ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
故・赤塚不二夫さんのマンガ「おそ松くん」を約27年ぶりにテレビアニメ化し、10月から放送されている「おそ松さん」(テレビ東京)が話題だ。ナンセンスギャグで子供たちに親しまれた原作マンガから一変、女性ファンが急増し、六つ子のファンを意味する“おそ松girl”、“カラ松girl”など“~松girl”を自称する女性も増えている。その理由と魅力を探った。
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「おそ松くん」は、1962年に「週刊少年サンデー」(小学館)で連載がスタートし、コミックスの累計発行部数は1000万部以上を誇る人気作。松野家のおそ松ら六つ子が巻き起こすドタバタを描いたギャグマンガで、イヤミの「シェー」と叫ぶギャグが流行語になったほか、チビ太、デカパン、トト子などのキャラクターも人気を集めた。
10月から放送されている「おそ松さん」はテレビアニメとしては第3作目。赤塚さんの生誕80周年を記念した作品で、おそ松らが成長して大人になった姿が描かれている。放送開始から約3カ月だが、すでに数十種類のおそ松グッズが販売されているほか、六つ子のアートなどを施した“おそ松ネイル”、“ラテアート”などを楽しむファンも現れている。
さらに、10日に発売された月刊アニメ誌「PASH!」2016年1月号(主婦と生活社)は、「おそ松さん」の付録のポスターやパスケースの応募者全員サービスなどが人気を集め、同社によると約6万部を完売し、約1万部を増刷することになった。また、女性向けの月刊マンガ誌「YOU」(集英社)でマンガ化されることも発表され、さらに女性ファンが集まりそうだ。
◇“イケボ”声優の起用がきっかけに
第2作目までは、六つ子の声を「新世紀エヴァンゲリオン」の綾波レイなどの林原めぐみさん、「ポケモン」のサトシ役などの松本梨香さんと、主に女性声優が務めていた。しかし、今回は、櫻井孝宏さん(おそ松)、中村悠一さん(カラ松)、神谷浩史さん(チョロ松)、福山潤さん(一松)、小野大輔さん(十四松)を、入野自由さん(トド松)と、いわゆる“イケボ(イケメンボイス)”と言われる人気男性声優を起用した。
キャスト発表の段階で注目を集め、女性ファンが「おそ松さん」を見始めるきっかけとなったが、放送開始後も、ドタバタギャグの応酬に加え、ある種のアドリブにも聞こえるような実力派声優陣の熱演が一層女性ファンを取り込むことになった。
◇個性豊かな六つ子と丁寧なキャラ作り
「おそ松さん」では、六つ子が成長して大人になった姿が描かれていることから、6人がそれぞれの個性を持つ。“小6のメンタルのまま成長した奇跡のバカ”と説明されるおそ松を筆頭に、カラ松は六つ子の中では参謀のような存在で、基本的にクール。三男のチョロ松は唯一の常識人でツッコミ役など、甘えん坊、マイペースなど、それぞれ異なる性格を持つ。
また、「おそ松さん」の六つ子はそれぞれ表情が異なり、ある程度見分けがつくようになっている。キャラクターデザインをしている浅野直之さんは以前のインタビューで「分かりやすくシンプルなシルエットと、カワイイけど少し毒のあるような色使いで、一度見たら印象に残るようなキャラクターになるよう心がけています」とコメント。丁寧なキャラクター作りが功を奏し、自分の好みの“推しメン”を見つけてSNS上で交流するなどし、作品に対する愛着を深めている。
◇女性にとって癒やしの作品に?
大手アニメ雑誌「アニメディア」(学研プラス)の馬渕悠編集長は「女性のアニメファンがイケメン(アニメ)に疲れたのでは」と分析する。実際、アニメ誌の女性編集者の間でもそうした声が聞かれるという。また、シンプルな絵柄の「おそ松さん」は、イケメンが登場する作品と比べて、いわゆる“作画崩壊”が起きにくいのもメリット。回を重ねるごとに制作スケジュールが過密になっていき作画に影響するという事態は、テレビアニメではままあることだが、おそ松さんの場合はギャグアニメという前提も手伝って、作画の乱れが目立ちにくい。毎週放送を楽しみにしているファンをがっかりさせないのは、当然だがテレビアニメとして大切な要素なのだ。
“イケボ”声優陣の熱演と丁寧なキャラ作りで人気の「おそ松さん」も、1月からいよいよ後半に入る。毎回話題を巻き起こす“毒”とエッジの効いた演出も相まって、人気はまだまだ加速しそうだ。
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