8月30日、また新たに、アメリカンコミックスのヒーローが再起動する。その名はスーパーマン。いわずと知れた、DCコミックの人気キャラクターだ。古くは、1950年代のジョージ・リーブスさん、70年代から80年代にかけてはクリストファー・リーブさん、さらに00年にはブランドン・ラウスさんがこのスーパーヒーローを演じ、映画やテレビシリーズまたアニメ化されてきた。このたび、新スーパーマンに抜てきされたのは、英国出身のヘンリー・カビルさん。これまで、「インモータルズ 神々の戦い」(11年)や「シャドー・チェイサー」(12年)などに出演してきた。8月30日の映画公開を前に、PRのために来日したカビルさんに聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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カビルさんが主演する今作は、従来のように「スーパーマン」ではなく、「マン・オブ・スティール」のタイトルで公開される。日本語に訳すと「鋼の男」。心の弱い青年が、いかにして鋼の心を備えたスーパーヒーローになっていったのか……。これまで語られることのなかったヒーロー誕生以前の物語が明かされていくという。
英国人が典型的なアメリカンヒーローを演じることについて、カビルさんは「年齢的にも、いままでの経験からも、僕がこの役にふさわしいと監督はじめスタッフが選んでくれた結果だ」と自信をのぞかせる。実はカビルさんは、以前に「007」シリーズのジェームズ・ボンド役を、若過ぎるからと逃し、「トワイライト」シリーズの主人公エドワード・カレン役を年齢が高過ぎるからと逃していた。そういった苦い経験も今となっては、カビルさんがこの役を手にするために仕組まれたことという気もしてくる。また「米国育ちでも異星人」であるスーパーマンを演じたことを「役者の国籍は関係なく、役そのものを楽しんで演じることができた」と笑顔で振り返った。
「マン・オブ・スティール」は、「300<スリーハンドレッド>」(07年)や「エンジェルウォーズ」(11年)などのザック・スナイダー監督がメガホンをとり、「ダークナイト」(08年)や「インセプション」(10年)の監督として知られるクリストファー・ノーランさんが、原案と製作を担当している。作品についてカビルさんは「これまでのような、スーパーマンありきのストーリーではない」と言い切る。そして「超人的な力を持った主人公が、地球上での自分の運命について、また、周囲の人に与える影響について考えを巡らす、非常に人間的かつエモーショナルな物語になっている」と強調する。もちろんアクションあり、スペクタクルありの「ザック・スナイダーがいかにもやりそうな」映像表現があり、その一方で、知的なストーリーが展開する「感覚として、観客がストーリーの中に入り込み、自分も一緒になって体験しているような気分を味わえると思う。それは、いままでのスーパーヒーローものとは違うところかもしれない」とアピールする。
スーパーマンらしい肉体を作るために、約10カ月間、ボートこぎ運動に代表される厳しい筋力トレーニングに励み、高カロリーの食事をとり、鋼の肉体を作り上げていった。撮影が終わった今、当時よりも筋肉は落ち、体も小さくなったというが、それでも、厚い胸板と隆々とした上腕二頭筋が、白いワイシャツ越しに存在感をアピールしている。今回新たに作られたスーパーマンスーツは、赤いブリーフは地球的に見えてしまうからという理由で排除され、鎖のような独特の模様が浮かび上がったモダンな作り。カビルさんの肉体美が、さぞかし映えることだろう。
5月5日に30歳の誕生日を迎えるカビルさん。盛大なバースデーパーティーを開こうと思っているという。「そのときは、まだ映画は公開されていないから(欧米での映画公開は6月14日)、少しぐらいハメを外しても許してもらえるよね」とちゃめっ気たっぷりに話す。公開されれば、おそらく彼の存在は、それこそスーパーマン並みに有名になり、これまでのように気軽に外を歩くこともできなくなるはずだ。だからそれまでのいま少しの間、平穏な日々を過ごさせてあげたい……。端正なルックスと英国人らしい気品がのぞく礼儀正しいカビルさんにすっかり魅了され、“母心”からそう思った次第。「マン・オブ・スティール」は8月30日から全国で公開予定。前売り券は発売中。
<プロフィル>
1983年、英国ジャージー島生まれ。イングランドのバッキンガムシャーの全寮制男子校で学び、演技の魅力に目覚める。02年「モンテ・クリスト伯」で本格デビュー。「トリスタンとイゾルデ」(06年)、「スターダスト」(07年)、「人生万歳!」(09年)などをへて、11年「インモータルズ 神々の戦い」で主人公テセウスを演じた。ほかに主演作「シャドー・チェイサー」(12年)やテレビシリーズ「THE TUDORS~背徳の王冠~」(07~10年)などがある。
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