るろうに剣心:斉藤壮馬×高橋李依×小市眞琴×八代拓インタビュー 剣心組は最高! 第2クール最終話へ意気込み

「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」に出演する(左から)八代拓さん、斉藤壮馬さん、高橋李依さん、小市眞琴さん
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「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」に出演する(左から)八代拓さん、斉藤壮馬さん、高橋李依さん、小市眞琴さん

 和月伸宏さんの人気マンガ「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」の新作テレビアニメが、12月14日に第2クールの最終話を迎える。2012年に発表されたOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-新京都編」(後編)以来、約11年ぶりの新作アニメで、原作者の和月さんがキャラクターデザインやシナリオなど全編にわたり完全監修し、原作を第1話から再構築するフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」ほかで7月に放送をスタートした。第2クールのクライマックスを前に、主人公・緋村剣心役の斉藤壮馬さん、神谷薫役の高橋李依さん、明神弥彦役の小市眞琴さん、相楽左之助役の八代拓さんの“剣心組”の4人に、収録の裏側、4人のチームワークについて聞いた。

ウナギノボリ

 ◇最初は不安もうれしい“スタートダッシュ” 深まるキャラクターとの関係値

 --連続2クールで放送されてきた新作テレビアニメが、いよいよクライマックスを迎えます。これまでの反響はいかがですか?

 斉藤さん 自分が出演してきた作品の中でも、友人や同業の方、別の仕事で関わりがある方といろいろな関係値の方に「見ています」とお声をいただく機会が圧倒的に多かったです。作品が多くの方に届いているのは、とてもうれしいですね。

 八代さん 歴史がある作品ですし、いろいろな意味で注目を浴びる作品だと感じて、正直、いろいろなことを考えてしまったり、思ってしまったりもしました。そうした中で放送が始まり、視聴者の方から作品を楽しんでいるというお声をいただき、純粋に一つの作品として楽しんでいただけたのは、“原点”じゃないですけど、すごく幸せなことだなという思いはあります。

 小市さん 放送が始まるまではかなりドキドキしていました。自分の中では役を作り上げていますが、自分以外にもさまざまな方が演じていらっしゃる作品なので、見た方にどう受け止められるかなという不安も大きかったです。いろいろな方に「キャラクターと合っている」とおっしゃっていただけたのは自分の中で良かったというか。一息つけた感じはありました。

 高橋さん 今回アニメとして皆さんに見ていただいている物語は、「るろうに剣心」としては“序盤”という感覚が自分の中で強いからこそ、反響はまだ“スタートダッシュ”と思っていて、まだいつでも変わるし変えられるし、変わってしまう怖さも感じています。だから甘えないようにしようという思いが強いですね。うれしさも怖さもずっとどっちもあります。

 --新作テレビアニメがスタートしてからこれまで、作品や演じているキャラクターの印象に変化はあった?

 斉藤さん 最初の数話は「緋村剣心としていなければいけない」という意識が強くて、ともするとちょっと肩に力が入ってしまうというか。「剣心であらねばならない」という責任や覚悟を背負いすぎてしまっていたのかなと。薫殿や弥彦、左之助と出会って、ほかのキャラクターたちと戦って対話をしていく中で、どんどん力みが抜けてきた感覚がありました。キャラクターの印象が変化したというよりは、収録を重ねていくにつれてキャラクターとの関係値がどんどん深まってきたことを感じています。

 --剣心の「おろ」というせりふを聞くと、そこに剣心がいるように感じられますが、演じる斉藤さんにはそのような苦労があったのですね。

 斉藤さん 「おろ」はキャッチフレーズというか印象的な言葉で、オーディションでも何パターンもやりました。たった2文字だけど、この2文字で剣心という人がどう魅力的に捉えてもらえるかが判断される部分でもあり、ドキドキしていました。そう言っていただけてうれしいです。

 高橋さん キャラクターの印象の変化より、振り返ると私もキャラクターと同じような環境を一緒に歩ませてもらっていた感覚があります。薫が一人で神谷道場を切り盛りしなきゃいけない、頑張らなきゃいけない状況が、「るろうに剣心」のオーディションで選ばれたからには、立派に演じなきゃいけないという責任と重なっていたように感じていて。それが話数を追うごとに「今作の力になりたい!」と思うようになっていき、「みんなとずっと掛け合いしていたい!」と現場に行くのが楽しくなって、ここが自分の居場所として感じられているのは大きな変化でした。

