SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
人気アニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの完全新作となる「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が1月26日に公開された。同シリーズは“21世紀のファーストガンダム”とも呼ばれている人気作で、完全新作の劇場版は、2006年に制作が発表されたが、その後は長らく続報が途絶えていた。発表から約18年の時を経て公開されることになった。劇場版は、福田己津央監督らテレビシリーズのスタッフが再集結して完成した。福田監督に劇場版に込めた思いを聞いた。
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「機動戦士ガンダムSEED」は、遺伝子を調整し、生まれながらにして優れた身体能力や頭脳を持つ人類(コーディネイター)と自然のままに生まれた人類(ナチュラル)の戦いを描いたアニメ。2002年10月~2003年9月に放送され、続編「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」が2004年10月~2005年10月に放送された。
これまでのガンダムシリーズのファンに加え、多くの女性層を獲得し、「SEED」は最高視聴率8.0%を記録、「SEED DESTINY」は最高視聴率8.2%を記録。ガンプラ(プラモデル)も好調で、小学生を中心に“第二次ガンプラブーム”を巻き起こした。シリーズの累計パッケージ販売数は400万本以上と大ヒットした。「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」は、福田監督にとってどんな存在になっているのだろうか?
「別にほかの作品と変わらないですよ。これを言ってよく怒られたのですが、僕の作品じゃないですから。『ガンダム』は富野(由悠季)さんのものですよね。作ってはいるけど、自分のものではないというのがどこかにあります。プロですから、それを感じさせないように作ってはいますし、触っていれば、いろいろなアイデアも浮かぶし、こうしていきたいというものもあります。キャラクターには愛着があります。モビルスーツにもあります。世界観もそうですね」
放送開始から約22年、劇場版の発表から約18年たった。
「20年というのは、思ったよりも時間がたったように感じていなくて、せいぜい10年くらいかなという感覚です。両澤(千晶)が亡くなってから、時間がたつのが止まったようなところもあって、その間が動いていない気がするんですよ。劇場版が発表されたのも少しフライング気味でしたし。仕事として常にプロット、脚本が横にあった。途切れていなくて、20年前のままなんです。そういう意味では、古くなってなければいいなと思います」
両澤千晶さんは、福田監督の妻で、テレビシリーズのシリーズ構成、脚本を手掛けた。2016年に亡くなり、「SEED FREEDOM」では後藤リウさん、福田監督と共に脚本としてクレジットされている。
「物語のテーマと自分が作りたいテーマは若干ずれがあるかもしれません。有り体に言えば、愛をテーマにしましょうという話です。愛がテーマとは何?となってしまうじゃないですか。資格と価値が大きなテーマになっています。両澤が存命中に、資格と価値というテーマは決めていたので、それは変わらずです。自分的なテーマとして一番こだわったのは戦艦を格好よく見せたいという一点です。『ガンダム』のモビルスーツの戦闘は、ある程度の型がある。作品ごとに見せ方があるし、そこに携わっているスタッフの作法もあるのですが、大体どの作品も戦艦が強くない。そこを格好よく見せようとした。僕は船が好きなんですよ」
「SEED FREEDOM」の舞台となるのは、「SEED DESTINY」の2年後のC.E.(コズミック・イラ)75が舞台となり、キラ・ヤマトとラクス・クラインの物語が中心となる。昨年7月に公開されたティザービジュアルにも2人が描かれていた。
「映画は2時間なので、やれることは限られている。それに対して『SEED』も『SEED DESTINY』もキャラクター、メカの数が多いけど、誰も切り捨てたくない。誰をメインにするかというと、最後はキラしかいないだろうという切り口がスタートになっています。キャラクターは少しずつ大人になっていますよね。それにふさわしい時代の変化、キャラクターの年齢の変化、成長を出していこうとしました。役者さんもすごいですし、アニメーターもキャラクターデザインの平井(久司)さんもですが、年齢の重ね方を巧みにやっています。『SEED』『SEED DESTINY』と今回の『SEED REEDOM』を見ると、きちんと年齢を重ねている。少しずつ大人になっている」
「SEED DESTINY」のキラは達観しているようにも見えた。「SEED FREEDOM」では「SEED DESTINY」とはまた違ったキラを見ることができる。人気キャラクターのアスラン・ザラの活躍に期待するファンも多い。
