ダンダダン
第6話「ヤベー女がきた」
11月7日(木)放送分
高橋留美子さんの大ヒットマンガ「らんま1/2」の“完全新作的アニメ”が日本テレビで10月にスタートした。同作は、1989~92年にテレビアニメが放送されており、テレビアニメ化されるのは約32年ぶり。新作アニメは、早乙女乱馬役の山口勝平さん、らんま役の林原めぐみさん、天道あかね役の日髙のり子さんら声優陣が続投する中、九能帯刀役の杉田智和さん、九能小太刀役の佐倉綾音さんら新キャストの出演も話題になっている。“1989年版”アニメで島津冴子さんが演じた九能小太刀役を受け継いだ佐倉さんに「らんま1/2」への思いを聞いた。
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「らんま1/2」は、「うる星やつら」「めぞん一刻」などでも知られる高橋さんが1987~96年にマンガ誌「週刊少年サンデー」(小学館)で連載。水をかぶると女性になってしまう高校生格闘家・早乙女乱馬と許嫁(いいなずけ)の天道あかねらのドタバタした日常が描かれた。
佐倉さんにとって「らんま1/2」は、「出会いがいつだったか覚えていないくらい、人生に当たり前にある作品」だったという。
「最初に出会ったのは原作で、子供の頃、通っていた塾にマンガが置いてあったんです。そこで『らんま1/2』や『犬夜叉』を読んでいて、小さい頃は『らんま1/2』の中でもらんまがずっと好きでした。というのも、中性的なキャラクターがずっと好きで、私自身ボーイッシュで一人称を『僕』と称して過ごしていたので、らんまは私にとって理想というか、『自分もこうだったらいいな』と思いながら見ていたんです」
佐倉さんは、過去のインタビューで「小学生時代はマンガ家志望だった」と語るほどマンガ大好き少女だった。そんな佐倉さんは「らんま1/2」の魅力を「元気がない時でも会える友達みたいな感覚」と表現する。
「個人的に、疲れている時でも読めるのが、高橋留美子先生作品の魅力だと思っています。とにかくマンガ表現が巧みなので、こちらが努力をしなくても全部頭に入ってくる。それはもう伝統芸能というか、語り継がれる、受け継がれる名作としての圧倒的条件なのかなと。どんな条件下の人でも、しっかりと100%受け取ることのできるエンタメを先生がどのように描かれているのかは分からないのですが、本当にすごいなと思います。シリアスなシーンだったとしても必ずカタルシスが用意されていて、読み終わった後、すてきな気持ちになって、明日からまた頑張れる!という気持ちになれるところにとても安心感がありますし、何回でも読みたいなと思えます」
佐倉さんが「らんま1/2」の“完全新作的アニメ”の制作を知ったのは、小太刀役のオーディションのオファーが来た時だった。大好きだった作品が令和に新作アニメとしてよみがえることに「かなりびっくりしました」と驚きが大きかった。それと同時に「一生で一度、高橋留美子先生の作品に関わるというマンガ好きとしての夢」をかなえたいという強い思いもあったという。
「実は『うる星やつら』の新作アニメの時に、キャストの仲間に入れなかったのがずっと悔しくて、どこかずっと胸の端っこに残っていて。ただ、今回の『らんま1/2』は基本的にはオリジナルキャストというお話だったので、『うる星やつら』より狭き門だ……と思って。オーディションのオファーが来たのが小太刀役の1キャラのみだったので、難しいだろうなとは思いましたが、とにかく自分にできることを精いっぱいやろうと」
九能小太刀は、九能帯刀の妹で、「黒バラの小太刀」の異名を持つ格闘新体操の名手。レオタード姿に黒バラをくわえた外見はさることながら、乱馬に好意を抱き、その恋路を邪魔する者には手段を選ばない強烈なキャラクターだ。
「小太刀役と聞いた時に、正直、自分が演じている姿が想像できませんでした。今までこういうキャラクターでオーディションに受かったこともなかったですし、『らんま1/2』を読んでいた時に、一番理解が難しいキャラクターでもあったんです。共感するのが難しい役どころというか、いかに共感できない部分を楽しんで、ふと共感できる部分が見えた時にうれしい、というタイプのキャラクターだったので、逆に共感できるからこそ感じるプレッシャーは度外視していいかなと。常人にはなかなか理解が難しいキャラクターとして、振り切ったお芝居を組み立てました」
“1989年版”アニメで小太刀を演じた島津さんの声の印象も強い。その魅力を誰より感じていたのは、ほかならぬ佐倉さん自身だった。
「島津さんの小太刀のお芝居は、本当に絶妙なバランスで成り立っていて、ものすごく突飛でクレージーなのに上品さがあり、声の伸びがとんでもなくあるんです。言っていることは理解しがたいのに爽快感があるというか。そんなの島津さん以外に表現できる人がいるんだろうか、というプレッシャーは大きくて」
佐倉さん自身、「らんま1/2」の大ファンであるからこそ「後任キャストとしてこんなことを言っていいのか分からないのですが、島津さんの小太刀を聞きたかった人の気持ちが痛いほど分かる」と率直な思いを語る。
「だからこそ、受け入れてもらわなくてもいいから、皆さんの違和感にはなりたくなかったんです。島津さんの声をたくさん聞いて、島津さんの声への憧れを自分に落とし込んでいきました。そこに乗っかる感情は絶対に真似できないもので、島津さんが乗せた感情は島津さんのものだし、私が乗せる感情はどうしても私のものになってしまうので、そこをオリジナリティーとして、なんとか。そのほかは、島津さんの小太刀を好きな方にストレスを与えない音作りをかなり意識しました。ただ、私は声質に特徴があるタイプなので、個性を殺しても殺しきれない部分は、ちょっと悔しい思いもしました。収録当日は、先輩たちに負けない大きい声で精いっぱい高笑いしようという思いで臨みました(笑)」
インタビュー(2)へ続く。
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