プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202603135615
あなたにオススメ
葬送のフリーレン:テレビアニメ第2期 新監督起用の経緯
令和8年3月17日
国立大学法人福井大学
セーレン株式会社
本研究成果のポイント
◆ 福井大学とセーレンが共同開発したエッジコンピューティング技術を超小型衛星「FUSION-1」(注1)に搭載し、時系列予測に基づく自律観測実験に成功
◆衛星上で将来状態(電力等)を予測し、安全性を確保しながら観測可否を自律判断するアルゴリズムを宇宙空間で実証し、地上の運用管制局オペレータによる操作を介さない自律観測運用を実現
◆ 福井大学と福井テレビが共同開発したAIベースの関心地域抽出ソフトウェアと、アークエッジ・スペースが開発したIoT低電力通信機(注2)により観測位置を衛星へアップロードする仕組みを構築し、自律型の観測フローを確立
◆開発したエッジコンピューティング技術による自律観測の信頼性と実用性を宇宙空間で実証し、衛星運用の高度自律化に向けた重要な一歩となった
概要
国立大学法人福井大学 産学官連携本部(以下「福井大学」)の青柳賢英准教授は、セーレン株式会社と共同開発したエッジコンピューティング技術を超小型衛星「FUSION-1」に搭載し、軌道上での自律観測に成功しました。この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助事業の結果得られたものです。本研究では、電力などの時系列データを基に、衛星上で短期的な将来状態を予測し、観測計画の動的再構成を行う仕組みを開発しました。これにより、地上の運用管制局オペレータによるリアルタイム操作を介さず、衛星が自律判断し、観測を継続できることを宇宙空間で確認しました。加えて、オンボードでの画像処理や画質評価にもエッジコンピューティング技術を活用することで、効率的な画像取得にも貢献しています。また、福井テレビジョン放送株式会社と共同開発したAIベースの関心地域抽出ソフトウェアにより地上で算出した観測位置情報を、IoT低電力通信機(開発: 株式会社アークエッジ・スペース)により衛星へアップロードする仕組みを構築しました。さらに、学校法人金井学園 福井工業大あわら宇宙センターの3.9mアンテナに装備されている自動追尾機能を活用して観測データを受信することで、地上側の運用負担を最小化した自律観測フローを実証しました。
本成果により、衛星搭載エッジコンピューティングによる将来状態予測と自律判断技術の信頼性および実用性を軌道上で確認しました。これは、衛星運用の高度自律化に向けた重要な技術基盤となるものです。将来的には、多数機衛星による協調観測や災害対応などへの展開が期待されるとともに、人工衛星へのエッジAI技術の実装を加速する基盤技術となります。本成果は、大学・企業・地域機関が連携した超小型衛星技術の実践的な実証事例であり、福井大学は今後も関係機関と協力しながら、衛星システムの高度化と利用拡大に向けた研究開発を推進していきます。
〈研究の背景と経緯〉
近年、キューブサット(注3)に代表される超小型衛星は、開発期間の短縮やコスト低減を背景に急速に普及しています。地球観測、通信、科学実証など多様な用途に活用され、大学や企業、地域主体による宇宙利用の裾野は大きく広がってきています。一方で、超小型衛星は電力や通信容量等のリソースが限られており、より効率的な運用が求められています。そのため、従来のように地上の運用管制局が逐次指示を出す運用方式では、効率性や即応性の面で課題が指摘されています。特に地球観測ミッションでは、災害や突発的事象への迅速な対応、複数衛星による協調観測、限られた電力の最適配分など、高度な運用判断が必要とされています。しかし、現在の多くの超小型衛星では、観測計画や電力管理を地上側で決定する運用方式が中心であり、軌道上で将来状態を予測し、自律的に判断を行う仕組みは十分に確立されているとは言えません。今後、衛星数の増加やコンステレーション化(注4)が進む中で、地上に依存した運用から、衛星自身が判断する「自律型運用」への転換が不可欠となっています。
このような課題に対し、福井大学の青柳賢英准教授は、衛星上のエッジコンピューティング技術と時系列予測を組み合わせ、短期的な将来状態を予測した上で観測可否を判断し、観測計画を動的に再構成する仕組みを開発しました。本研究開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助事業の支援のもと、セーレン株式会社と共同で進められたものです。
また、福井テレビジョン放送株式会社と共同開発したAIベースの関心地域抽出ソフトウェアにより地上で算出した観測位置情報を、株式会社アークエッジ・スペースが開発したIoT低電力通信機を通じて衛星へアップロードする仕組みを構築しました。加えて、学校法人金井学園 福井工業大学あわら宇宙センターの3.9mアンテナに装備されている自動追尾機能を活用して観測データを受信することで、地上側の運用負担を最小化した自律型観測フローを確立しました。
これらの機能を超小型衛星「FUSION-1」に実装し、軌道上での動作検証を行い、自律観測の実証に成功しました。
〈研究の内容〉
本研究では、超小型衛星「FUSION-1」にエッジコンピューティングモジュールを搭載し、衛星内部で取得される発生電力やバッテリ電圧などの時系列データを用いて、軌道上で数時間から数日先の電力状態を予測するアルゴリズムを構築しました(注5)。予測手法には、統計的時系列解析モデルであるSARIMA(季節自己回帰和分移動平均モデル)を適用しています。衛星上で生成した予測結果(図2に例を示す)に基づき、観測を実行するか否かを判断する制御を組み込むとともに、観測計画を動的に再構成する仕組みを構築しました。これにより、観測に際して電力にどれだけの余裕があるかを事前に評価し、安全性を確保した上で観測を実行できる構成としています。さらに、エッジコンピューティングモジュールには、取得画像に対してオンボードで画像処理および画質評価を行う機能を統合しました。これにより、限られた通信容量の中で有効なデータを選別し、効率的に地上へ送信することが可能となります。
