世界中で愛されているマイケル・ボンドさんの児童文学を実写化した「パディントン」(ポール・キング監督)が15日に公開される。ペルーのジャングルからロンドンへとやって来たクマが人間の家族の一員になるまでを、カラフルな色彩の中でコミカルに描き出した。今作のオリジナルキャラクターである悪役をニコール・キッドマンさんが演じている。
ウナギノボリ
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英国好きのおじ夫婦に育てられたパディントン(声:ベン・ウィショーさん/松坂桃李さん)は、はるばるペルーからロンドンへとやって来た。パディントン駅のホームで英国紳士を気取りながら人々に声を掛けるも、無視されて途方に暮れる。そこへブラウン一家が通りかかる。挿絵画家のブラウン夫人(サリー・ホーキンスさん)の親切によって、家に招き入れられたパディントンは、バスルームを壊すヘマをしでかし、ブラウンのだんなの怒りを買ってしまう。やがて少しずつ家族と親しくなっていくが、謎の美女がパディントン捕獲計画を進めていた……という展開。
このパディントンは、原作のイメージからかけ離れている気もするが、なぜか嫌な感じがしない。それは映画がファンタジック過ぎず、洗練されていて面白いからだ。そして、野性味あふれる実写版のクマに新鮮な驚きを感じるからだろう。怒ったときの顔は、歯をむき出してクマそのもの! 帽子に隠したマーマレードサンドは、いかにも汚そう。「こんなクマと住むのは嫌だろう」という気分にさせられるところから始まるあたり導入がスムーズだ。だって、パディントンは「よそ者」の代表者だ。これは、よそ者が居場所探しをする話であり、一家がよそ者を受け入れるまでを描いている。
ブラウン夫妻、 反抗期のジュディ、いたずら息子のジョナサン、真面目な家政婦のバードさん、変な隣人……パディントンは人々の心を動かしていく。特にリスク管理の仕事をする神経質なブラウンさんにとって、パディントンはリスクそのものにほかならない。どうやって仲良くなっていくのか。その描かれ方も面白い。謎の美女に狙われるという今作オリジナルのエピソードを使って大いに盛り上げる。「ハリー・ポッター」シリーズ、「ゼロ・グラビティ」(2013年)などの名プロデューサー、デビッド・ハイマンさんが製作。「ハリー・ポッター」シリーズのVFXチームがパディントンをCGで作り上げた。15日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。マーマレードをつけるなら、カリカリのトースト派です。
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