この「ジョジョの奇妙な冒険 インタビュー」ページは「ジョジョの奇妙な冒険」のインタビュー記事を掲載しています。
荒木飛呂彦さんの人気マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第7部「STEEL BALL RUN(スティール・ボール・ラン)」が原作のアニメ「スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険」が、2026年にNetflixで配信される。19世紀末のアメリカを舞台に、総距離約4000マイル、賞金総額5000万ドルの人類史上初の乗馬による北米大陸横断レース、スティール・ボール・ランが繰り広げられる。同作の主人公で、半身不随の元天才騎手、ジョニィ・ジョースターを演じるのが坂田将吾さん、ジョニィと協力関係を結ぶ謎のアウトロー、ジャイロ・ツェペリを演じるのが阿座上洋平さんだ。過酷なレースに参戦する二人のように、「ジョジョの奇妙な冒険」アニメシリーズに挑む坂田さん、阿座上さんに作品に懸ける思いを聞いた。
◇思い入れが強いゆえの「怖さ」 収録が始まるも「ドッキリなんじゃないか」
--「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズとの出会いは?
坂田さん 最初は、中学生の頃に友達が「ジョジョの奇妙な冒険」の話をしていて、「どんな作品なの?」と聞いたら「言葉では全部説明できない」と言われたんです。ちょうど第1部が原作のアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」が放送されるタイミングだったので、それを見始めたのが出会いでした。
--アニメを見た当時の感想は?
坂田さん 本当に先が読めないと。濃いキャラクターたちがたくさん登場した上で胸が熱くなるものがあったり、衝撃の展開の連続だったりして、一瞬で心を奪われました。
阿座上さん 僕は、第5部「黄金の風」を友達の家で読んでから「ジョジョ」という世界にハマっていきました。当時、第5部をモチーフにしたゲームも出ていて、友達と一緒にどっぷりのめり込んでいきました。みんなで「ジョジョ」ごっこをやって「俺だったらこのスタンドを使いたい」と言い合ったり、「オラオラ」を音読してみたりして遊んだことがいまだに記憶に残っています。
--アニメ「スティール・ボール・ラン」のオーディションはどんな意気込みで臨んだ?
坂田さん まず「ジョジョのオーディションを受けられるんだ」というところから始まりました。原作やアニメを見て、節回しとかセリフの言い方を研究しつつ、「ジョニィがどんなキャラクターなのか?」というのをしっかり掘り下げました。「これはすごいことだ」と思いながら挑ませていただきました。
阿座上さん オーディションは、「やった! オーディションを受けられる」という喜びやワクワクももちろんあったんですけど、やっぱり怖かったです。これは職業病になっちゃうんですけど、自分がずっと好きだった作品に出られるチャンスがあっても、結果的にダメだった時のショックを考えてしまって。だから、マジで「来てしまったか」という。しかも、キャリア的には、今が一番本気で狙いにいかなきゃいけないタイミングでもあったので、「これがダメだったら本当に立ち直れないかも」という思いもあって、オーディション原稿を読み出すところから結構腰が重かったです。「でも、やるしかないし」と、いろいろな思いを持って臨みました。
--お互いに並々ならぬ思いを持ってオーディションに臨まれて、出演が決まった時の率直な気持ちは?
阿座上さん まさか!と。しかも、同じ事務所(青二プロダクション)の後輩先輩という立ち位置でこの作品に出られるという。「こんなことがあっていいのか!」というくらい驚きました。いまだに実感が湧きづらい感じです。
坂田さん 僕も同じく実感が全然湧かないなというのはあります。収録でマイク前に立っている時は入り込んでいるんですけど、アフレコが終わった途端に「実感ないな」となるというか。不思議な感じです。
阿座上さん そうですね。アニメが始まるまでドッキリかもと思っちゃう(笑)。それくらいの作品なんだと思います。
◇お互いに負けられない!
--演じる上で意識していること、大切にしていることは?
