大橋卓弥さんと常田真太郎さんの2人組音楽ユニット「スキマスイッチ」が、初のセルフカバー・ベストアルバム「DOUBLES BEST」を22日にリリースした。13年のデビュー10 周年を前に、12年も意欲的な活動を行っている2人にアルバム制作のエピソードやメモリアルイヤーへの思いを聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)
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−−“2人の手作り”コンセプトとした「DOUBLES BEST」には、ファン投票で選ばれた上位12曲が収録されているんですよね。
大橋さん:アルバムの曲や、投票してくれた時点での最新シングル(「晴ときどき曇」)が入っていたり。「奏(かなで)」(投票1位)や「全力少年」(同3位)のイメージが強いのかなって自分たちでも思っていたんですけど、いろんな曲を幅広く聴いてくれてるんだなっていうのが伝わってきてうれしかったですね。
−−今回は、四つ打ちのリズムやレゲエ風アレンジなど、さまざまな音作りに挑戦しました。
大橋さん:いい意味で、原曲に対してどう裏切りながら楽しんでもらうかっていうのは考えました。詞と曲を今、聴いてみると、当時からすごく突き詰めて、納得いくまで追求しながら作っていってたんだなっていうのはアレンジしながら思いましたね。ちゃんと曲がパッと立ってくれるし、そうじゃないとアレンジをし直すのはもっと大変だったのかなって。
−−“2人だけでやるセルフカバー”という点で感じたことはどういうことでしたか。
常田さん:ファン投票や、新曲を1曲も作らずにアルバムを作るっていうのが初めてで、アレンジや演奏に特化して、今までと全く違う方向性でアルバムが出来上がっていくっていうのが、すごく新鮮でありながら、原点回帰だったりするのかなって。「こういうふうに歌えないかな」っていうプロデュースやディレクションをお互いにする作業がほかの作品より格段に多かったので、そういう意味では、アマチュア時代の感じのような、そんな“初期衝動”に近いものはありました。音楽って楽しいなっていうのを再確認したというか、むしろそういう思いが強くなりましたね。
−−曲にまつわる思い出がよみがえったりもしましたか?
常田さん:「全力少年」は、まだ僕がプライベートスタジオを持つ前に、自宅のリビングに置いてあるシステムで作ってるところに卓弥(大橋さん)が来て、曲作りしたことを思い出しましたね。リビングに座ってるときの光景までフラッシュバックしました。
大橋さん:ファン投票で2位に入った「藍」は、レコーディング中にふと思いついて、ピアノが置いてあるブースでポロンとやりながら当時MDに録音して、それを真太くん(常田さん)に聴いてもらって、「面白いね」っていうことで急きょアルバムに入れたり。やっぱりそれぞれの曲にストーリーがありますね。
−−ちなみに、アルバムの初回盤のジャケット写真では、デビュー当時の常田さんのアフロヘアが復活しましたね。
常田さん:かぶりものですけどね(笑い)。アフロをやめて4年たちますけど、違和感なくすんなり戻ったなって。実はアフロは維持がすごく大変で、もともと直毛なんで髪を起こすのが大変だし、時間がたつと割れてくるし。そんな中、相方(大橋さん)がソロ活動をやってそっちに注目が集まってくれたので、事務所にも言わずにパツンと切っちゃって、マネジャーがビックリしたっていう(笑い)。
−−そうだったんですね。ところで話は変わりますが、音楽以外のところでの普段のお二人の関係はどんな感じなんでしょうか。
常田さん:まあ、性格も全然違うんで。例えば恋愛観とかも全然違いますし。卓弥は(女性を)引っぱっていきたいタイプだと思うんですけど、僕は引っぱられたいですからね。全部自分で決められるほどの責任感はないので(笑い)。昔の話ですけど、歌詞も僕が書いた歌詞は「あまりに女々しすぎて歌えない」っていうのもあったり。
大橋さん:相手が持ってないものだけを持ってるって言ってもいいぐらい真逆だと思いますけど、その接着剤的な役割をしてるのが音楽なんですよね。毎回出来上がった音楽を聴いて「これカッコいいね。またすごいのできたね」って2人で言ってるときが僕は一番楽しいので。どっちかができないことをどっちかができるっていう関係性がスキマスイッチの強みだと思うんです。
−−なるほど。来年はデビュー10周年を迎えますが、10周年に向けての今の心境は?
大橋さん:10年というものを一つの区切りとして、原点回帰というか、もう一回ゼロからスタートするぐらいのストイックさを持ちながらやりたいなと思います。10周年がうれしいというよりは、ちょっと引き締め直そうかなっていう感覚のほうが強いですね。
常田さん:10月から初の全都道府県ツアーが始まるんですけど、全都道府県を回るっていうのは、もちろん10周年だからっていきなりできることではないと思うんです。いろんな方の助けやファンの皆さんの声があってのものだし、いろいろと徐々に積み重ねてきて10年に向かってきたんだなっていう気持ちです。
<プロフィル>
スキマスイッチ 大橋卓弥さん(ボーカル&ギター、78年5月9日生まれ)と常田真太郎さん(キーボード、78年2月25日生まれ)で99年に結成。03年にシングル「view」でメジャーデビュー。初めてハマッたポップカルチャーは、大橋さんが「キン肉マン消しゴム」、常田さんが「ドラえもん」。大橋さんは「キン消しをテーブルの上ではじいて落とし合ったり、カー消し(スポーツカー消しゴム)と交ぜ合わせて遊んだり。家に山ほどありましたね」。常田さんは「小学校1、2年生当時、『コロコロコミック』には『ドラえもん』、『コミックボンボン』には『(機動戦士)ガンダム』っていう両派があったんですけど、僕は断然コロコロ派で。アニメも好きで、気づけば(放映日時の)金曜午後7時にはテレビをつけてました」と話した。
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