声優のタカオユキさんことユカさんがボーカルと作詞・作曲を担当する音楽ユニットの「みみめめMIMI」が、初アルバム「迷宮センチメンタル」のリリースに合わせて、アルバム全曲を披露するライブを9日、AKIBAカルチャーズ劇場(東京都千代田区)で開催した。みみめめMIMIのユカさんが声優のタカオユキさんであることを明かした前回のライブ、6月22日の赤坂BLITZでは、ビジョンに映る映像の中から徐々にリアルなタカオさんが現れて来るという演出だったが、この日は最初から最後まで、生身のタカオさんとしてファンとガチンコでぶつかり合う熱いステージを繰り広げた。
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「みみめめMIMIの“耳”担当のタカオユキです。ユッキーと呼んでください」と会場に呼びかけたのち、クラムボンのミトさんのプロデュース曲「ミッディ」で始まったライブ。ヒャダインさんのプロデュース曲「お絵描き」や、ポップロックの「兎ナミダ」などでは、立ってピアノを弾きながら熱唱する姿も見られた。初めて聴く曲にもかかわらず、ペンライトを振って観客は盛り上がる。それを受けて、タカオさんもピアノを弾く手を止め、両手を挙げて観客と一緒に盛り上がった。
中盤にはカバー曲「夏祭り」も披露。「ここだけの盆踊りをしましょう」と、その場で観客に振り付けをレクチャーし、一緒に歌って踊って、タカオさんも観客も実に楽しんでいた。また、声優である自分に向けて書いたという「SAY−YOU」や、「Am I Ready?」といったバラード曲も披露。ただ切ないだけではない、強さやけなげさといった、さまざまな感情を込めた歌声に、観客はじっとステージを見つめ聴き入っていた。「サヨナラ嘘ツキ」などのシングル曲も披露され、「瞬間リアリティ」では合いの手を一緒に叫んで盛り上がる。アンコールでは、みみめめMIMIのキャラクターで、ジャケットやミュージックビデオに登場する“MIMIちゃん”のコスプレで登場し、照れくさそうなタカオさんの様子に「可愛い!」と会場のあちこちから声が上がった。
ライブ終演後、「ミスはたくさんあったけど。1回目よりすごく楽しかった。1回目は、歌って踊って、ステージを作ることだけで必死でした。今回は、ステージと客席との距離が近かったこともあるけれど、みなさんと一緒に楽しむことができました」と話したタカオさん。新曲をリリース前に披露したことについては「アルバムの曲に自信を持っていたので、そのまま届けるだけでいい、素直に楽しめばいいと考えただけで、不思議と不安はなくなっていました。より素のタカオユキでいられたライブでした。それは、みなさんが盛り上げてくれたからこそ。今日はみんなで、みみめめMIMIを作れました」と振り返った。
キャッチーで縦横無尽に展開するメロディー、ピアノやストリングスを交えたドラマチックでアイデア満載のサウンド、タカオさんの舌足らずでハスキーな歌声は、ピュアでときおりエモーショナルに響く。そんなみみめめMIMIの音楽は、タカオさんの経験とイマジネーションから生まれた歌詞の世界も絶妙で、耳に入った瞬間、ギュッと心をつかまれる。それはライブの生演奏で聴くとなおさらだった。今後の「みみめめMIMI」の活躍に期待が高まる一夜だった。
(取材・文:榑林史章)