今をときめく俳優やアーティストに、影響を受けた人物について聞く「運命の出会い」。今回は、映画「本心」(石井裕也監督)で、主人公・朔也(池松壮亮さん)の亡き母の友人だった“三好彩花”を演じている俳優の三吉彩花さんに、映画「告白」(2010年)に出演した際に出会った中島哲也監督について語ってもらいます。
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7歳からモデルをやっていて、少しずつお芝居も始めていたころに、「告白」という映画に生徒役で出演しました。そのころは年齢も若かった(14歳)ですし、俳優としてお芝居をしっかりやっていきたいというよりは、まだちょっとふわふわしている部分があったんです。
「告白」は、30人以上のクラスメート全員が牛乳を飲むシーンから始まるんですけれど、そのときすごく印象的だったのは、あのシーンを中島監督は一人一人、飲み方がかぶらないように多くのカットを撮っていたんです。一人ずつ呼ばれて、「いろんなバリエーションを見せて」と言われて撮影しました。
そんなふうに生徒一人一人をフィーチャーしてくれて、その結果、それがすごく印象的なシーンになっていて。そういう演出をしてくださる監督の様子を見て、お芝居って面白いかもと思うきっかけになりました。
私が出演した映画「本心」は、今、現実世界でリアルになってきている話ということもあって、自分自身でもちょっと他人ごとのように思っていた、AIやテクノロジーが進化した時代の功罪を盛り込みながら人の心に真っすぐ刺さっていく内容になっています。
私が演じた三好という役も、人に触れられないというトラウマやコンプレックスを抱え、苦しみながらも人と向き合っていくことに一生懸命な女性です。一人一人のキャラクターがすごくリアルに生々しく描かれていますし、もがいている部分などに注目していただきたいなと思います。きっと皆さんにもどこか重なる部分があるので、そういった部分を見つけて共感してもらえたら、うれしいなと思います。
<プロフィル>
みよし・あやか 1996年6月18日生まれ。ファッション誌「Seventeen」で7年間の専属モデルを務め、2017年に同誌を卒業。近年ではNetflixオリジナルシリーズ「今際の国のアリス Season1,2」など話題作に多数出演。昨年はPrime Videoで配信された日韓共同制作クライム・アクションエンターテインメント映画「ナックルガール」で主演。2022年、「ティファニー」の日本初のブランドアンバサダーに就任。2024年に「TikTok TOHO Film Festival 2024」の公式アンバサダーに就任した。10月に「アジアコンテンツアワード&グローバルOTTアワード2024」でライジングスター賞を受賞。
公開中の映画出演作「本心」は、「舟を編む」(2013年)などで知られる石井監督の最新作で、「ある男」などで知られる平野啓一郎さんの同名小説(文春文庫/コルク)が原作。今からさらにデジタル化が進み、“リアル”と“ヴァーチャル”の境界が曖昧になった少し先の未来(物語の始まりは2025年)を舞台に、自由死を選んだ母の“本心”を知るためAIで母をよみがえらせることを選択する青年、石川朔也(池松さん)と、彼を取り巻く人間の心と本質に迫るヒューマンミステリーだ。
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