また、地上側では、ニュース記事などのテキスト情報を大規模言語モデル(LLM)で解析し、災害や社会的関心事象に関連する地域を抽出する関心地域抽出ソフトウェアを開発しました。このソフトウェアは、記事内容から観測対象となる地名や位置情報を自動的に推定し、衛星が観測すべき緯度・経度情報として出力します。抽出された観測位置情報は、IoT低電力通信機を通じて衛星へ送信されます。衛星は受信した観測候補情報と将来状態予測結果を統合的に評価し、自律的に観測実行を決定します。
これらの技術により、「ニュース解析による観測地点選定」「低電力通信による情報伝達」「衛星上での将来状態予測」「自律判断およびオンボード処理」を一体化した自律観測システムを構築し、軌道上でその動作を確認しました。
〈今後の展開〉
本成果により、衛星搭載エッジコンピューティングによる将来状態予測と自律判断技術の信頼性および実用性を軌道上で確認しました。今後は、将来状態予測アルゴリズムの高度化および対象パラメータの拡張を進め、より複雑な運用条件下でも安定して自律判断が可能なシステムの構築を目指します。これらの技術開発は、衛星運用の高度自律化に向けた重要な技術基盤となるものです。将来的には、複数衛星による協調観測や災害対応などへの展開が期待されるとともに、人工衛星へのエッジAI技術の実装を加速する基盤技術となります。
本成果は、大学・企業・地域機関が連携した超小型衛星技術の実践的な実証事例です。福井大学は今後も関係機関と協力しながら、衛星システムの高度化と利用拡大に向けた研究開発を推進し、宇宙技術の社会実装と産業化を目指します。
〈参考図〉
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202603135615-O4-W2y5PTxL】 図1:エッジコンピューティング技術とIoT通信を用いた自律観測の成果概要
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202603135615-O5-Jn7Eh55W】
図2:エッジコンピューティング処理による軌道上でのバッテリ電圧予測結果の例
〈用語解説〉
(注1)FUSION-1
ふくい衛星運用ネットワーク構築プロジェクト(FUSION, FUkui Satellite Implementing of Operation Network project)により開発された3Uキューブサット。
本プロジェクトは、福井県の「宇宙産業ビジネス化支援事業補助金」により、支援を受け、セーレンが事業を取りまとめ、関係機関とともに推進している。
(注2)IoT低電力通信機
IoT(Internet of Things)向けのLoRa通信方式を用いた通信機。微弱電波により衛星との通信を可能にする。
(注3)キューブサット(CubeSat)
10 cm×10 cm×約10 cmを1つのユニット(1U)とした、超小型衛星の規格の一つ。ここ10年ほど、世界的に宇宙の商業利用が進んだことで、キューブサット規格の地球観測衛星や通信衛星などが、安価に大量に打ち上げられている。
(注4)小型衛星コンステレーション
複数の小型衛星を軌道上に配置し、観測頻度等を高める方法。近年は、数十機〜数百機規模のコンステレーションによって、地球観測や通信サービスの高頻度化が進んでいる。
(注5)衛星の将来状態の時系列予測手法
Yoshihide Aoyanagi, Hajime Arai, Tomofumi Doi, Hiroshi Sawazaki, Kyo Kume, Development of a Future-State Prediction System Based on the SARIMA Model for Autonomous CubeSat Observation. IEEE Access, vol. 14, pp. 21337-21352, 2026, [doi.org/10.1109/ACCESS.2026.3661456]
〈助成の情報〉
本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の
「官民による若手研究者発掘支援事業(若サポ)」における、採択テーマ「超遠隔無線制御下での高信頼性制御システムの開発(2021年度~2026年度)」の支援を受けて実施されました。
プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202603155662>https://kyodonewsprwire.jp/relea…
プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202603165715>https://kyodonewsprwire.jp/relea…
プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202603165685>https://kyodonewsprwire.jp/relea…
プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202603135633>https://kyodonewsprwire.jp/relea…
プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202603135615>https://kyodonewsprwire.jp/relea…