機動戦士ガンダム:安彦良和と板野一郎が制作秘話語る 現場はホワイトベース?

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 人気アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを担当したイラストレーターでマンガ家の安彦良和さんと同作や「超時空要塞マクロス」などを手がけたアニメーターの板野一郎さんが12日、ガンダムフロント東京(東京都江東区)で開催されたトークショーに登場した。安彦さんは「ガンダムが当たったとき、(ガンダムの生みの親の)富野(由悠季)さんと2人で話していて、富野さんは『ガンダムで10年食いたいんだよ』といっていた。食うというのは下世話なことだけど大切なこと。1対1だから言ったことだと思う。まさか30年以上たって、こういう形になるとは思っていなかった。幸せなことで、感謝しています。ただ、夢をもう一度……とは思っていません。富野さんも同じだと思う」と感慨深い様子で話した。

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 板野さんは、スピーディーな戦闘シーンを得意とすることから“板野サーカス”と呼ばれるほどの名アニメーターだが、「機動戦士ガンダム」の制作当時は新人だったといい「自分はヘタだったので帰れなくて……。安彦さんの原画を見て、すごい、うまいと思い、安彦さんと同じものを描こうと苦労した。そのおかげで今がある。修行させていただいた」と“師匠”を前に頭が上がらない様子。さらに「現場はホワイトベースっぽかった。アムロとブライトはいるけど、あとは素人。安彦さんが一人で新人を育てていた」と振り返った。

 「機動戦士ガンダム」は放送当時、視聴率や商品の売り上げで苦戦していたが、再放送をきっかけに大人気となったことについて、板野さんは「大学生くらいのファンの人が応援してくれていた。そいつらが(『新世紀エヴァンゲリオン』などのアニメ制作会社の)ガイナックスとかになった。富野さんが大嫌いなオタクに支えられた」と語ると、安彦さんは「視聴率が悪かったり、商品が売れないという話を聞き流して、(作品を応援してくれる)仲間がいる、オレたちは一人じゃないと思っていた」とうれしそうに話した。

 最後に、安彦さんは「当てよう、もうけようと思って仕事をするのではなく、こだわりを形にしたいとやっていた。それはほかの仕事にも共通していると思うし、男気だと思う」と作品に込めた熱い気持ちを語っていた。

 ガンダムフロント東京は、4月19日に開業1周年を迎えたことを記念して“企画展リレー”を開催中。第1弾「機動戦士ガンダムの誕生とシャア・アズナブル展」に続き、31日まで第2弾「機動戦士ガンダムの誕生とアニメーター安彦良和展」を開催中で、安彦さんの原画を展示している。26日には「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督のトークショー、8月1日から「ガンダムサイエンス展」を開催予定。(毎日新聞デジタル)

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