千葉翔也:大人になって実感した「ドラえもん」のパワー エル役で“届ける”表現を 「映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城」インタビュー

アニメ「映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城」に出演するエル役の千葉翔也さん
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アニメ「映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城」に出演するエル役の千葉翔也さん

 藤子・F・不二雄さん原作の人気アニメ「ドラえもん」の劇場版最新作「映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城」(矢嶋哲生監督)が2月27日に公開された。1983年に公開され、ファンに長く愛されてきた「映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城」が、約43年の時を経て新たに生まれ変わる。最新作で、ドラえもんたちが謎と神秘に包まれた海底世界で出会う、海底人のエルを演じるのが人気声優の千葉翔也さんだ。幼い頃から「ドラえもん」に触れ、「大みそかといえばドラえもんでした」という千葉さんに今作への思い、収録の裏側を聞いた。

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 ◇「映画ドラえもん」出演にプレッシャー 「違和感なくできるのか」

 1980年公開の第1作から、今作で45作目を迎える「映画ドラえもん」シリーズ。中でも、千葉さんは1996年公開の「のび太と銀河超特急」、1998年公開の「のび太の南海大冒険」が好きな作品だという。

 「『映画ドラえもん』シリーズ以外でも、生まれて初めて作品を見て涙が流れたのが、『帰ってきたドラえもん』なんです。それが小学校中学年くらいで、自分の中ではセンセーショナルでした。全部の描写が好きです。『のび太の結婚前夜』もめちゃくちゃ好きです。あの頃見たものは、どのシーンもちゃんと説明できるくらい印象に残っていて、それが『ドラえもん』のパワーだなと思います」

 声優になってからは、劇場で「映画ドラえもん」シリーズを見て、ドラえもん役の水田わさびさんらレギュラー声優陣の「お芝居のスケールの大きさ」を常々感じていたという。

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 「エル役として出演が決まってからは、皆さんのお芝居に自分がちゃんと違和感なく乗っかることができるかというプレッシャーがありました。皆さんは、温かみのあるお芝居と、子供が見ても分かるような表現の明確さが共存していて、それは自分の中ではできないと思っていたことでした。皆さんのお芝居を見てそれができることなんだと分かって、自分の普段のお芝居の仕方にも影響を与えているくらいでした。そのような方々と共演させていただくということで、自分が考えてきたことを出さなきゃいけないと思いました」

 ◇“伝わる”ことの大切さ ドラえもん声優の説得力

 千葉さんが演じるエルは、海底人の国・ムー連邦の兵士。海底人は陸上人を嫌っており、エルは海底にやってきたドラえもんたちを監視する役目を担っている。

 「エルは、最初は敵として登場して、変わっていくキャラクターなので、振れ幅をつけたほうがいいかなと思って、前半は硬めにいこうというプランでした。ただ、エルとしては、軍人として冷たく接しなければいけないと意識してやっているというか、仕事としての割り切り感を出そうという話になったので、ナチュラルに登場してなじんでいくという方向性になりました」

 実際に収録に参加して千葉さんが感じたのは、「ドラえもんという作品の懐の深さ」だった。

 「怒ったり、感情を表に出すシーンは、『抑えてください』と言われることは全くなく、自分としてもフルパワーでやらせていただけました。また、葛藤しているようなシーンは、優しげな印象を持たせたまま、のび太たちよりは大人であるということで深みを出すところが難しかったです。収録しながら思ったのは、見ている方たちに“伝わる”ことが本当に大事なんだなと。一つ一つがちゃんと伝わるように責任感を持ってやらなきゃいけない。気持ちをぶつけるだけじゃなくて、見てくださってる方たちに届けるということが、声だけで演じているからこそ大切だなと、当たり前なんですけど改めて考えさせられました」

 子供から大人まで幅広い観客が劇場に足を運ぶ「映画ドラえもん」シリーズだからこそ、“伝わる”ことの大切さを実感した。

 「『ドラえもん』の声優の皆さんは、表現が前向きというか、ちゃんと表現として出しているからこそ説得力があるのだなと感じました。画以上に声のスケールが大きくて、それって当たり前なようでものすごいことだなと思います。僕の普段の考え方としては、リアルにそのシーンについて考えて、悲しい時は声が小さくなるという発想なのですが、『ドラえもん』の声優の皆さんは、ちゃんと伝わるボリュームを担保しつつ、心の込め方、感情の大きさで変化を付ける。声を抑えることで悩んでいることを表現しないんです。常にアクセル踏んでいる状態で会話になっている。本当に皆さんからはすごく学ばせていただきました」

 ◇青臭いエルをピュアに、雑味なく

 千葉さんは、レギュラー声優陣の演技を目の当たりにして、「なるべく等身大のままエルを表現できるように」と考え、終盤のエルが演説で周囲に訴えかける場面では「優しさ」を大切にした。

 「全体にやっぱり優しさが必要というか。優しさや、守りたいという思い、正義感といったものは、作品によって味付けが全然違うし、『ドラえもん』に関しては、ピュアにやらなきゃ伝わらないなと。それは先輩方のピュアさによって感じたことです。収録で、期待以上のものを出す=予想を裏切ることじゃないんだなとも実感させられました。ピュアに聞こえるよう、雑味なく聞かせるということは、僕自身、今後も挑戦し続けるべきことだと思います」

 「新・のび太の海底鬼岩城」では、エルや、ひみつ道具の水中バギーの感情の変化が丁寧に描写されており、「物語の核の部分がより大切にされていると感じました。機械である水中バギーの言葉も自然な形になっていて、現実にいるんじゃないかと思わせられました。エルに関しては、これまで海底を守る仕事の中ですごく考えてきていることが青臭く描かれています。それは描写をただ増やしているのではなくて、言い方や言葉尻から想像させられるようなシナリオになっています」と魅力を語る。

 千葉さんが挑んだ「新・のび太の海底鬼岩城」のエル。海底人の国・ムー連邦を兵士として守ってきた彼が、ドラえもんたちと出会い、どう変化し、どんな言葉を発するのか、注目したい。(しろいぬ/MANTANWEB)

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