なつもん! 20世紀の夏休み:オープンワールドで広がった“夏休み体験” 開発者が語る魅力

「なつもん! 20世紀の夏休み」のゲーム画面(C)2023 TOYBOX Inc./Millennium Kitchen Co.,Ltd.
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「なつもん! 20世紀の夏休み」のゲーム画面(C)2023 TOYBOX Inc./Millennium Kitchen Co.,Ltd.

 少年のひと夏の大冒険を描くアドベンチャーゲーム「なつもん! 20世紀の夏休み」(Nintendo Switch、スパイク・チュンソフト)が7月28日に発売された。「ぼくのなつやすみ(ぼくなつ)」シリーズをはじめ、子供時代へのノスタルジーなどをテーマに魅力的なゲームを数多く手掛けてきたミレニアムキッチンの綾部和さんが手掛けており、今回オープンワールドを採用した。そんな意欲作への思いを綾部さんら開発陣に聞いた。

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 「なつもん!」は、サーカス団の団長の一人息子が、興行のために訪れた海の見える緑豊かな田舎町「よもぎ町」で夏休みを過ごす“ほのぼの夏休みアドベンチャー”。木に登ったり、泳いだり、虫を捕ったりといった夏休みならではの気ままな一日を過ごしていく作品で、牧場物語シリーズなどを手掛けた和田康宏さん率いるトイボックスと、綾部さんのミレニアムキッチンが開発を手掛けている。

 シームレスに遊べ、どこにでも行けるオープンワールド制を採用しているのが特徴だが、約2年前に“夏休みゲーム”の世界観でオープンワールドのゲームが作れないかという綾部さんの発想案のもとスタートしたという。それまでの作品は背景が2Dだったり、画面の切り替えが発生していたが、自由度が高いオープンワールドの採用によって「作っててこんなに楽しかったり、こんなにいろんなアイデアを入れたりっていうのは、初めてじゃないか」と綾部さんは開発を振り返る。

 一方、家の中は定点カメラを採用。和田さんは理由について綾部さんの作家性を挙げる。「固定カメラは画角を意識して見せることができる。どの画角ならいい感じに見えるかというのは、綾部さんが2Dの『ぼくなつ』で培ってきた最も得意とするところ」と明かした。

 ◇「楽しいは正義」で進んだ開発

 本作では、さまざまな冒険を完了するともらえる「ステッカー」がキーポイント。集めるほど長い距離を走ったり、高いところに登れるようになったりと行動範囲を広げることができ、よりオープンワールドならではの醍醐味(だいごみ)を味わうことができる。成長していくと常人離れした行動を取れるといい、主人公をサーカス団の息子にしたのもそれが理由だという。

 「デバッグも大変になるので最初は登れる壁と登れない壁を区別するつもりだった。でも今はほとんどどこでも上っていけるというとんでもない結果になった」と語る綾部さん。「なぜそうなったかというと、作って楽しかったからだと思うんです。本当は作業効率考えたらそこまでやらない方がいいのに、作ってて楽しいから、勝手に膨らませていろんなものを作った」と話し、「作ったり、遊んでて楽しいっていうのは正義なんで」と笑顔を見せる。

 和田さんは「すごく派手な訳でもないしガンガンバトルがあるわけでもないけど、いい感覚が残る体験がたくさんできる作品」と魅力を語り、綾部さんは「体感的には4キロ四方ぐらいの町が入ってる感じなんですけど、新しい大地を遊び倒してください」と呼びかける。オープンワールドで“楽しい”がさらに広がった「なつもん!」に注目したい。

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