ダンダダン
第12話「呪いの家へレッツゴー」
12月19日(木)放送分
公開中の映画「風立ちぬ」をもって長編映画の製作から引退することを明らかにしていたスタジオジブリの宮崎駿監督の引退会見が6日、東京都内で行われた。出席者は宮崎監督のほか、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと星野康二社長。ビデオカメラ70台、200の新聞、雑誌、ウェブ媒体、13の国と地域の海外メディアなど総勢605人の報道陣が詰めかけた。注目の会見の詳細な一問一答は以下の通り。(毎日新聞デジタル)
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宮崎監督:あのー、(報道陣に事前配布した)「公式引退の辞」という、メモを皆さんにコピーして渡したので、質問していただければ何でも答えるということでごあいさつにしたい。何度もやめるといって騒ぎを起こしてきた人間なので、またって思われているんですが、今回は本気です!(笑い)
鈴木P:始まったものは必ず終わりがくるもの。僕の立場でいうと、落ちぶれて引退するのはかっこ悪いと思っていた。「風立ちぬ」が公開され、支持されているときにこういうことを決めたのはよかったと思う。ジブリは今後どうなっていくのかが気になっていると思う。11月23日公開の高畑勲監督の「かぐや姫の物語」は鋭意製作中。めども見えてきた。必ず11月23日に公開します。それと、来年の夏を目指してもう1本映画を製作中です。
(質疑応答開始)
−−子供たちへのメッセージを
宮崎監督:うーん、そんなにかっこいいことは言えません。何かの機会があったら私たちの映画を見てくださったら何かが伝わるかもしれません。それにとどめさせてください。
−−今後やっていきたいことを具体的に。
宮崎監督:我ながら(「公式引退の辞」を)よく書いたなあと思う。「ぼくは自由です」って書いたのでやらない自由も。車が運転できるかぎりはアトリエにいって、やりたいこと、やれることはやろうと思う。今は休息を取りたい時期。ここで約束すると、たいてい約束を破ると思うから。それでご理解ください。
−−「風の谷のナウシカ」続編は?
宮崎監督:それはありません。
−−(韓国メディア)韓国のファンに一言を。また、「風立ちぬ」に出てくる零戦についてどのように考えているか?
宮崎監督:映画を見ていただければ分かると思う。いろいろな言葉に邪魔されないで、今回の映画も見ていただければと思います。いろいろな国の方々が私たちの作品を見てくれるのはうれしい。「風立ちぬ」の作品のモチーフが日本の軍国主義が破滅に向かっていく時代を舞台にしているので、いろいろな疑問が家族やスタッフから出ました。それにどう応えるかで映画を作った。映画を見ていただければ分かると思います。映画を見ないで論じても始まらない。お金を払ってぜひ見てくださるとうれしいなと思います。
−−ジブリの若手監督作品にアイデアなど出したり監修したり関与する?
宮崎監督:ありません。
−−「今回は本気」ということで今までの発言と今回とでは何が違う?
宮崎監督:「公式引退の辞」にも書きましたが「風立ちぬ」は「崖の上のポニョ」から5年たっている。その間にもシナリオとかマンガを描いたり、いろいろなことをしていた。やはり5年かかる。今、次の作品を考え出すと5年じゃ済まないでしょうね。次は6年かかるか7年かかるか……80歳になってしまう。この前、「文藝春秋」の編集長だった半藤一利さんとお会いして、83歳でしたが、背筋が伸びて頭もはっきりしていい先輩がいて、僕も83歳になって半藤さんのようになれればいいなと思っているので10年と言いました。続けられたらいいなあと思いますが、今までの延長上に自分の仕事はないだろうと思っています。僕の長編アニメーションの時代ははっきり終わったと思う。もしあったとしても、年寄りの世迷い言として片付けようと決めています。
−−引退を鈴木Pと正式に決めたタイミングは? どのような対応をした?
宮崎監督:よく覚えていないんですけれど、鈴木さんに「もうだめだ」って言った。そしたら「そうですか」と。それ(やりとり)は何度もやってきたことなのでそのときに鈴木さんが信用したかどうかは分かりませんが……。でもジブリを立ち上げたときにこんなに長く続けようと思っていなかったのは事実です。何度ももう引き時なのではないかとかやめようという話はやってきたので、今回は、次(の作品ができるまで)は7年かかるかもしれないってことに鈴木さんもリアリティーを感じたのではないかと思います。
鈴木P:「風立ちぬ」の初号(初めての試写)が6月19日だったと思う。その直後だったと思う。宮さんの方からその話があったとき、確かに今までも「これが最後」って言っていたけれど、今回は本気だなって感じざるをえなかった。僕自身が「風の谷のナウシカ」の製作から今年で30年目、いろいろあった。今回は僕も、30年緊張の糸があったんだけれど、宮さんから(引退の)話があったとき緊張の糸が揺れたんです。別の言い方すると僕自身ほっとするところがあった。僕は若いときだったらそれをとどめさせようとかいろいろな気持ちが働いただろうけれど、「ごくろうさまでした」っていう気分になった。僕は引き続いて「かぐや姫の物語」を公開させなきゃいけない。その途切れかかった糸をしばって仕事をしている最中なんですが。
それで、(宮崎監督の引退の話を)いつ発表するかを話し合った。まずはスタジオで働くスタッフに言わなければと思った。僕としては映画の前に言いたいと思ったけれど、話がややこしくなる。映画の公開をして落ち着いた時期に。実は社内では8月5日に言った。映画が公開して一段落したこの時期に発表しようと思いました。
−−引退後に旅行をかねて海外のファンと交流する予定はある?(海外メディア)
宮崎監督:ジブリ美術館の展示には関わりたい。ボランティア? 自分が展示品になっちゃうかも(笑い)。美術館に来てくださった方がありがたい。
−−(鈴木Pへ)「風立ちぬ」を進めた段階で、宮崎監督最後の作品になるというの予感はあった?
鈴木P:僕は、宮崎駿監督、宮さんという人と付き合ってきて思っていたのは(宮崎監督は)作品をずっと作り続けるのではないかと思っていた。死んでしまう間際までやるのは不可能かもしれないけれど、何らかの形で。その予感の一方で、35年間(宮崎監督と)付き合ってきて宮さんという人は別のことをやろうというときに、決めると皆に宣言する人。だから、宣言して別のことに取りかかるかのどちらかと思った。だから「風立ちぬ」を作って、それが完成を迎えて先ほどの(引退の)話が出てきたのだけれど、(引退は)僕の予想の中にあった。だから素直に受け止められたと思う。
−−引き際の美学は?
宮崎監督:映画を作るのに死にものぐるいでその後のことは考えてなかった。それよりも映画ができるのか、作るに値するものなのかの方が自分にとって重圧だった。
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