松村北斗さん主演で、10月10日に公開された映画「秒速5センチメートル」(奥山由之監督)。新海誠監督の同名劇場版アニメ(2007年)の実写化作品で、ヒロイン・篠原明里の幼少期を演じたのが、白山乃愛さんだ。撮影時はまだ小学生で、奥山監督から最初「自然な演技をしてほしい」と言われ、「自然な演技って何?」と思ったという白山さんが“挑戦”を振り返った。
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映画では、主人公・遠野貴樹が小学生の頃に出会った転校生・篠原明里と心を通わせたみずみずしい日々、小学校の卒業と同時に明里と離ればなれになり種子島で過ごした高校生活、東京でシステムエンジニアとして働きながら漠然とした閉塞感と焦燥感を抱えて過ごす30歳を手前にした青年期と、18年間にわたる人生の旅が描かれている。
白山さんは、自身が演じた幼少期(小学生〜中学生)の明里について「本当に素直な女の子」との印象を抱いた。
「貴樹君の前では、楽しかったら笑って『楽しい』としっかりと言えるし、悲しかったらたくさん泣いて、『悲しい』と言えるような素直な女の子。よく笑うところは、私にもよく似ているのかなと思いました」
劇中では、小学生で出会った二人が、互いの孤独にそっと手を差し伸べるようにして心を通わせていく姿がていねいに描かれている。
「貴樹君と一緒にいるときの明里ちゃんの『楽しい』という感情にはとても共感できました。時に悩んだり、悲しいシーンもありましたが、役から一番受け取ったのは『楽しい』という感情でした。そういうシーンは演じていて私自身もとても楽しかったです」
小学生の頃のみずみずしい日々では、「本当に演技なの?」と思わせるほど、自然体のやりとりや会話を披露。
「自動販売機で同時にボタンを押すシーンや、貴樹君と二人で遊んでいるシーンは結構アドリブが多く、撮影中は、自分は明里ちゃんなんだということを意識して、『いま貴樹君とこういう話をしたい』だから『これを言ってみよう』といった感じで演じることができました」
“自然な演技”は白山さんが奥山監督と共に目指したものの一つだ。
「奥山監督からは最初に『自然な演技をしてほしい』と言われたときは、正直、『自然な演技って何だろう?』と思いました。監督から『明里ちゃんになりきることも大事だけど、自分らしさを出すことも大切にしてほしい』というアドバイスをいただけたので、そのおかげで少しずつ自然な演技ができたのかなと思っています」
そんな奥山監督の言葉を胸に挑んだ撮影。前述の、明里が貴樹と一緒にいることで、笑顔が絶えないシーンでは、白山さん自身も「私らしさが出ている」と思ったほど、“自然な演技”ができたという。
一方で今回は涙を流すシーンが2回あった。特に難しさを感じたのが、明里が貴樹に一緒に中学校に通えないと電話で伝えるシーン。
「涙の演技は決して得意ではなかったですし、できるのか緊張や不安もあって。『一緒に中学校にいけない。ごめんね』と伝える電話ボックスのシーンは特に、引っ越して友達と離れ離れになるという悲しさを経験したことがなかったので難しかったです。けれど、奥山監督が明里ちゃんがどういう気持ちで貴樹君に電話をしているのか、優しく教えてくださったおかげで撮影を乗り切ることができて、ものすごく感謝しています」
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