葬送のフリーレン 第2期
第30話 南の勇者
1月23日(金)放送分
累計発行部数が100万部を突破した東野圭吾さんの小説が原作の劇場版アニメ「クスノキの番人」が1月30日に公開される。これまで数々の“東野作品”が実写映画化、ドラマ化されてきたが、アニメ化されるのは意外にも初めて。初のアニメを手掛けるのは、「ソードアート・オンライン」「僕だけがいない街」「HELLO WORLD」などの伊藤智彦監督だ。アニメならではの表現を目指したという伊藤監督に、同作に込めた思いを聞いた。
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「クスノキの番人」は、理不尽な解雇により職を失った青年・直井玲斗が、謎多き“クスノキの番人”となり、さまざまな事情を抱える人と出会う……というストーリー。玲斗は、職を失い、追い詰められた末の過ちで逮捕される。「依頼人の指示に従うなら、釈放する」という弁護士の条件をのんだ玲斗の前に、大企業・柳澤グループの発展に大きく貢献してきた柳澤千舟が現れる。千舟は、亡き母の腹違いの姉で、月郷神社にたたずむクスノキの番人になることを指示する。クスノキには不思議な力があるようで、やがてその謎は、玲斗の人生をも巻き込みながら、思いもよらぬ真実へと導いていく。
伊藤監督は、原作を読んで「地味な話」と感じたという。ネガティブに聞こえるかもしれないが、そういうわけではない。派手なアクションがあるわけでもなければ、人類の存亡に関わる大事件に巻き込まれるわけでもなく、異世界に転生するわけでもない。昨今のアニメを見渡すと、「地味」に見えるかもしれないが、普遍的で芯がしっかりあり、心を揺さぶるような作品なのだ。
「アニプレックスで東野圭吾さんの作品をアニメ化するプロジェクトがあり、俺が手を挙げたのがスタートでした。そんな中、『クスノキの番人』が発表され、これをアニメ化することになりました。『地味』と言ったのは、アニメファンが喜ぶ話では多分ないと思ったからなんです。ただ、やりがいがあるし、そういう作品があってもいいと思います。ここ数年のアニメに要求されるのは、アクションであったり、歌であったり、異世界に行ったりが代表例になると思いますが、『クスノキの番人』は芯がしっかりしているし、絵で暴れないといけないと思っていました。キャラクターデザインに関しても、マンガっぽいキャラクターが混在していても許される世界にしようと考えました。高齢女性がハイヒールで山を歩いていてもおかしくない。これが普通なんですと、それを許される世界にしようとしました」
ファミリー向け、コアなアニメファン向け……などとセグメントできる作品というわけでもない。普遍性のある作品で、子供から老人まで幅広い層にアプローチできるはずだ。見る人の世代や環境によって感じることも違う作品になっている。
「セグメントをせずに広い層に向けるのは、あり得ないと言われることもあります。その気持ちも分かるのですが、ただ、今はみんなセグメントをして作りすぎているようにも感じています。業界全体を展望すると、誰かがこういった作品を年に一本くらい作っておかないと、よろしくないんじゃないかなとも思うんです。どの立場なんだよ、と思われるかもしれませんが、そういう気持ちがありました。この作品にチャレンジする価値があると思っています。とはいえ、自分の中ではこの層に一番刺さるだろう、というのは考えてはいるんですけどね」
初のアニメ化ということだが、原作者の東野さんからのオーダーは特になかったという。
「千舟のキャラクターデザインを見ていただいた時、何か言われるかと思いましたが『そうきましたか』というメッセージが届き、オーダーは全くありませんでした。基本的に原作のスピリットは損なっているつもりもないですし、読後感は同じようになりたいと思って作っています。試写でお会いした際にお話しましたが『お疲れさまでした』という言葉をいただきました」
アニメ「クスノキの番人」は、玲斗と千舟の関係によりフォーカスしたようにも見える。二人の関係は複雑ではあるが、そもそも複雑ではない家族などいないのではないのだろうか? そんなことも考えさせられる。
「玲斗と千舟の話であるのは間違いないのですが、基本的には家族の話になっていきます。一方で、必ずしも血脈がつながっていることが大事ではない。劇中でもキャラクターが語っていますが、そこが全てではないことを忘れたくない。どんな形でも家族は家族であって、いろいろ形があってもいい。つながってないからダメとは言ってはいけない。みんな違ってもいいと言っていきたいと思っていました」