坂田さん ジョニィはまだ若い部分があるというか。人として弱い部分、情けなさがあるのですが、そこが魅力だなとすごく思うので、その人間らしい部分を隠しすぎずにしっかり受け止めて演じることをとにかく大事にしています。
阿座上さん ジャイロは、演じていて本当に難しいなと思います。その日によって、またはシチュエーションや心境で全く表情が変わるようなキャラクターで、原作も読めば読むほど印象が変わるんです。だから、いまだにつかみきれていないような気もしていて。ただ、それがジャイロという男で、何にも縛られないような雰囲気を持った男なので、そこを大事にしています。また、彼は、実は人間臭いところもある。「縛られない」とは言いましたが、自分の過去など向き合えていないところもあるので、そこも加味しつつ演じています。だから、演技が話数ごとに変わっちゃっているような気もしていて。自分も実際にオンエアを見て、どんな印象になるのか楽しみでもあります。
--ジョニィ役、ジャイロ役として、収録で掛け合った感想は?
坂田さん ずっと前から思っていることなのですが、阿座上さんの精度の高さ、うまさをすごく尊敬していて。そこは今回の収録でも感じましたし、阿座上さんの中の作品に懸ける熱量も伝わってきて、後輩としても「負けてられないな」というか、必死でついていかなきゃという気持ちが強かったです。
阿座上さん 彼(坂田さん)はすごく礼儀正しいし、すごく周りに気を遣っているように見えて……
坂田さん 見えて?(笑)。
阿座上さん ……見えて(笑)、芝居に入ると、キャラクターにがっつり入っていくので、それがすごくジョニィとリンクしました。横から全然別の話をしてもスッと抜けていくくらい集中していて、役を降ろしているというか。そういう力は、僕はどちらかというと弱いんです。役に合わせていくというか、スキルやロジックでキャラクターを捉えがちというか。そういう意味では、僕も彼が言うように「負けてらんないな」じゃないですけど、すごい刺激になるポイントがたくさんあります。本当にジョニィにぴったりだなと思います。
◇ジョジョ愛にあふれた現場 半端ない熱量
--これまでアニメシリーズに出演されたキャストの方々も熱い収録現場だと語られています。「ジョジョ」シリーズならではと感じたことは?
坂田さん やはり収録していて、「みんなジョジョが好きなんだな」というのが伝わってきます。みんな、すごく楽しそうなんですよ。現場で作品の世界観を作り上げていっているんだなと。みんなが楽しそうに演じている中で、自分も自然とその世界に入ることができました。最初はやっぱりすごく緊張して入ったんですけど、現場が「みんなで!」という感じだったので、乗っかったらプレッシャーが薄まったような気がします。ただ、レースということで収録中は熱量と緊張感が半端ないので、そこも楽しかったです。
阿座上さん 「ジョジョ」の面白さ、素晴らしさって、セリフを読んでいると思うのですが、体温が1度上がるような感覚があって、血が巡るというか。「~~じゃあないか」とか「ッ」がいっぱい付いているようなセリフとか、普段の会話では絶対使われない言い回しで「いや、これリアルで言わないでしょう」と思うかもしれないんですけど、「しゃらくせえ! これがいいんだよ!」みたいな(笑)。みんながこの会話を追求してお芝居として表現していることをファン目線でももちろん感じるし、掛け合うことで、ぶつかって良い火花が散っているような感じもあって楽しいです。それぞれが得意な武器で、思いきり剣劇をやってるような感覚。声量も熱もどんどん上がっていくし、第1話の収録ではみんなカラカラになって帰ったような気がします。
--アニメの見どころは?
坂田さん 最高の原作をどうアニメ化するんだというところが僕自身、楽しみです。その中で役者としてどう生きていけるか、ジョニィとしてどうレースを走れるか、ジャイロと共にどう苦難を乗り越えていくのかというのも、見ていてきっと熱くなるものがあると思います。皆さんもしっかり水分補給しながら見ていただけるとうれしいです。
阿座上さん 僕は一声優である以上に「ジョジョ」シリーズのファンでもあるので、「ジョジョの新しいシリーズが始まるぞ!」という気持ちは、楽しみにしているファンの方々と今も変わりません。今回の「スティール・ボール・ラン」は、今までにないほどのキャラクター数で、しかもレースに出る、馬に乗るということで、ファンの間でも「無理なんじゃないか」と議論になるくらいだったんです。でも、それをアニメの関係者の皆様が「やるぞ!」という覚悟を持って、スティール・ボール・ランというレースを始めよう!と。その熱意を僕らも噛み締めています。この熱意はきっと皆さんにも届くと思うので、楽しみにしていただけるとうれしいです。