小野正利:生涯現役を宣言! ハイトーンボイスを保つ秘訣は? 海外のファンがアニメソングに大熱狂 

取材に応じた小野正利さん
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取材に応じた小野正利さん

 ハイトーンボイスが評判になり、1992年にバラード曲「You're the Only…」がミリオンヒットとなった歌手の小野正利さん。現在もソロ活動を続けながら、ヘヴィメタルバンド「GALNERYUS(ガルネリウス)」のボーカルとしても活躍している。今年、「GALNERYUS」はメジャーデビュー20周年の記念アルバムを9月にリリースし、全国ツアーを展開中だ。小野さんに、自身の声に対する思いや、ハイトーンボイスを保つ秘訣(ひけつ)、現在の活動や今後について聞いた。(前後編の後編)

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 ◇32年前の曲「You're the Only…」をいまだにオリジナルキーで歌える理由

 小野さんは、代表曲といえるドラマ「君のためにできること」(フジテレビ系)の主題歌「You're the Only…」を今でもオリジナルキーで歌えるという。そのため、1990年代を名曲で振り返る特番などでは、当時のままのキーで歌声を届けるようにしている。

 「なるべく当時のオリジナルのイメージを保って歌おうと思ってるんですね。だからオリジナルのキーで歌えるというのは大きいなと思っています。自分自身、他の方がキーを変えたり、アレンジを加えたりして歌っているのを聞くと、当時聴いていた身としてふと寂しさを感じるというか。自分の代表曲として、やっぱり大切にしていかなきゃいけないと思いますしね」

 「You're the Only…」はオリジナルキーで歌えるが、「やっぱり年齢とともに少しは変化はしてますので、それでもまだハイトーンと言われる部類にいるのかもしれませんけど、ソロとGALNERYUSに入ってツアーを頻繁にやるようになって、ケアの大切さを身を持って知りました」と語る。

 まずは、「睡眠をちゃんととること」だという。

 「ソロだけでやっていたときは若さもあって、歌った後にどうするかとか、ライブ当日のルーティンがどうだとか、ほとんど考えてなかったんです。それが、2009年にGALNERYUSに入って行き着いた結論は、ライブやった後のケアとして、もうとにかく睡眠をとることだと気付いたんです。喉は筋肉疲労なので、疲労を取るには睡眠しかない。メジャーリーグの大谷翔平選手と一緒です。とにかく、たくさん寝る」

 「あとは、無理をしないこと」だと語る。

 「バンドに入ったばかりのときは、メタルとしてソロとは歌い方を変えようと思って、ちょっと無理していた」という小野さん。喉の調子が悪いときは漢方の薬に頼った時期もあったというが、「自己流で歌ってきて、20代の頃は若さで押し切れる部分もあったんですけど、自分にとってこういう歌い方、こういう発声が無理がないんじゃないか、これが正解なんじゃないかと思われることをやっています」と今は自然体を心がけている。

 「無理をしない」とはいえ、「何もしない」のも逆に良くないという。「GALNERYUSに入ったことによって、バンドで年間、本気のライブツアーがあって、ソロでもありがたいことにライブがあって、歌い続けられているという頻度が良かったんじゃないかと。度を超すとつらいですけど、良い具合にほぐせていますね。コロナ禍のときに、歌の仕事が減って、やっと休めると思ったんですよ。歌ったりしないで、家でじっとしてたら、声が枯れ始めちゃって。医者に行ったら『声帯および声帯周りの筋肉が痩せてます』と言われたんです。ちゃんと声を出せば戻るから声を出しなさいと。なるほどと思ったんです。だから、ちゃんと歌ってちゃんと寝るっていうことですね」

 ◇ライブで観客と元気を交換しながら「生涯現役で歌い続けたい」

 「喉は多分強い方」だといい、「恵まれてるんだと思います。ただ年齢とともにいろんな歌手の方から聞いて、これが良かったというやり方を試しています」という。

 「例えば、知り合いのメタルのボーカルの人が、ライブの日はとにかく朝起きて、会場に着くまではしゃべらないと言ってたんです。だからここ最近はライブの当日は会場行くまでしゃべらないです。地方でみんなで会場行くときも、集合時間の2時間前に起きて、ゆっくり風呂に入って準備してロビーへいって、寝起き2時間後に初めて『おはよう』って言うようにしています。そんなことは、年齢とともに心がけるようにしてますね」

 テレビアニメ「HUNTER×HUNTER」(日本テレビ系)では小野さんがソロでオープニングテーマ「departure!」(2011~14年)を歌い、バンド「GALNERYUS」でエンディングテーマ「HUNTING FOR YOUR DREAM」(2012年)を担当し、話題になった。海外のアニメフェスに呼ばれて、これらのアニメソングを歌うと、観客が熱狂するという。

 「ソロで今年はポーランド、昨年はチリの日本アニメフェスのようなイベントに呼ばれて行きました。カラオケで8曲ぐらい歌ってくれって言われると、アニメが好きだろうからと思って、ソロで呼ばれているけれど、バンドの曲も歌ったりします。皆さん知ってるから盛り上がるんですよね。ロカビリーブームで平尾昌晃さんが歌ったときぐらいの勢いで、失神しちゃうんじゃないかぐらい熱狂していて、それを見ると、本当にありがたいなと思います」

 GALNERYUSは現在、20周年の全国ツアー中だ。「今年リリースした20周年記念のアルバムの曲はしっかりお届けしています。あとは、ファンの方にライブでやってほしい曲、この曲が好きというようなアンケートをとったんです。そこで選ばれた曲をちりばめてやっていますので、新旧うまいバランスで楽しんでいただけると思います」と見どころを語る。

 デビューから32年。これからについて尋ねると、「もうここまで来たら、60歳、65歳といわず……松崎しげるさんは75歳で声が変わらないって言っていたので、皆さん期待がどの程度か分かりませんが、少なくとも70歳までこのままいけたら、カッコいいなと思っています。ライブで歌うと、皆さんの“気”をすごく感じて、もちろん疲れはしますけれど、本当に元気になるんですね。GALNERYUSの今度のファイナルがキャパ3000人のハコ(東京・立川ステージガーデンで12月22日に開催)なので、3000人から“気”をいただいて、皆さんの応援が力になって、私がそれを得た上で歌い、それでまた皆さんが元気になれば。お互いに元気を交換しながら、70歳まで……いや生涯現役でいけるかなと思っています」と宣言した。

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