主人公の玲斗は、将来の夢もなく、流されやすい。複雑な境遇がそうさせているところもあるが、主人公らしくないところもあるのかもしれない。一方、千舟はビジネスの世界の最前線で戦ってきたこともあり、威厳を漂わせている。高橋文哉さんが玲斗、天海祐希さんが千舟をそれぞれ演じる。
「主人公として玲斗は弱いんです。普通だったら3番手くらいのキャラクターで、ポンコツなんです。ただ、ダメなのが可愛いらしく見えるくらいに、嫌な人間に見えすぎないように気を付けました。千舟さんは、完全に俺の持っている天海祐希さんのイメージのままなんです。天海さんが年齢を重ねた感じで、同一視してます。ですので、天海さんに断られたらどうしよう……と思っていました。毅然としていて格好いいキャラクターをしっかり作ろうとしました。アニメにすることで、絵の説得力を持たせることができる」
高橋さんや天海さん、佐治優美役の齋藤飛鳥さん、大場壮貴役の宮世琉弥さん、佐治寿明役の大沢たかおさんら豪華声優も話題になっている。
「今回は自分で音響監督もやっていて、最初から『必要以上にキャラクターを作った感じにしないでください』とお願いしました。アニメのアフレコは演者が体をあまり動かしすぎないようにお願いすることが多いのですが、今回は『動いていいです』と言いました。玲斗が抑えつけられて、もがきながらしゃべるシーンも実際にスタッフが高橋さんを抑えつけて演じてもらいました。玲斗と千舟が向き合ってしゃべるシーンも実際にお互いの顔を見て収録しています。普段しゃべっている感じがいいと思ってキャスティングしているので、伸び伸びとやってもらいたかった。作りすぎると嘘っぽく聞こえる瞬間があるので、それは避けたかった」
アニメ的な表現とリアリティーのさじ加減が絶妙だ。例えば、クスノキの木は、神秘的に表現されている一方、東京の街がリアルに描かれている。
「美術監督の滝口比呂志さんの采配によるところが大きいのですが、クスノキ周りは現実感をやや薄く、街に戻ったら現実感があるようにしようとしました。かなり初期段階で滝口さんにそう話をしていました。東野さんは舞台を具体的に決めていなかったようですが、あきる野市辺りらしいという話を聞き、実際にはあきる野市にはああいう銭湯もなかったりするのですが、それを頼りに作り上げていきました。神社は限りなく近いものがモデルとしては存在します。あんなに大きなクスノキはないのですが」
滝口さんは「天気の子」「花とアリス殺人事件」など数々の作品に美術監督として参加してきたことで知られている。
「滝口さんは、一枚絵で勝負する感じがとても強い。昨今のアニメの背景は、撮影処理を前提でハイコントラストに描いて、撮影で調整することが多々あるのですが、昔のジブリの背景のようで、おそらく男鹿和雄さんもそういうアプローチをされていたのでは、と思うのですが、完結した一枚絵としての完成度が高いのだと思います。色調のダイナミックレンジが広いんです。処理を入れると潰れてしまうので、再現した方がいい。メッセージの伝わる描き方をしてくるから、そのまま撮るんです。森の奥に光がみえるようなカットでも、神秘的な、幽玄的な描き方をしてくださるんだと感じました。今まで見たことがないアニメの背景だったので、新鮮でした」
「クスノキの番人」でも東京の街にところどころ緑が描かれていたり、部屋の中に観葉植物があったり、キャラクターの服にも緑が使われていたりと“緑”が印象的だ。アニメなので、描いてあるものには全て意味があるはず。
「街の中の緑は意図がありますが、キャラクターの服に関しては結果的にそうなったところもあります。玲斗のセリフで『何かをちゃんと残す』ともありますが、そこを印象付けていて、見終わった後に、ひょっとしたら……と感じたり、例えば東京に住んでいる人が舞台となった場所を通った時に、何か感じていただけるとうれしいです。東京に緑を残してほしいという気持ちもあります。それに対して緑が少ないのが、ヤナッツ・コーポレーション側です。代表取締役の柳澤将和は、テック系の人みたいなイメージですね」
◇山口つばさのデザインの魅力
マンガ「ブルーピリオド」などで知られる山口つばささんがキャラクターデザインを担当した。マンガ、アニメ的な表現がありつつ、リアリティーもある独特の表現が魅力になっている。