 小市さん 長く一緒に芝居をしてきたからこそ、皆さんの癖とかいろいろなものを、自分の意識していないところで感じている部分がたくさんあって。皆さんの役の雰囲気に、無意識のうちに弥彦も少し寄っていったところもあると思います。親しい人の口調が移ってしまうような。そういう意味で、弥彦のちょっとしたニュアンスや芝居感みたいなものは、最初の頃と比べて柔らかくなりました。

 八代さん 丁寧に物語をたどって映像化しているのをストーリーが進むほどより感じていて。例えば、原作にあるシリアスなシーンの中に出てくるギャグ要素が、アニメでは控えめになっている場合もありましたが、後半になるにつれ、そういう場面も増えてきた印象があります。また、原作の物語を深く掘り下げたようなシーンも増えていて、物語の解像度が深くなるような感覚もあって、演じていて楽しいなと思う部分が多かったです。印象が変わったとは違うかもしれませんが、それも含めて今回のアニメ化の意義があるのかなとは思います。

 ◇4人の関係性が芝居にも影響 予告収録後の本編アフレコは大変?

 --剣心組のチームワークはいかがでしょうか。

 高橋さん 最高です!

 斉藤さん むちゃくちゃ仲良いよね。本番中はもちろん全力で臨んでいますが、こう言っていいのか分からないですけど、昔から友達だったみたいな感じがあります。4人でご飯もよく行くのですが、大きい声でずっとしゃべっていますね。歳も近いし、普段の気の置けない友人みたいな雰囲気が、芝居の良い掛け合いのリズムになって収録に反映されているのでは?と思っています。

 --印象に残っていることを教えてください。

 高橋さん (小市さんが)道を間違えて迷子になった時、どこにいるのか連絡したら「道にいる」って返ってきました(笑い)。

 斉藤さん 大体そうでしょうって(笑い)。その時はさっそうと八代拓が迎えに行きました。

 小市さん 八代さんがキラキラと輝いて見えました(笑い)。

 --収録での思い出は?

 高橋さん 予告は楽しく一緒に録(と)っています。この作品の予告は第1話から独自路線を歩んでいて、実は最初、私たち声優陣は「本当にこれでいいんですか」という感じで不安もあったんです。

 小市さん 予告を録り終わった後に本編をやると、みんな少しフワフワしちゃって、何かちょっとキャラが違うかも?という時もありました。

 八代さん 予告直後すぐの本編収録が日常的な会話シーンだった時、「変にテンション高いよ」と指摘されたことがあって。しかも、それが物語全体の後半だったので、そこまで積み上げてきたこともあり一瞬ショックを受けたんです。ただ、よくよく考えると予告の影響だったなと(笑い)。本来は(影響を)受けたらいけませんが、想像以上にぶっ飛んでいる予告なものですから。引っ張らないようにエネルギーを使いましたね。

 --収録が進む中で印象に残っているディレクションは?

 斉藤さん 最初のキャラメークはおのおの「こういう方向性で試してみましょう」はあったと思いますが、基本的には委ねてくださっている印象があります。物語をどう見せるかという大きな流れをどう作るかは毎回ディレクションをいただきますが、キャラクターはそこまで厳密に「こうしてください」というより、我々が提示したものをベースに構築してくださっている印象でした。

 高橋さん 「ここで大きなSEが鳴る」「ここでBGMが入る」といった音に関する指示に対して、芝居の方向性は今のまま生かしで、声をちょっと出しめにしてほしいといった感じなど、感情の流れは任せていただいていることが多いです。

 ◇第2クール終了も「まだまだこれから」「このままじゃ終われない」

 --これまでを振り返り、印象に残っているエピソードを教えてください。

 斉藤さん 強敵たちとの戦いは印象に残っています。鵜堂刃衛や(四乃森)蒼紫、(石動)雷十太、そして斎藤一と戦っていく中で、僕個人としては、その時々の剣心は意外と見せている表情が違ったのかなと思っています。それは自分がコントロールしたわけではなくて、相対する相手が引き出してくれたものというか。ただ左之助の時は、全然引き出されませんでしたけどね(笑い)。

