爆風スランプ：1980～90年代に活躍　当時の一番の思い出は？　伝説の番組の最終回に出演、平成最初の武道館公演も

1980～90年代に活躍したロックバンド「爆風スランプ」がデビュー40周年でこのほど再集結した。8月に26年ぶりのシングル「IKIGAI」を配信し、10月には2枚組みのベストアルバムをリリース。同月末から名古屋・兵庫・東京を回る3カ所4公演のツアーもスタートする。メンバー4人に、当時の思い出やベストアルバム、ツアーへの意気込みを聞いた。（前後編の後編）

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　◇地上波の音楽番組に週5本出演したことも

　「爆風スランプ」はボーカルのサンプラザ中野さん、ギターのパッパラー河合さん、ドラムのファンキー末吉さん、ベースの江川ほーじんさんの4人で1982年に結成。1984年8月にメジャーデビューを果たした。1985年12月に初の日本武道館ワンマンライブを成功させる。1988年には「Runner」が大ヒットを記録し、NHK紅白歌合戦に初出場。1989年、江川ほーじんさんが脱退し、バーベQ和佐田さんが加入。「リゾ・ラバ」「大きな玉ねぎの下で～はるかなる想い」（共に1989年）などで邦楽シーンを盛り上げた。1999年に活動休止を発表。2005、2007、2010年にその日限りの復活ライブを実施した。

　メンバーに活動していた80～90年代の一番の思い出を尋ねると、サンプラザ中野くん（2008年に改名、以下、中野くん）は、「テレビの地上波の歌番組が目白押しで週に5本くらいあって。それだけで大忙しだったというのが思い出ですね。『ザ・ベストテン』『歌のヒットスタジオ』『ミュージックステーション』、NHKの番組もありました」と懐かしそうに振り返る。

　和佐田さんも「『ザ・ベストテン』の最終回（1989年9月）に出られたことを一番覚えていますね。カチャカチャとランキングが表示されて、ぐるぐる回るところから出ていくと黒柳徹子さんらが迎えてくれて。子供の頃に見ていた番組の最終回に出られたというのはすごくうれしかったですね」と思い返していた。

　末吉さんは「最初の武道館（1985年12月）は思い出に残りましたね。大変だったけど。デビューして1年で武道館やったんで、ぐちゃぐちゃでした。武道館が終わって、そのまま風呂のない家賃1万1000円の四畳半の流しで髪の毛を洗った記憶があります」と語る。

　一方、河合さんは「『平成ロック大爆発』ってスポーツ新聞の見出しになったこと。武道館3日間（1989年1月7、8、9日）のうち7、8日がなくなって（昭和天皇崩御により自粛）、平成になった9日にやっと1日やりまして。そうしたら新聞に載ったことが一番思い出に残っています」と話した。

　◇2枚組みベストアルバムはメンバー自身で選曲

　10月23日には2枚組みのベストアルバムをリリースする。「Disc1」は新曲「IKIGAI」のアルバムバージョンのほか過去の楽曲を再レコーディング、「Disc2」は過去曲を再マスタリングになるという。

　中野くんは「曲は全部自分たちメンバーで選んで。面白いアルバムになりそうで楽しみです」と期待を寄せる。

　河合さんは「キャリアがあるバンドだからベストアルバムって結構出してるんです。今回はメンバーが選んだので、いろんな方法あるんだなと思いましたけれど（笑い）、微妙なラインを狙った選曲なので、ファンの人からしたらその手があったかと、結局手にしていただけるのではないでしょうか」とちゃめっ気たっぷりに紹介する。

　末吉さんは、「セルフカバー（再レコーディング）の方はドラムとベースを録り終えたんです。録音するときに私と（ベースの）和佐田でどんどん悪ノリしまして。ドラムソロ、ベースソロが11曲の中でなんと2曲もあるという、なかなかない感じのセルフカバーになっておりますので、お楽しみに！」とメッセージを送る。

　和佐田さんは「改めて引き出しの多いバンドだなというところを皆さんに感じ取っていただければなと思います。バンド的に一つのジャンルにこだわってなくて多種多様な曲を選んだつもりなので、お楽しみいただければなと思います」と語る。

　◇J-ROCKの再ブームに期待

　そして10月末から名古屋・兵庫・東京でのライブツアーがスタートする。見どころを中野くんは「末吉さんが中国でやっている『布衣』というバンドがフロントアクトをしてくれるということで、そのへんが面白いと思います」と紹介。

　河合さんは「体のキレを表現したいなと思っています。20歳の頃の自分のプレーを動画で見たら、信じられないぐらいキレキレなんですよ。やばいと思って、今、一生懸命鍛えています。こいつ年取ったなと思われるのは嫌じゃないですか。年取ってるんですけれどもね、そこに抗う（笑い）」と力を込める。

　末吉さんは「中野がちょっと休んでる5分か10分の間、ものすごい見せ場を作りますので、それをお楽しみに」、和佐田さん「ミュージシャンの真の姿見せられるのはもうライブしかないと思っているので、我々の60歳を超えても成長した姿を楽しんでいただきたいなと思っています」とコメントした。

　世は昭和ブームだが、中野くんは「シティポップの次はJ-ROCKのブームが来るかなと思って楽しみにしています」といい、爆風スランプが再びブームの中心に躍り出ることを期待していた。