデウスとサラの関係性の変化が一つの見どころになります。

 白石さん 第1話で、ルーデウス君は、人と向き合うのも怖かったと思うのですが、カウンターアローと出会い、改めて一生懸命生きることの大切さに気付かされます。サラは、ルーデウス君にいろいろな意味で気付きを与える存在です。サラは嫉妬深いところもあり、いろいろなことが起きるのですが……。

 内山さん 演じている身としては、サラが心を開いてくれるのに、何やっているの!?となるシーンもありました。人生はそう簡単ではない……と伝わってきますね。

 第2期は、内山さん、白石さんの繊細な演技が大きな見どころになりそうだ。ルーデウス、サラの距離が縮まっていった先に待っていることとは……。今後の展開が注目される。

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