9月1日に公開された映画「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく(夜きみ)」(酒井麻衣監督)に出演している俳優でモデルの久間田琳加さん。本当の自分と周囲からのイメージとの“ギャップ”に思い悩む女子高生・丹羽茜を演じている。茜と自身を重ね、「私の場合は笑顔の印象が強いらしく、『怒っているところが想像つかない』とよく言われます。でも、普通の人間なんで(笑い)、私にも当然、喜怒哀楽はありますし、常に笑顔、というわけではないんです」と、“笑顔のイメージ”への本音をもらす久間田さんに、話を聞いた。
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映画は、久間田さんとグローバルボーイズグループ「JO1」の白岩瑠姫さんのダブル主演。学校では周囲の空気ばかり読んでしまい、常にマスクで本心を隠す優等生の茜(久間田さん)が、絵を描くことを愛するクラスの人気者・青磁(白岩さん)に引かれていく……というストーリー。
過去の「ある出来事」が原因で、“優等生”を演じ、思っていることを、ちゃんと言葉にして伝えることができない茜について、久間田さんは「彼女の気持ちが分かるって方、結構いらっしゃると思いますし、私もそう」と共感を寄せる。
「私自身、中学や高校のときは『今、みんなはどう思っているんだろう』と気にして、茜と一緒で、常に周りと合わせているうちに、自分の本当の気持ちが自分で分かりづらくなってしまったりしたことがありました」
真面目で、クラスをまとめる学級委員という立場にありながら、心の中では葛藤が渦巻き、感情の揺れも大きい茜を演じるにあたってはやはり、自身の高校時代にヒントを求めたという久間田さん。
「あれくらい喜怒哀楽の波が立つのって、学生ならではだと思うんです。いつの間にかその感情を忘れていたけれど、『私もこういうことあったよな』と思い出す作業が苦しくもあったし、楽しくもあったというか」
劇中では、周りに気を使いすぎて、自然と自分のやりたいことの優先順位をどんどんと下げてしまう茜の姿が描かれている。また茜は、学校ではマスクを手放せないことから、久間田さんも多くのシーンで口元をマスクで隠し、“目で演技”することを求められた。
「茜と理由は違えど、コロナ禍でマスクをする機会はあったので、『どんなふうに映っているんだろう』と気にはなって、より鏡で見るようにしていました。とはいえ、目線しか見えてないことを必要以上に意識することなく、いつも通りに演じていれば目にも表情が出てくると思って。その答えにたどりついてからは、あまり力まずにお芝居することを目指しました」
撮影中は「チョコレートにハマっていた」と振り返る久間田さん。茜にとってのマスクのように、一つの“安定剤”にもなっていたようだ。
「作品ごとにハマる食べ物は違うのですが、今回はチョコレートで、毎日ずっと食べていました。大事なシーンの前もチョコレートを食べるようにしていたし、それがお守り的存在だったと思います。チョコを口にすることで、気持ちを切り替えることができたなって」
改めて“笑顔のイメージ”について話を聞くと、「女優業をやり始めて、笑顔以外の顔を見せるようになってから、笑顔じゃない自分というものを、自然と受け入れてもらえるようになったのかなという感じはします」と告白する。
「役を通して、ではあるにせよ、喜怒哀楽を見せることによって、“常に笑顔”のイメージが、徐々に薄れてきた気が自分ではしています」
今も笑顔が魅力的ではあることは間違いないが、久間田さんの魅力がそれだけではないことは、作品を見れば伝わってくる。落ち着いたトーンの「声」も、今後は武器になりそうだが……。
「10代の頃は、『見た目のイメージと違う』と言われるのを、自分の中ですごくマイナスにとらえてしまい、この声がいやでした。年齢を重ねて、ようやく『これが良さなんだ』と思えるようになってきたというか。今回の撮影でも。酒井監督に『地声がいいから、無理に頑張って高くしないでいい』と言ってもらえたので、最近は良さとしてとらえるようにはしています」
そのほか、自身の強みについて「最初は不安から入るのですが、楽しみなポイントを見つけて、最後まで走りきることができるところ」と話す久間田さん。“笑顔のイメージ”からの脱却の一つの助けにもなっている女優業では、主演やヒロイン役が続くなど、順風満帆に映る。
「女優を始めたのが決して早くはなかったので、『学べ学べ』と必死にしがみついて、今があるのですが。プレッシャーはめちゃくちゃあって、完成したものを見て、ここをこうすればよかった、ああすればよかったと反省しますが、それでも今はすごく楽しいです。今後は、人を巻き込む側をやりたいと思っていて。分かりやすくいうと、今回の青磁のような役。今までは、どちらかというと巻き込まれる側が多かったので、自分が主体となって周りを巻き込むような、意志を強く持った役をやってみたいです」
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