中井和哉:「呪術廻戦」インタビュー 秤金次のドスと重み 強いキャラを演じる肝

アニメ「呪術廻戦」の一場面(c)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
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アニメ「呪術廻戦」の一場面(c)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された芥見下々(あくたみ・げげ)さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「呪術廻戦」の第3期「死滅回游 前編」が、MBS・TBS系のアニメ枠「スーパーアニメイズム TURBO」で毎週木曜深夜0時26分に放送されている。第3期で新たに登場した人気キャラクター・秤金次を演じるのが人気声優の中井和哉さんだ。秤は、特級術師である乙骨憂太が「ノッてる時は僕より強いよ」と語るほどの実力者で、人間の“熱”を愛し、よりダイレクトな“熱”のやり取りであるギャンブルを好む。中井さんに収録の裏側、秤の魅力を聞いた。

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 ◇秤の言葉の力 自身も「説得されてしまった」

 「呪術廻戦」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で2018年3月~2024年9月に連載されたマンガ。強力な“呪物”の封印が解かれたことで、高校生の虎杖悠仁が呪いを巡る戦いの世界に身を投じることになる……というストーリー。コミックスのデジタル版を含む全世界シリーズ累計発行部数は1億5000万部以上。

 中井さんは、秤役のオーディションを受ける前は、一視聴者としてアニメを見ていたという。

 「『戦いをこんなにスタイリッシュに見せるんだ、すごいな』と、ファンとして楽しんでいました。中でも『渋谷事変』は衝撃的でした。術式での戦いはアニメ的ではあるけれども、『今日ここにいたんだけど』という場所がどんどん破壊されていく様に引き込まれました。自分が出演するイメージはなかったのですが、オーディションに受かった時は『やらせてもらえるんだ』『こんなすごい人気作の中に仲間入りさせていただけるんだ』という喜びが一番大きかったです」

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 第3期「死滅回游 前編」では、羂索が引き起こした呪術を持つ者同士の殺し合い「死滅回游」が描かれる。秤は停学中の東京都立呪術高専の3年生で、術師同士が殴り合う賭け試合を胴元として主催しており、虎杖たちは秤に協力を仰ぐべく会いに行く。中井さんは秤の第一印象は“上級生”だったという。

 「『呪術廻戦』は、こいつが強い・弱いという以前に同級生、上級生という関係性があるのがとても面白いなと感じています。僕自身、高専出身なのですが、この間まで中学生だった1年生から見た上級生の5年生は、いきなりおっさんが上級生という感じで、秤はそういう風情があるなとすごく思いました」

 秤の裏表のない言葉にも魅力を感じた。

 「秤が『賭け事を嫌悪する人』について『奴らが憎んでいるのは賭け事ではなく“敗北”と“破滅”だ』と語るシーンがありますが、ギャンブルなどが苦手な僕自身も、ギャンブルが嫌いなんじゃなくて負けるのが嫌いなんだろ?と言われると『そうかもな』と思えてしまう。『俺はこう思っているんだよ、どうだ?』と裏表なく自分を前面に押し出していく感じは魅力的だなと思います。彼の『生きることはギャンブルだ』『ギャンブルをしていない人間なんていないのさ』という言葉に説得されてしまった部分もあって、自分の人生を顧みて、途中で声優になろうと思ったこともギャンブルだよなと考えたりもしました。すごく石橋をたたいて渡ってきたつもりなのですが、秤の言葉を聞くと、人は誰しもどこかで一か八かの勝負をしているのかなという気はします」

 ◇秤と虎杖の会話をリアルに 熱と秘めたもののぶつかり合い

 秤はビジュアルを含め圧のあるキャラクターで、乙骨憂太が「ノッてる時は僕より強いよ」と評するほどに強い。中井さんは秤をどのように表現しようとしたのか。

 「オーディションの段階では、自分がマンガを読んでいる時に頭の中に響いてきたイメージで演じました。強いし、怖いけど、後に出てくる人間的な可愛らしさもあるだろうと。実際の収録のディレクションでは、思った以上に迫力、ドス、重さを求められるんだなと感じました。オーディションの時のイメージのままでは軽いというか、『この人はすごい実力者なんだ』という表現でないとまずいだろうなと思いました」

 秤を演じる中でキーとなったのは、虎杖に対してギャンブルや“熱”について語るシーンだ。

 「結構な長ゼリフのシーンで、原作ではカメラの位置も変わって、ドンとアップが来たり、2人を捉えたり、いろいろな見せ方をしている。演じ手の感覚として、長いセリフを話す中ではメリハリを効かせたくなるものなのですが、このシーンでは人間が思っていることを吐露するリアルなトーンとして、とうとうと語っていく。ここが秤のベースになるだろうなと思いながら演じました。『奴らが憎んでいるのは賭け事ではなく“敗北”と“破滅”だ』というセリフも、決めゼリフという感じではなく、虎杖との対比として、『こういう考えの先輩がいる』というようなトーンで演じられたことが印象に残っています」

 中井さんは、榎木淳弥さんが表現する虎杖の「生っぽい雰囲気がとても好き」といい、掛け合いを楽しみにしていた。

 「秤のほうが“熱”と押していっているのに対して、虎杖は表面上全然感じさせないけれども、ある瞬間に『この人は、やっぱりすごいものを内に秘めている』と分かる。僕はただの下級生ですよ、というようなセリフが淡々とくる中に、今までのとてつもない経験をバックボーンにしたドンとしたセリフが来るので、『榎木くん、すてきだな』と思いましたし、これは負けられないなとも感じました。自分で『熱だ』と言ってしまう秤の熱と、虎杖の奥に秘めてるものとのぶつかりが面白く表現できていたらいいなと思います」

 ◇強さを理解するために 我慢のポイントはどこなのか

 中井さんは、秤役に「今までの積み重ねを総動員して」挑んだ。

 「お芝居として、『呪術廻戦』の世界になじめているかどうかは、正直これからかなと思っています。自分で完成品を見て、そこから『じゃあ次はこうしよう』というものがやはりあるので、早く次の出番が欲しい。その繰り返しでないと、もっとよくなっていかないなと。『呪術廻戦』のキャストの皆さんは、ベテランも若い方も関係なく、本当にうまいんですよ。これは大変な現場だぞとは思うのですが、もちろん降参するわけにはいかないので、なんとかやっていかないとなと思っています」

 中井さんは、さまざまな作品で秤のような“強いキャラクター”を演じてきた。強さを表現する上での“肝”について聞くと、「やせ我慢じゃないですけど、我慢のしどころみたいなものを考えるということなのではないでしょうか」という答えが返ってきた。

 「『この人は、ここでは弱音は吐かないんだな』という部分。言葉の上では、弱音を吐いているキャラクターはいっぱいいるんですけど、『本当に困った時はこの人は黙るんだな』とか。そういう言葉にせずにぐっと耐えるところを意識すると、その人の強さが分かるような気がしています」

 今後、秤金次がどのような“強さ”を見せてくれるのか、注目したい。(しろいぬ/MANTANWEB)

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