コスプレは自宅で気軽に楽しめる趣味であり、アニメやゲーム、マンガなどの人気のバロメーターとしても注目を集めている。コスプレ文化の研究家でライター兼カメラマンのソムタム田井が、イベントに取材、参加して見つけたハイレベルなコスプレーヤーをピックアップ。衣装、ウイッグ、メーク、体づくりなど、キャラクターになりきる上でのこだわりについて聞く。
世界最大級のフィギュア、造形物の祭典で、プロ、アマチュアを問わず、誰でも制作したキットを持ち寄って展示、販売できるイベント「ワンダーフェスティバル2024[夏](ワンフェス)」で撮影、インタビューした「勝利の女神:NIKKE」のジャッカルに扮(ふん)するまきほさんと、「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」の勇者に扮する八尋さんを紹介する。
「ワンフェス」といえば、ほかのコスプレが楽しめるイベントと比べて“衣装や武器などの造形に注力するレイヤーが多い”ところも特徴として知られている。まきほさんは巨大なロケットランチャー、八尋さんは剣、盾、サークレットと、それぞれのキャラを象徴する武器、防具を用意して参加しており、それらを生かした多彩なポーズで写真撮影に応じてくれた。
長蛇の列ができ、大勢のカメラマンに応対していたまきほさんは、武器のありなし両パターンを想定して、ポージングの練習をしてきたという。
「『ワンフェス』は造形にこだわられたレイヤーさんが大勢いらっしゃるので、私もジャッカルちゃんの武器をオーダーして持ってきました。再現度重視で大きめの作りなので、持ち運びはすごくたいへんでしたが、武器があることでより“NIKKEらしさ”を表現できたと思うので、持参してよかったです。あと、武器を構えた状態と、武器なしの状態でポーズにバリエーションを出せたのも、持ってきてよかったポイントですね。ちなみに今回は、特徴的な顔のタトゥーも再現したので、こちらにも注目してもらえるとうれしいです」(「勝利の女神:NIKKE」ジャッカル/まきほさん)
一方、八尋さんは武器の造形について、基本的にはスーパーファミコン版のデザインを踏襲しつつ、一部にHD-2D版のデザインを取り入れたと話す。
「こだわったのは剣と盾、サークレットの造形です。剣と盾はスーパーファミコン版の勇者をイメージして作成しました。剣に関してはシンプルな造形ですが、ところどころに見られる鳥山明先生らしいデザインを再現することを意識しました。特にグリップの再現はよくできたと思うので、気に入っています。盾に関しては、複雑かつ立体的な模様をラインオンボードを複数重ねることで再現しました。サークレットに関しては、今秋発売のHD-2D版のイラストを参考にしながら制作したものになります」(「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」勇者/八尋さん)
取材・文:ソムタム田井