「生っぽさとマンガっぽさの中間があるんですよね。芸大を出ていらっしゃることもあって、デッサンがしっかりしていて、キャラクターの立ち姿の背中、肉付きがすごくいいんです。立ち姿の背中に存在感があった。『多少、日本人に見えなくてもいいので』とお願いしました」
「かがみの孤城」などに参加してきた板垣彰子さんもキャラクターデザインとしてクレジットされている。
「旧来的な言い方をすると、山口さんがキャラクター原案で、板垣さんがキャラクターデザインという住み分けになると思うのですが、あえて分けない形にしました。山口さんにシルエット感を描いていただき、衣装デザインの高橋毅さんに衣装を考えていただき、それを基に、板垣さんがアニメ用に設定をまとめる。例えば、優美は元々、黒髪だったけど、高橋さんから『茶髪の方がいいんじゃないですか』という話があったり、佐治寿明も最初はもっと髪の毛が短かったけど、高橋さんのスタイリストとしての意見で、朴念仁というよりも少し色気があった方がいいので、調整しています」
コノハズクの存在もアニメならではだ。アニメ的なデザインで、スパイスにもなっている。
「シナリオ打ちの時、社務所で玲斗が一人になってしまうシーンが多いので、独り言になるより、話し相手がいた方がいいという話になって、ペット的なキャラクターを出すことになりました。マスコットキャラにするべきだと思って、『けいおん!』の堀口悠紀子さんにお願いしました。コノハズクの存在に、答えはあるのですが、明言していません。神秘的な存在なんでしょう。森の主なので」
音楽も重要な要素だ。「ガリレオ」シリーズや「新参者」など“東野作品”に参加してきた菅野祐悟さんが音楽を手掛けた。菅野さんは、伊藤監督の「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」にも参加している。
「きっかけはシンプルで、東野さんの作品をやったことがある人が良いかな、と思っていて、菅野さんの名前が挙がりました。俺も一緒に仕事をしていますし、ピアノ弾きでもある。最後のピアノの曲がこの作品の肝になるので、コンテを描く時に曲がほしいので、先にお願いしました。デモを聞いて、これは、泣ける! 泣かせられる! ありがとうございます!となりました」
東野さんの作品が、これまでアニメ化されてこなかったこともあり、実写向けであると考えてしまう人もいるかもしれない。アニメ「クスノキの番人」には豪華スタッフが集結した。リアリティーとアニメならではの表現が融合した、細部までこだわり抜いた映像が魅力になっている。
「アニメになることで“見やすさ”なるものが増すと思うんです。実写だと、邦画独特のものなのかもしれないけど、重たい空気みたいなものを感じるんです。もちろんそれがいい時もあるのですが、アニメの方が気軽に楽しんでいただける。現実のような場所も出てくるし、クスノキがどこかにあるといい……と感じていただきたかった。あのままの姿かは分からないし、木でもないかもしれない。ただ、そういうものがきっとある。あってほしい。だから現実っぽさを入れようとしたところがあります」
アニメは、近年の映画の興行収入ランキングを席巻しており、海外でも日本のアニメは大きな注目を集めている。
「とはいえ、多くはマンガ原作のものです。映画をやるからには、『クスノキの番人』のような作品もやらないといけないんじゃないか。今後、こういう作品がどんどん作りづらくなっていく気配もしています。誰かにバトンを渡すなり、自分が作るなりして、誰かが作り続けていけないといけない。大風呂敷を広げてしまいますが、日本のアニメの雑多性を考えると、こういうものを作っていかないと、全てがマンガ原作作品ばかりになってしまう。それはそれでいいのかもしれないけど、ロストテクノロジーにならないように、作り続けていかないといけない」
「今回は、コンテ、処理演出、音響監督も俺一人でやりました。師匠の細田守さんに倣ってです。年齢的にもやれる最後のチャンスかなと考えていました。そうやって臨んだ作品です」と伊藤監督にとって「クスノキの番人」は挑戦になったようだ。伊藤監督の挑戦は、東野作品の新たな可能性を示すアニメとなっている。(阿仁間満/MANTANWEB)
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