岡本信彦:「僕は声優でいたい」 事務所トップとしての思い語る 米ドラマ「グッド・ドクター6」でショーン・マーフィー役を好演

岡本信彦さん
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岡本信彦さん

 天才的な能力を持つ、自閉症でサヴァン症候群の青年が医師として成長していく姿を描く米ドラマ「グッド・ドクター6 名医の条件」が、10月25日からWOWOWで放送・配信される。本作の主人公、ショーン・マーフィー(フレディ・ハイモアさん)の吹き替えを担当する声優の岡本信彦さんに、役作りのこだわりや演じ続ける中での変化、事務所トップとしての思いや展望について聞いた。

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 ◇ショーン役は「第2、第3の人生の一つ」

 岡本さんはショーン役が決まったときのことを、「『ベイツ・モーテル』でフレディ・ハイモアさんの声を担当していて、新しく『グッド・ドクター』で主役をやるということで、よかったら岡本さんというお話をいただき、とてもうれしかったです」と振り返る。

 ショーンの声を作り上げるにあたり、一番の魅力であるピュアなところを意識したという。「本来言ってはいけないような宣告をしてしまう時もありますが、逆に言えばそのピュアさに救われる人もいるだろうなと。打算的な部分は作らないようにして、子供のような純粋さを意識しました」とこだわりを語る。

 シーズンを重ねるごとに公私ともにショーンは成長しているが、岡本さんは「ピュアさは変わらない」と前置きしつつ、変化の表現について「当初は自分の中で思ったことをツラツラ早口で言って、フワフワしている感じで、会話というより自分の中での再認識のようなものをボツボツしゃべるイメージだった」とコメント。「今は指導医としてレジデントたちに対して言葉を発する時は立てどころを意識した“ショーン節”というか。明るく和やか、穏やかだけど、どことなく堅い印象を受けるしゃべり口調にしています」と説明する。

 今シーズンの見どころを、「子供が生まれるかもしれないハッピーな感じと、それにまつわる周辺人物とのいざこざもあり、ショーンが試練をどう乗り越えるかが楽しみ。シーズン1に出ていたジャレッドが帰ってきてどうなるかも面白みの一つ」と話し、「僕の中では第2、第3の人生の一つみたいな感じでショーンが生き続けているので今後とも演じていけたら。どこからでも入れるのが『グッド・ドクター』の良いところなので、まずは1話を見てみてください」と呼びかける。

 ◇事務所のトップとして感じた後進育成の“使命”

 岡本さんは現在、声優事務所「ラクーンドッグ」の代表取締役も務めているが、「できたばかりなので、まず役者として僕が頑張らないといけない。先頭に立って切り開けるものがあるなら切り開いていかなければと思っています」と事務所のトップとしての心境を口にし、「今はプレーヤーの気持ちの方が強い。むしろ『出ません』までいかないと二足のわらじは難しいと思う。声優業界の役者社長はプレーヤーのイメージが強いかも」と言ってほほ笑む。

 声優の先輩、そして事務所のトップとして「新人を育てなければと思っています。どうしたらラクーンドッグの新人を輩出できるかは常に考えています」と胸の内を明かし、「難しいけど(声優業界を)循環させないといけない。切磋琢磨しつつ、後進の育成をしていきたい」と神妙な表情で語る。

 声優の活動ジャンルが多岐にわたる現状を、岡本さんは「良い部分もあるし、声優とは何なのかなと思うと怖い部分も」と言葉を選びつつ、「自分は最終的には声優であるべきだと思う。キャラクターのおかげで人気がいただけているという意識」と持論。一方で、「声優がタレント化してテレビにも出ていますが、作品の宣伝であれば声優の役割として時代に合ったやり方」と理解も示す。

 声優業界の今後を聞くと、「アニメや吹き替えがあって、声優を目指した人が声優として出られていれば。違うものを目指す中で声優をする場合もあって、そういう方からは学ぶことも多いです。でもできれば最初から声優を目指している方が声優というポジションに行ける未来の方がうれしい」と事務所トップとしての顔ものぞかせる。

 岡本さん自身の声優観について、「声優は声だけで表現することに特化している舞台だと思っています。声だけというのが大事で、本来は裏方だから、ディレクションに応えられるのが声優。より良くするための“戦い”があったとしても、発注に対し100%、120%応えることが声優に求められるもの」と明かし、「ディレクションに対してどんどん応えていきたいし、ゆくゆくは年齢も重ねたらおじいちゃん役もできたら。何より僕は声優でいたいなと思っています」と語った。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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