「キラは達観したというよりも、疲れちゃっていたので、戻したかったところがありました。普通のノンポリの学生ですからね。アスランは『お前が間違っている』と言われてしまう。アスランは大変でしたよ。ボロボロになっていましたしね。最後くらいは『正しかった』と言われてもいいんじゃないかと」
「SEED FREEDOM」では、シン・アスカの活躍が描かれることが、公開前から明言されていた。
「シンは最初、もうちょっと可愛いキャラクターにしようとしていました。キレた時にギャップがある。シンの一番いい部分は、怒った時にしか出ない。今回はそういうふうにしています。可愛い子なんですよ。それがあるから踏み外しても、また戻れる。この子は復讐(ふくしゅう)なんてしていないんです。力がないことにいらだっているだけ。キラと初めて会った時に、殴りかかったりしていないですから」
シンは、キラたちと敵対していたが、戦後に和解する。キラたちと共に戦いのない世界を目指そうとする。
「キャラクターは、落ちるところとアガるところという両面を持っていないとダメ。その辺がうまかったのは、保志(総一朗)君のキラなんですよ。アスランはアスランなんですよね。格好いいけど、どこか抜けているところもある。シンは、普段は可愛い弟気質だけど、キレると強いタイプを目指していたけど、弟気質の部分が抜けて、激しいキャラクターになってしまった。今回はそれを戻そうとしています」
ラクスは、世界平和監視機構・コンパスの初代総裁として登場する。福田監督は「ラクスが一番変わったと思います」と話す。
「普通の子になっているところもあって、両澤はこうしないよな……と思うところもあります。普通の女の子に戻そうという自分の中の一つのテーマとして決めていたのですが、ラクスは今回、僕寄りにしてしまいました。あの辺の感覚は、両澤とは比較にならない。放送当時からラクスは難しくて、両澤に丸投げだった。あとは(ラクス役の)田中理恵さんに委ねようとか思いました。田中理恵さんが何とかしてくれる」
「SEED DESTINY」では、プラント最高評議会議長のギルバート・デュランダルによって提唱された人類救済計画・デスティニープランが、キラたちによって“間違ったもの”として拒絶された。デスティニープランは、人々の遺伝子を解析し、その結果を基に適切な職業に就かせることで個々の差別意識をなくす……というものだった。時はたち、「SEED FREEDOM」では、いまだにデスティニープランを理想とする人々が残っている。
「なくならないですね。一度世の中に出てしまったものは、よくないものであっても、何とか形を変えて残っていきます。一度、夢見ちゃった人たちがいるから、なかったことにしようとはならない。そのうち、世の中に適用するように形を変えていくんだろうと思います」
極端な思想は人をひきつけるところもある。戦争のない世界を夢見ても、現実には困難だ。
「極端なものは人をひきつけますし、時代を進めます。ただ、それを放置してはいけない。極端な思想があり、反対側の極端な思想があって、それが常に入れ替わりながら、真ん中を探しつつ、歴史が流れているんじゃないかと思っています。一番まずいのは、そこで命のやり取りするような事態になることです。ただ、争いはなくならない。人類が2000年以上かけてなくならなかったものが、10、20年で何かが変わったくらいで、変わるものではない。それを夢見るのは理想家なのでしょう。自分もデュランダルのことを書いていると、思想が近付いていく。そうならないと書けないですから。キラたちのことを書くと逆の思想になるし、揺り戻しがあります。両澤はそこがうまかった」
福田監督は「SEED FREEDOM」の公開日が発表された際、「テレビシリーズでは自分としても少々やり残した部分があり、それらをクリアしつつも新たな挑戦もしたいと思っています」とも語っていた。「SEED FREEDOM」が完成し、「やり残した部分」はやりきることができたのだろうか?
「まだ残っていますよ。何事も完璧なんてないですから。そう思わないと次が作れません。満足してしまったら終わり。満足しないように作っているわけではなくて、全力を尽くしているけど、後悔があるから、次がある。中途半端にやって、失敗すると、そうだよな……と終わってしまいますし、全力を尽くしたから、そう思うんです。よいか悪いかはまだ分からないです。売れる作品がよい作品とも限りませんし」
「SEED FREEDOM」の“次”があるのかも気になる。
「分からないですね。僕らはオーダーがないと動けないですし、作らせてもらえる環境があって、誰かに向けて作るものがあって、作るものですし。ターゲットがないものは作れません。『SEED』ははっきりしていました。中学生くらいをターゲットにすると明確になっていたし、分かりやすかった。続編というのも分かりやすいターゲット、オーダーではあるのですが」
福田監督をはじめとしたスタッフが全力を尽くして「SEED FREEDOM」は完成した。発表から約18年、シリーズに関わったさまざまな人の思いが込められている。
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