 八代さん むしろ押さえ込まれていたでしょう。

 斉藤さん 左之助と戦った時、八代拓の芝居が素晴らしくて、ものすごく熱くて、斉藤壮馬がたぎってしまいました。剣心は圧倒的に強者でいないといけないので、対等に戦っちゃいけない。でも、役者魂としては「俺も全力でぶつかりたい!」というぐらいワクワクさせられたので、左之助との戦いは印象に残っています。

 高橋さん 神谷活心流の師範代であるシーンも丁寧にやりたいと思いながら演じていました。出稽古(でげいこ)先で指導するシーンとか、弥彦や由太(塚山由太郎)君に対してもそうですが、「神谷活心流とはこういうもの」と伝える時に説得力があるといいなって。すご腕の剣士がたくさんいる中で、彼女は彼女なりの剣術を見ているという。その一本筋の通った美しさみたいなものも出せたらいいなと思っていました。剣術小町の小町部分は日常で出ていると思うので、剣術部分も忘れないようにしたいなと駆け抜けてきました。

 --手応えは?

 高橋さん そうなっているといいですね。可愛いだけじゃないと感じてもらえたらうれしいです。なかなか敵に最後の一撃を食らわすシーンは少ないですが、いつでもやれる心構えは持っております。

 小市さん 第14話「弥彦の戦い」で、弥彦が初めて「神谷活心流の明神弥彦」と名乗るところが自分的には胸アツです。東京府士族として強くなりたいという思い、東京府士族を背負ってきた彼が、敵に向かって「神谷活心流の明神弥彦」と名乗るのは大きな意味があると思います。士族を背負いつつ神谷活心流として流派を背負っていく思いを、彼なりに表したところですよね。それと剣心が敵と戦っていて、その音楽が流れたら剣心が勝つという定番の音楽があり、剣心に憧れてきた弥彦がその音楽を背負って神谷活心流として戦ったことが、私はうれしくて、印象に残っています。

 八代さん 印象に残ったエピソードを聞かれて、剣心との出会いのシーンを挙げることが多いのですが、話数も進んだところでは、月岡津南、いや月岡克浩との再会は印象深いです。僕は、相楽左之助の人生において緋村剣心との出会いは、ものすごく大きいきっかけだったと捉えています。左之助にとって赤報隊の思い出、記憶は大きいものだし、少なからず今でも抱えているもので、剣心と出会う前ならもしかしたら月岡克浩との再会は悲惨な結末になっていたかもしれません。でも、剣心との出会いを経たからこそ、あの左之助の立ち振る舞いになったのかなと思うので、とても好きなエピソードです。

 --今後への期待を込めつつ、最終回に向けての意気込みを聞かせてください。

 斉藤さん 今回のクールとしては一旦終了しますけど、物語的にはまだまだ、これからがむしろ本番。出てきてほしいキャラクターたちもたくさんいますし、強大な敵と戦いながら壮大な物語を僕らも見たいです。だから、ここから本格的に始まっていくという気持ちで、次があることを願いたいなと思います。

 高橋さん 最終話を収録した後、モヤモヤしていて……。皆さんにも見ていただきたいけど、皆さんもモヤモヤすると思います。このままじゃ終われません!

 八代さん 物語的にもここからすさまじいストーリーが控えている作品ですので、一人の演者として、やりたい気持ちでいっぱいです。左之助的には剣心との出会いで一つ成長した部分はありますが、ここから悔しい思いをしたり、頑張って愚直にいろいろなものに向かっていったりして、成長していくキャラクターです。機会があったら自分も愚直に向き合っていきたいし、そんな機会があればいいなと思っています。

 小市さん 弥彦もまだまだ演じたいシーンは山盛りですし、弥彦として十本刀を倒したい思いもありますので、続きを制作してもらえたらうれしいです。今作でも原作で描いていない部分がたくさんあったので、もし続編があって、描かれていないエピソードたちが生まれる可能性もゼロではないと考えたら、これは夢があるなと。「誰のどんな物語が入ってくるのだろう」というのもワクワクします。ぜひ制作していただきたいですね。

(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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