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俳優の山田裕貴さんの主演の映画「ベートーヴェン捏造」(公開中)の関和亮監督が、このほど郷里の長野県で凱旋(がいせん)舞台あいさつを行った。
映画は、かげはら史帆さんの歴史ノンフィクション「ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく」(河出文庫)を実写化。ベートーヴェンの秘書を務め、死後に伝記も記したシンドラーが、聴力を失ったベートーヴェンが使った会話帳を大幅に改ざんしていたスキャンダルをテーマに、バカリズムさんが脚本を手掛けた。主演の山田さんは忠実なる秘書シンドラーを演じ、古田新太さん演じる憧れのベートーヴェンを絶対に守るという使命感から、彼の死後、“下品で小汚いおじさん(真実)”から“聖なる天才音楽家(うそ)”に仕立て上げようと奮闘する……というストーリー。
大きな拍手で迎えられた関監督は「自分の作品がこんな満員のお客様の前で上映できて、本当にうれしいです」と喜びを語った。今年は「かくかくしかじか」に続き2本目の公開作となり、オファーをいただいた時のことを振り返り、「かげはら史帆先生の原作はかなり分厚くて読み応えがあり、すごく面白かったのですが、19世紀ヨーロッパの物語を、日本の監督、日本の脚本家、そして日本のキャストで映画化することについて、最初は『どうやってやろう』と思いました」と心境を明かした。
バカリズムさんの脚本は「話が来た時点である程度できていましたが、最初の脚本は、想定していた2時間よりも遙かに長く、1.5倍くらいの量があり、それを2時間にまとめるのが大変でした。会話帳のシーンでは、ただ日本語を書くのではなく、『ドイツ語で書こう』というこだわりをバカリズムさんが持っていて、そのこだわりを反映し、ベートーヴェンとシンドラーの筆談のシーンでは実際に当時のドイツ語で書いたものを使用しています」と製作秘話を語った。
「日本でやるならこのキャスティング」と、山田さん、古田さん共にイメージ通りだったといい、「古田さんが撮影現場に差し入れていただいた、イカスミ入りの塩辛が大人気でキャスト、スタッフみんなお歯黒になっていました(笑)」と話した。
今作は最先端技術のバーチャルプロダクションで19世紀のウィーンを再現。ベートーヴェンの名曲がふんだんに使われ、大スクリーンと優れた音響設備で映像と音楽を堪能できる。「2回目を見るなら、ポイントで出てくる有名音楽家たちの登場シーンをチェックしてほしいです。また、『この人の登場シーンにこの曲がかかっている』『この感情の時にこの曲がかかっている』など、ベートーヴェンの楽曲一つ一つ、こだわり持って選曲しています」とアピールした。
観客からの質問で、「ショパン役で出演のMrs. GREEN APPLE藤澤涼架さんとのエピソード」を聞かれると、「初めての演技でとても緊張していたが、山田さんが緊張をほぐしながら、撮影していました。私と同じく長野県出身で、長野県出身同士の絆ということで、一緒に長野県の歌である『信濃の国』を歌いました」と回答した。
最後に「長野を離れて仕事をしていますが、それでも長野に来て故郷の皆さんに会ったり、長野出身の人に会うと、親戚に会ったように温かい気持ちになれます。ぜひご家族や親しい方々にも『面白かったよ』と伝えていただけたらうれしいです」とメッセージを送った。